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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

誘惑されたナニーの純愛

誘惑されたナニーの純愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エリザベス・レイン(Elizabeth Lane)
 シルエット・ロマンス初登場。ラテンアメリカ、ヨーロッパ、中国と、世界の広い地域を旅して回った。エキゾチックな場所を自分の作品に登場させるのが好き。また、故郷のユタをはじめとする西部地方を歴史ロマンス小説の舞台として魅力的に描いている。趣味はハイキングとピアノを弾くこと。最近ベリーダンスも始めたという。

解説

かけがえのない赤ちゃんを守るためなら、私の何を犠牲にしてもかまわない。

亡き妹が産んだ赤ん坊を女手一つで育てているグレースのもとを、悪名高きプレイボーイの大富豪エミリオ・サンタナが突然訪れた。亡くなった兄の遺品から、赤ん坊は兄の息子と判明したというのだ。だからグレースとの養子縁組をやめさせ、赤ん坊を母国に連れ帰ると。彼は独身主義者で、このままでは一族の血が絶えてしまうらしい。「きみはナニーとして同行してくれ」あまりに一方的な言い分にグレースは憤るが、やむなく条件をのむ。今やわが子同然のいとしいこの子を手放すわけにはいかないわ。それに、エミリオにはどうしても逆らえない男らしい魅力がある……。グレースは機上の人となった。やがて彼に身も心も奪われるとも知らずに。

■D−1671『ナニーの秘密の恋』、D−1750『ボスとの熱い一夜は秘密』などけなげなヒロイン像が人気のエリザベス・レイン。今作では、異国を舞台に繰り広げられる、セクシーなラテンヒーローと大人気のナニーの恋物語をお楽しみください。

抄録

 ぼろをまとった二人の少年の姿が木々の向こうに見えた。スリングショットで鳥を撃っているらしい。だが、馬に乗った二人を見つけるなり、猛烈な勢いで小道を走ってきた。
「セニョール……セニョリータ……|お願いです《ポル・フアボール》」少年たちは汚れた手を差し出した。
「無視するんだ」エミリオがうなるように言った。「一度物乞いを覚えると、働こうとしなくなる。やがては盗みを始めるようになってしまう」
 もっともな話だった。ぼろぼろの服を着た少年たちの横を通り過ぎながら、グレースは顔をそむけるしかなかった。こんなに美しい国にも、やはり貧困は存在する。
 もっといろいろなことを知らなければ。今見たことを理解するために。「エミリオ?」
 エミリオが振り返ってグレースを見た。次に、その先に視線を向けたとたん、表情が凍りついた。「やめろ!」エミリオが叫んだ。
 グレースが振り向いたとき、少年の一人がスリングショットのゴム紐を引き、石を撃った。ひゅっと空を切って飛んだ石は、彼女が乗っていた馬の尻に命中した。
 馬は驚いていななくと、後ろ足で立ちあがった。すっかり気を緩めていたグレースは、手綱を締めることも忘れて鞍の上で体勢を崩した。だが、馬のたてがみにしがみつき、かろうじて地面にたたきつけられずにすんだ。
 しっかり握っているのよ! 恐怖で頭の中が真っ白になったが、懸命に自分に言い聞かせた。馬が走りだそうとしたため、馬の首を両腕で抱え、両膝で鞍をしっかり挟んで、放すまいと必死になった。馬は木々が密生する斜面を勢いよく駆けおりていく。体が枝に引っかかれた。
 わたしの名前を呼んでいるのはエミリオかしら? 彼が後ろから来ているの? それとも、これは風のうなりとわたしの心臓が激しく打つ音?
 水が勢いよく流れる音が聞こえてきた。川が近い。もんどり打って急な土手を転げ落ちたら、馬もわたしも一巻の終わりだ。だが、グレースは馬の首にしがみつく以外にどうにもできなかった。
「グレース!」エミリオの声がして、金毛の馬体がすぐ横に並んだのがわかった。ウエストのベルトを握られた感触が伝わる。「きみのベルトをつかんだ! 馬から手を離すんだ!」
 グレースは必死に恐怖と闘った。彼を信じるのよ。わたしの命は今、彼の手に委ねられているのだから。
「グレース! 手を離せ! 今すぐに!」叫び声と同時に腰がぐいと引かれた。グレースは最後の勇気を振り絞り、しがみついていた馬の首から手を離した。エミリオが彼女の体を力の限りに引き寄せ、鞍から引きはがした。
 片方のサンダルが鐙に引っかかった。グレースが足を振ってサンダルを脱ぎ捨てると、馬は急に向きを変え、まっしぐらに厩舎を目指して走っていった。エミリオが手綱を引いて自分の馬を止め、それから手を緩めた。グレースは馬の脇腹をかすめて地面に下ろされた。
「大丈夫か?」エミリオも手綱を離して馬を降りた。
「ど、どうかしら。わからないわ」震えがひどくて立っていられなくなり、グレースは膝をついた。
 エミリオは手を伸ばして彼女の顎を傾けると、不安げに顔を眺めた。「涙は流れていないようだ。これはいい兆候なのかな?」
 グレースはかぶりを振った。どんなに恐ろしい思いをしたか、言葉ではとても言い表せない。だが、なぜか今の出来事が映画のワンシーンのように思われ、現実味を感じなかった。
「家に帰ろう」エミリオは大きな手で両肩を包みこんでグレースを立ちあがらせた。「一緒に馬に乗らないとだめだな。サンダルが片方脱げているし、あんな遠くまで歩くわけにはいかないだろう?」
 グレースは震えが止まらなかったが、気を取り直してようやくかすかにほほえんでみせた。
「かわいそうなマンソ。何が当たったのか理解できなくて、死ぬほど怖かったでしょうね」
 エミリオのまなざしがやわらいだ。「マンソなら大丈夫だ。気がかりなのはきみのほうだよ」
「心配ご無用よ。わたしも平気だから」しかし、そうはいかなかった。ショックが徐々におさまるにつれて、気力がなえ、手足が冷たくなって、グレースは嗚咽に胸を震わせた。
「無理しなくていいんだよ、グレース」エミリオが優しく手を握った。それでも効果がないとわかると、スペイン語で何かつぶやいてグレースを引き寄せ、しっかり抱きしめた。「大丈夫、もう危険は去った。思う存分泣いてかまわない」
 グレースは目を閉じて、エミリオの胸に顔をうずめようとした。ところが、涙はこみあげているのに、どうしても泣けなかった。震えがますます激しくなる。
「ご、ごめんなさい」彼女はあえぐように言った。「こんな醜態をさらすなんて、恥ずかしいわ……」
「きみは勇敢だったよ」エミリオがささやき、彼女の顎を手で包みこんだ。「それに美しい」
 どうしてそんなことをしようと思ったのか、グレースは自分でも説明できなかった。頭が混乱して、寒気を感じた。その一方でエミリオがとても温かく、頼もしく、安心して身を任せられそうに見え、思わず身を乗り出して彼の唇に唇を重ねていた。
 エミリオがむさぼるような激しさでキスを返すと、全身がかっと熱くなった。グレースは自分から彼の首に腕を回して引き寄せた。キスはなおも続いている。少し前までは凍えそうだったのに、今や彼女の体はかがり火のように燃えあがっていた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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