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君を取り戻すまで【ハーレクインSP文庫版】

君を取り戻すまで【ハーレクインSP文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクインSP文庫
価格:400pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

私の赤ちゃん……。レクシーは嗚咽をこらえて涙をぬぐった。二十歳の彼女はハンサムでやさしいジェイクと結婚し、子供を授かり、昨日まで幸せいっぱいだった。ところが流産をしてしまい、その悲しみが癒えないうちに、夫が愛人と離婚の相談をしているのを聞いてしまう。打ちのめされて家を飛び出してから5年……。ようやく立ち直りかけた彼女の前に、ジェイクが現れる。記憶以上に魅力的な彼は、不敵な笑みを浮かべて告げた。「僕の妻を取り戻しに来た」
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクインSP文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 それはよく晴れた七月のある日のことだった。レクシーはポーチに立って、家の前に止まった黒くつやつやと光る車から背の高い男が降りてくるのを見ていた。
「ミスター・ジェイク・テイラーですか?」
「ええ。あなたはアレクサンドラ・ロートンでしょうね。お若いとは聞いていたが、美しい方だとは知りませんでした」
「レクシーと呼んでください。アレクサンドラと呼ぶ人はいませんから」レクシーは真っ赤になって答えた。率直な褒め言葉と、彼の及ぼす圧倒的な影響力にとまどっていた。彼は三十歳ぐらい、広い肩とたくましい胸にぴったりフィットした最高級のビジネス・スーツを着ている。髪は黒く豊かで、顔つきはシャープで厳しかった。野性みあふれる荒削りな顔と、つやのある赤褐色の肌をしている。
「すみませんが、少し急いでいるので、さっそくビジネスに取りかかりませんか」
「は、はい、もちろん」レクシーは口ごもって、彼をホールに導き入れた。「とても日焼けしていらっしゃるけど、イギリスの方ですか?」どうしてこんなことを言ってしまったんだろう! 彼女は真っ赤になった。「失礼しました」
 驚いたことに男は笑い出し、彼女の手を取った。「ボウ教会の鐘の音の聞こえるところで生まれた生粋のロンドンっ子ですよ。日焼けしたロンドンっ子ですね。もっとも父親は外国人ですが」彼は最後の言葉をからかうように言った。
 彼は私を笑っている。でもしかたがない。間の抜けたことばかり言っているんだもの。今日は初めて見込みのある客を迎えるために、身繕いには気をつけた。クリーム色のシャツドレスを着て、黄金色の肌には薄く化粧をした。赤毛には珍しく、彼女の肌は日焼けするのだ。豊かな唇に珊瑚色のリップ・グロスを塗り、長いまつげにマスカラをつけると、自分ではすっかり大人になったつもりだった。この人と会うまでは。
「ごめんなさい、よけいなことを言って。どうぞこちらへ。なかをご案内します」また二人の目が合った。レクシーは、彼の目の熱意を足の先まで感じた。頭を振ってみたが、少しもはっきりしない。一時間ばかり家のなかを案内してホールに戻ったときも、彼女はまだ夢うつつのままだった。
「このあと、お時間はありますか?」
「え? ああ、はい。でも、どうして?」常識が、彼に帰ってもらうべきだと言っていた。レクシーにとって彼はあまりにダイナミックで、男っぽくて、洗練されすぎている。でも愚かにも高鳴る胸は、彼がいてくれることを願っていた。
「よかった。この辺一帯を見て回りたいんですよ。全体の感じをつかむために。おわかりでしょう」
 少しもわからなかったが、一日をこの人とともに過ごすと考えただけで胸が高鳴った。レクシーがいいとも悪いとも言わないうちにジェイクは彼女を車に乗せ、運転席にすべり込んだ。そして電話でロレインなる人物を呼び出し、遅くなると伝えた。相手は決して喜んでいないようだったが。
「さて、これで夜まであなたのお供ができます。よければ明日の朝まで」彼はちらりと笑った。「ハワード城はどっちの方向ですか? 一見の価値があると聞いたのですが」
 アフターシェイブのさわやかな香り、セクシーなほほえみ。レクシーはますます強く彼を意識した。男性をこんなふうに意識したのは初めてだった。大学で、人並みに社交生活もあったし、デートも何度かした。でもジェイク・テイラーはほかの人とは違っていた。レクシーはすっかり心を奪われていた。
 二十分後、車はハワード城の堂々たる門をくぐり、広い野原のような駐車場に止まった。
「あなたの家から近いですね。これが決め手になるな」ジェイクは気軽にレクシーの肩を抱いて、何一つ見逃すまいとするように周囲に目を走らせた。
 続く二、三時間、彼女は夢見心地で歩き回った。ジェイクは肩に回した手を決して離さず、大広間の荘厳な丸天井から、風変わりな子供用椅子まで、興味を引くもの一つ一つを指摘しながら、ひっきりなしにしゃべった。ハワード城はすばらしかった。家具、復元された装飾品、美術品――すべてが秀逸だった。この城は十八世紀の代表的な建造物で、三代目カーライル伯爵によって建てられ、現在に至るまで同じハワード家が所有している。レクシーはこれまでに何度も訪ねているが、今日は連れを強く意識しているためか、その壮大さによけい圧倒される。
 ジェイクのほうは城の壮観さと同じほど、観光客の多種多様ぶりに感銘を受けているようだった。アメリカ人や日本人が、ヨーロッパ人と肩をすり合わせている。夏の陽光が降り注ぐ広い敷地を散策しながら、彼は何人もの人たちに話しかけていた。広々とした芝生、美しい湖、サマー・ハウス、丘の上にある家族の霊廟。テレビ・シリーズ『ブライヅヘッドふたたび』の舞台として、ここが世界的に知られるようになったのもうなずける。これはイギリスでも最高の、一般公開された大邸宅の一つだろう。
「何を考えているのかな」
 レクシーはほほえんでジェイクのハンサムな顔を見あげた。「たいしたことじゃないわ。おなかがすいたなと思っただけ。歩いたから、食欲が出たんです」
「僕は君を見てると食欲が出る」ジェイクはかすれ声で言ってレクシーをすばやく抱き寄せ、唇を軽く触れ合わせた。まるで電流にさわったように、震えが背筋を伝った。
 ジェイクは肩に手を置いてレクシーの上気した顔を見つめた。「君をひと目見た瞬間から、ずっとこうしたいと思っていた。君は僕の心を騒がせるよ。でもここはそんな話をする場所じゃないな」彼はにっこり笑い、レクシーの腕を取って車に戻った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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