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和書>小説・ノンフィクションハーレクインエロティカ

伯爵様のお気に入り

伯爵様のお気に入り


発行: ハーレクイン
シリーズ: エロティカ
価格:200pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

住み込みで年老いた未亡人の話し相手をつとめるペネロープは、舞踏会で真っ青な瞳の美貌の男性に目を奪われた。彼こそは悪名高き放蕩伯爵ロビン。根っからの女たらしで、この会場にいる女性のほとんどと寝たという噂だ。身分の低い自分が、まさかそんな彼にダンスを申し込まれるとは思わなかった。音楽に合わせてターンする彼の腿がスカートに入り込むたび、熱いものが全身に流れ、呼吸が乱れた。以来、伯爵は屋敷を訪れては、人目を盗んでペネロープを誘惑するようになった。そしてついにある日、使用人階段で待ち伏せしていた伯爵が欲望をむきだしにする。「きみのスカートをたくし上げ、その部分に触れたら……」こんなところで、伯爵様は何をしようというの? 伯爵は戸惑う彼女の腿に両手を滑らせ、下着の中へ――彼女の中心へと指を動かしていく。「すぐに濡れてくる」ペネロープの敏感になった部分を、伯爵は容赦なく弄び……。

抄録

 ペンは彼に本を投げつけたいと思った。同時に唇を重ねたいとも思った。でもどちらもせず、広い肩を揺らして優雅な足取りで部屋を歩く彼をただ見つめた。彼はときおりこちらに目を向けた。書架の前から、石敷きの通路に通じる両開きの扉の前から、伯爵未亡人が前日に摘んだ薔薇の花瓶の前から。その視線は本人の意図とは違って強烈だった。人生の前半を売春宿で、その後を修道院で過ごしたペネロープにとって、なじめない環境などなかった。でもこの男性の前にいるとまごついてしまう。こんなふうに反応してしまう自分をもてあまし、いつも避難所にしている意味のない社交的な会話に逃げ込むこともできなかった。彼はペンの沈黙にもひるまなかった。「修道院で育ったというのは本当?」その指がうなだれた薔薇の花びらをいじっている。
「ええ」ペンは正直に答えた。それから〈ブラックスワン〉のことを思い出して「いいえ」と言い、またあわてて「ええ」と言い直した。ちゃんと“ええ、修道院で育ちました”と言うつもりだったのに、怒ったようにこう言ってしまった。「あなたといると気の利いた答えが出なくなるけれど、そんなこと少しも気になりませんわ」ロビンははっと顔を上げた。鼻の穴がふくらんでいる。彼は急ぎ足でこちらに近寄ってきた。ペンは一歩、また一歩あとずさったが、背中が書架に当たってしまった。ロビンは片手を上げ、彼女の左耳のそば、プラトンの『国家』のあたりに置いた。そしてもう片方の手で感覚のなくなったペンの手から本を奪った。本が床に落ち、ペンは少し飛び上がった。「本を手荒く扱うなんて許されないわ」彼女はつんとして言った。「本には知識が詰まっているからこそ貴重なのよ」
 ロビンは眉を上げた。「手荒く扱ったのはぼくじゃない。もし本が生きていたら、あなたは本を絞め殺すでしょう。気の利いた答えができないというのは――」彼は体が触れ合うぐらい近づいた。「それでこそ公平というものだ。きみだってぼくの答えを奪ってしまうのだから」
 こんなに近くにいると、香りが感じ取れた――ベーラムの香水、石鹸、そして彼にしかない何か。ペンは深く息を吸い込んで彼を味わった。ロビンの指がこめかみのほつれ毛をもてあそび、人差し指に巻き付けて滑らせた。ペンは目を閉じ、顔を仰向けた。動きたくない。でもこれはやりすぎだ。これ以上のことが起こらないように、ペンはせいいっぱい冷たい声で言った。「あなたは動揺しているようには見えないわ」
「見せかけだ」ロビンはそう言って髪をもてあそび続けた。規則正しい呼吸とともに彼の胸が上下する。息づかいに合わせて胸と胸がぶつかる。こちらはちゃんとした文章で話したのに、たった一言で返すなんて。こんなのは不公平だ。けれども引っ張るような軽い手の感触がいらだちを溶かし、ペンは彼に対して体が温かく開いていくのを感じた。髪に触れないほうの手は指をもてあそんでいる。本を奪われ、なすすべもなく握っていた指に、彼の指が触れる。それに反応してペンは身を守るように肘を体に引き寄せた。彼はそのしぐさに気づいたが、手を離さず手のひらを撫で続け、一本ずつ指に触れていく。やがてペンは体を震わせながら手を彼の手にからめた。ロビンは彼女の髪をほどき、大きな手のひらで頭を包んだ。その指に力がこもり、愛撫する。彼は顔を寄せ、ペンの耳元に唇を近づけた。
「どうしてぼくがモーティマー家の舞踏会から退席したかわかるかい?」
「いいえ」息が切れ、うめきに近い声が出た。つかまるものがほしくて片手を彼の胸に当て、指先で絹の縦縞のベストを撫で、きれいに剃ってある顎を、顎から首へと続くその下のやわらかな肌を撫でた。
「あの舞踏会を出たのは」彼は続けた。息がリズミカルに耳に当たる。「話すことも考えることもできなかったからだ。ぼくは外に出て、そばにあった噴水に頭を突っ込んだ」
 思わず驚きの笑いがもれた。それに応えるように彼の口元にもほほえみが浮かぶ。と、彼がやさしく首を噛んだ。ペンは身を震わせた。噛んだ部分を舌で舐められ、また体が震えた。ざらついた低い声が言う。「あの娘をものにしろ、そう頭の中の声が言い続けるんだ。まるで、あの場でスカートをたくし上げ、中に深く埋まって二人とも果てるまで踊り続けられるかのように」彼の息づかいはもう規則正しくはなかった。その口調にかすかなユーモアが忍び込んだ。「おかしな話だというのはわかってる。だが全身から汗が噴き出した。あんなにもほしいと思ったものはほかになかったほどだ」
 その言葉に魅せられたかのように、ペンは頭をめぐらせて口を開き、彼を味わいたい一心で肌に押し当てた。ふいにロビンが強くウエストをつかみ、首を傾けて唇を重ねた。そのとき図書室に続く石敷きの通路から伯爵未亡人の大きな声が響いた。「だめよ、ルーシー、青い花瓶にして」ペンが駆け出して扉から半分身を乗り出したとき、片腕に薔薇のかごを抱えた伯爵未亡人がしゃべりながら部屋に入ってきた。「ここにいたのね、ペネロープ。ルーシーが上着を持ってきたわ。公園まで一乗りしましょう。途中でメレディスを拾っていくわね」


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