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スペイン式プロポーズ【ハーレクイン・セレクト版】

スペイン式プロポーズ【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャシー・ウィリアムズ(Cathy Williams)
 トリニダード・トバゴの出身で、トリニダード島とトバゴ島、二つの島で育つ。奨学金を得てイギリスに渡り、一九七五年エクスター大学に入学して語学と文学を学んだ。大学で夫のリチャードと出会い、結婚後はイングランドに暮らす。テムズ・バレーに住んでいたが、現在は中部地方在住。夫との間に三人の娘がいる。

解説

大企業で働くアンドレアは、ある日突然の呼び出しを受けた。若くしてこの企業帝国を率いる伝説的人物、ガブリエル・クルスに。そして彼と対面を果たしたとたん、あやうく気を失いかけた。5年前、恋に落ちたスペイン人男性に瓜二つだったのだ。でも名前が違う。それに、彼は貧しい放浪生活を送っていた……まさか、あのときの彼は億万長者という素性を偽っていたの? それなら、逃げなければ――!あの秘密を知られる前に。ガブリエルの前から姿を消そうとしたアンドレアだったが、自宅まで追ってきた彼に、見られてしまう。まだあどけない、だが彼にそっくりの、4歳の男の子を。

■キャシー・ウィリアムズの描くラテン系大富豪は、周囲を翻弄する圧倒的なパワーが魅力的。なす術もなく虜になってしまうヒロインに同情――いえ、どれだけ振りまわされても、最後には熱い愛で応えてくれるヒーローに、誰しも抗えないのは納得ですよね。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「そんな質問をして、なにが目的なんだ?」
「巻き返しをはかろうとしているだけよ」見ているとくらくらしそうなほどハンサムなガブリエルの顔から目をそらしたアンドレアは、よりストレスの少ない光景を求め、冷めかけた自分のコーヒーに視線を落とした。
「それなら……」ガブリエルはカップを横にどけ、両肘を小さなテーブルについて身を乗り出した。ふいに二人の距離が縮まり、蝋にバーナーの炎が向けられたような変化が起こった。アンドレアはとっさに体を引いた。「君自身のことを少しは教えてくれてもいいだろう? この店に来てから君は六回も時計を見ているが、その理由は? だれかと会う時間が迫っているのかい?」どう考えてもつき合っている男がいるとしか思えないが、結婚指輪ははめていないから、その男は夫ではないのだろう。僕が知っているアンドレアは、ロマンチックでなければ恋などしない。
 アンドレアの頬がピンクに染まっているのを見て、ガブリエルはなぜか急に怒りにとらわれた。そうか、恋人がいるのか。なぜそのことに驚くんだ? アンドレアは型どおりの美女ではないが、間違いなくある種の魅力がある。それがかつて僕を引きつけ、我を忘れさせたのではなかったか? 自分は正気なのかととまどわせたのではなかったか? もっとも、結局は理性が勝利をおさめたが。
 アンドレアの謎の恋人はどんな男だろう? 稼ぎがよくないことは確かだ。そうでなければ、アンドレアが僕の会社を辞めてすぐに退屈な職に戻るはずがない。自分の恋人に、明らかに望んでいない仕事をさせるとは、どういう男なんだ?
 ガブリエルの頭の中に軟弱そうな男のイメージが浮かんだ。稼ぎ手はアンドレアというわけか!
「どうなんだ?」自分の推測が正しいかどうか知りたくなり、ガブリエルは返事を促した。
「私には大事な人がいるの」アンドレアが静かに答えた。
 そうではないかと予想していたものの、ガブリエルはショックで言葉を失い、こんな話題を持ち出さなければよかったと悔やんだ。アンドレアがどんな生活を送っていようが、僕には関係ない。僕の関心は、自分の生活と、凝った結婚式の計画に夢中になって、頭がおかしくなりそうなくらい僕をせっつく婚約者に百パーセント向けられている。
「それはよかった」ガブリエルはそっけなく言った。「ところで、僕の会社に戻るつもりは……」
「今の会社で働くわ。でも、提案には感謝します」
「やせ我慢をしても意味ないぞ、アンドレア。君は明らかに金が必要で……」
「よくもそんなことが言えるわね」アンドレアがあきれたように言った。
 ガブリエルは体を起こし、おかげでまともにアンドレアを見ることができた。彼女はすばらしい瞳をしていた。深い池を思わせ、ガラスのように澄んでいる。そして、今にも笑いだしそうな、ふっくらした唇。実用一点張りのセーターの下に隠されている小ぶりな胸は、その形も感触も忘れていない。とたんに厄介な欲望が体を貫き、ガブリエルはすばやく自制心をかき集めた。
「もし金が必要ないなら、ほかの仕事をさがしたはずだ。君が今はいているスニーカーには見覚えがある。横にきらきらした飾りがついているスニーカーが大好きだとしても、一足の靴を五年間もはきつづけるとは驚きだ」
 とっさにアンドレアはバッグの中をさぐり、震える手で財布を取り出した。「記憶をたどるのはいいことだと思えないけど?」財布からつまみ出した硬貨を数枚テーブルに置く。「だって、あなたはもうじき結婚するんだもの!」彼女は吐き捨てるように言った。それでガブリエルが我に返って引きさがることを願ったからだが、彼の反応は正反対だった。
 ガブリエルは困惑するどころか、頭をのけぞらして笑いだした。そして、笑いがおさまると静かに言った。「腹を立てた君は魅力的だよ。記憶をたどるのはいいことだと思えないと言うなら、君だってだれかとつき合っているのにクリストベルにやきもちをやくのはいいことじゃないんじゃないか?」
「自惚れないで!」アンドレアは怒りで顔を真っ赤にし、歯をくいしばった。
「それから、コーヒー代を払うのはやめてくれ」
「自分のコーヒー代は自分で払います!」だだっ子のように見えるかもしれないが、意地悪な運命に向かってわめきたい気分だった。
 アンドレアは外に出ると毛糸の帽子をかぶり、ガブリエルのほうを振り返った。
「あなたの車だけど」彼の形のいい唇はまだ愉快そうにゆがんでいる。なにをにやにやしているの? 「オフィスの前にとまっていたBMW? あの大きな燃費の悪い車?」
「おいおい、地球温暖化についての退屈な説教はごめんだよ」
「あなたの耳はどんなお説教も素通りするんじゃないかしら」
 勢いよく燃えさかる炎のようなアンドレアを相手に、ガブリエルは楽しんでいた。昔から彼女は率直にものを言うたちだったが、その矛先がガブリエルに向けられたことはなかった。そう、彼と一緒のときはいつもやさしく従順だった。だから、思いがけない再会以来、アンドレアに投げつけられてきた言葉の数々に激怒してもいいはずなのに、ガブリエルは怒っていなかった。それよりも、彼女に興味をかきたてられていた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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