マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

秘密の天使と愛の夢

秘密の天使と愛の夢


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 サラ・クレイヴン(Sara Craven)
 イングランド南西部サウス・デボン生まれ。海辺の家で本に囲まれて育った。グラマースクール卒業後は、地元のジャーナリストとして、フラワーショーから殺人事件まで、あらゆる分野の記事を手がける。ロマンス小説を書き始めたのは一九七五年から。執筆のほかには、映画、音楽、料理、おいしいレストランの食べ歩きなどに情熱を傾けている。サマセット在住。

解説

無上の愛は打ち砕かれ、乙女は密かに姿を消した。

妹の夫に懇願され、セレナは2年ぶりにリムノス島を訪れた。重病のはずの妹は元気だったが、彼らの軽食堂の経営権をある有力者に奪われそうになっているので助けてほしいという。その人物とは、かつて愛したギリシア富豪アレクシスだった。愛をささやく低い声、生まれて初めて知る愛の喜び……。鮮やかによみがえる甘美な記憶を振り払いながら、セレナは勇気をかき集めてアレクシスのもとへと向かった。密かに産んだ子どもの存在を知られているとは――自分がすでに彼の罠にかかっているとは夢にも思わずに。

■父親の卑劣な嘘によってセレナを金目当ての悪女と思い込む彼は、妹を助けたければ子どもを置いて島を去れと命じて……。引き裂かれた恋、命の芽吹き、残酷な再会――美しいギリシアの島で花開く切なくもドラマチックなシンデレラストーリーをご堪能ください。

抄録

 この場所に――この生き方に慣れたくなんかないわ。セレナは喉が締めつけられるのを感じた。わたしにそんな余裕はない。
 ふたりは掘っ立て小屋にしか見えない倉庫に到着した。ドアが開け放されている。アレクシスはジープをとめ、エンジンを切った。
「アドニは船で出ていないときはここで寝ている。話ができるくらい素面かどうか見てくるから、待っていてくれ」
「わたしも一緒に行くわ」セレナは抗議した。
「きみはここにいてくれ」アレクシスが静かに言った。「ぼくなりに、いろいろとわけがあるんだ」
 もちろんそっちが優先よね、と恨みがましく思いながら、セレナは彼が大股で道を横切って建物のなかへ消えるのを見送った。
 わたしが立ち会わなくて、どうやって彼が正しい質問をしたかどうかわかるの?
 一方でセレナも、二日酔いのギリシア人漁師に会いたいとは思わなかった。
 海の上には靄がかかり、気温は確実に上昇していた。今日も焼けつく暑さになりそうだと思いながら、セレナはつば広の日よけ帽を脱ぐと、それを使ってゆったりとあおいだ。
 厚手のチュニックはすでに汗ばんだ肌に貼りついている。アレクシスの尋問が長くかからないよう願うばかりだった。そうでなければ溶けてしまう。そう考えたところで、彼が小屋から出てきた。髭をたくわえ、がっしりした体にぼろぼろのショートパンツを履いただけの男性と連れ立っている。
 たいした|美少年《アドニス》ね。セレナは批判的な目で男を眺めた。
 だが、しゃべりっぱなしの男の顔には笑みも浮かんでいた。よい兆候かもしれない。アレクシスは話に聞き入っていた。
 見ているうちに、セレナは自分も見られていることに気づいた。アドニはあからさまに彼女を見つめ、アレクシスに何か言った。ほほえみが、にやけた笑いに変わる。
 ふたりは笑って互いの肩をたたきあうと、アレクシスだけジープに戻ってきた。
 運転席に乗りこみ、彼はセレナのほうを向いて肩をすくめ、残念そうに両手を広げた。
「がっかりした顔をしろ、セレーネ・ムー」彼は早口でささやいた。「唇を尖らせて」
「がっかりした顔?」セレナは繰り返し、驚いてアレクシスを見つめた。
 アドニは協力を拒んだということ? こんなに早く捜索は行きづまったの?
 彼女の思いが乱れるなか、アレクシスが手を伸ばして彼女のうなじをつかみ、青白いブロンドの三つ編みの下にある肌を軽く撫でた。
 仰天した彼女は鼓動が飛び跳ねるのを感じた。なじみのない震えが全身を駆け抜ける。突然のパニックに襲われて、彼を遠くに押しやろうとしたが、遅かった。彼はすでにセレナを自分のほうに引き寄せようとしていて、彼女の両手はふたりの体のあいだで動けなくなっていた。アレクシスの口はセレナの開かれた唇を奪い、長く濃厚なキスをした。
 これまでの人生で、想像したこともなかったようなキスを。
 セレナは征服された。彼女の口を味わうアレクシスの唇の力に焼き尽くされた。彼の爽やかな息が口のなかに送りこまれ、熱い舌が彼女の舌と親密に絡みあった。
 太陽の熱と、閉じたまぶたにあたる金色の輝き、アレクシスの肌のあたたかく男らしい香りにもくらくらして、気づけばセレナは感情の虜になっていた。今まで、そんなものが存在するとも知らなかった欲望の虜に。
 ぼんやりとした頭で思った。彼を止めなければ。
 でも、止めたくない。
 なぜなら何かが――ある感覚が体の奥深くで解き放たれ、そこから快感のつるが伸びて花を咲かせ、育っていこうとしていたからだ。本能は警告していた。この感覚は簡単に彼女をのみこんでしまうだろう、と。
 突然、顔を平手打ちされたかと思うほど乱暴な勢いで、セレナは引き離されて自由になった。アレクシスは距離を空けて座り直し、彼女を見た。その表情は読みとれなかった。
 彼が涼しげな顔で言った。「帽子がだめになっていないといいんだが、|かわいい人《アガピ・ムー》」
 呆然として見おろすと、帽子は手のなかで握りつぶされていた。セレナは急に恥ずかしさに襲われた。誰からも見える場所で、彼にあんな熱烈な口づけを許してしまったなんて。アレクシスは乱暴ではなかったが、彼女の口は熱く、腫れぼったくなっていた。
「よくも」セレナは声をつまらせ、両手を握り締めた。「よくもこんな……」
「落ち着くんだ」アレクシスは彼女の手首をつかみ、やすやすと攻撃をかわした。その声には笑いが含まれていた。「ぼくははっきり言ったと思うが、アドニにきみのがっかりした顔を見せたいんだよ、セレーネ・ムー。きみが危険な相手ではないと思わせるために」
「彼にあれを見せたかったというの? 今の……おぞましいパフォーマンスを」
「ああ、見せたかった。彼の船で密かにロマンティックな旅をする計画がだめになり、がっかりしたきみが慰められるところを」


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。