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伯爵が見つけた家なき娘

伯爵が見つけた家なき娘


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リン・ストーン(Lyn Stone)
 文章を書くのも、絵を描くのも大好きで、一時期はイラストレーターとして働いていた。小説を執筆するきっかけとなったのは、表紙のイラストの仕事を探していたとき。昔からロマンス小説の愛読者だったため、自分にも物語が書けるのではと思い立った。現在は夫のアレンとともにアラバマ州に住む。近くには子や孫も住んでおり、若い登場人物の性格を考える際に一役買ってくれているという。

解説

生まれてすぐに生家を追われ、やっと迎えが来たと思ったのに……。

ローレルは英国の伯爵家の娘として生まれたものの、身分の卑しい母親が出産時に命を落とし、スペインの修道院へ送られた。ほどなく父が迎えた上流階級出身の後妻にうとまれたから。大人になったローレルは修道院をあとにし、農園主の館で住み込みの家庭教師として働き始める。ある日、好色な農園主に襲われそうになっていたとき、遠い親戚だと名乗るジャックがふいに現れ、館から連れ出してくれた。ローレルの父が亡くなったことで伯爵位を継承したばかりの彼は、彼女を故国へ連れ戻しにはるばる来たという。但しそのためには結婚する必要があると言われ、ローレルは息をのんだ。

■息もつかせぬ展開が持ち味の作家リン・ストーンのリージェンシーをお届けします。幸薄いローレルの前に突然現れた美貌の伯爵ジャック。彼がある計画を胸に秘めているとも知らずに結婚した彼女の運命やいかに? ご好評を博した『貴公子と壁の花』の関連作です。

抄録

 上流階級の夫婦は別々の寝室を持つのが習わしだと聞いたことがある。その伝統については検討し、場合によっては自分の家では変える必要があるかもしれない。
 そう考えると、初夜が達成できていないという失態が始まって以来、初めて慰められた。女性とベッドに入ったらどうすればいいかはわかっている。それは、ジャックにとって何も新しいことではない。
 唯一心配なのが、ローレルにとってはまったく初めての体験だという点だ。未経験の女性はどう反応するだろう? もしかすると、この特殊な状況こそが、結局のところジャックにとって初めての体験なのかもしれない。
「奥様のお部屋です」ミセス・プライスは、緑と白で繊細に飾りたてられた広い部屋に二人を案内した。
 ずいぶん仰々しい部屋だとジャックは思った。質素な修道院で育ったローレルの目に、このフリルがありがたく映ってくれるといいが。さしずめ修道女なら、最小限の必需品しか認めないだろう。
 優雅で精巧な彫刻が施された机の上には、しゃれた銀のインク壺と染色された羽ペンが並んでいる。窓を覆う薄緑色のダマスク織りのカーテンは、ビロード状に模様の浮き出た壁紙とよく合い、大きなベッドの天蓋を飾る花柄の絹地は、重厚な刺繍のベッドカバーを引きたてている。一方の壁の半分を覆っているのは、大きな整理だんすだ。
 ジャックはしばらくの間、ローレルがこの豪華な部屋で横たわって自分を待っているところを想像した。いよいよその時が近づいてきたと思うと、旅の間中抑えていた欲望が頭をもたげる。
「すてき」ローレルは言ったが、あまり熱意の感じられない口調だ。声が震えている。
 自分と同じことを考えているのだろうかとジャックは思った。
「すぐにお風呂の用意ができますよ、奥様」ミセス・プライスが言った。「だんな様、こちらへどうぞ」部屋の隅のドアを指し示す。
 ジャックはあとについて、隣の更衣室に入っていった。そこには、まだ湯が入っていない大きな銅の浴槽や収納機能つきスツール、脚の短い椅子、背の低い小型の鏡、棚が置かれている。反対側のドアを開けると、ジャックの部屋だった。
 ローレルの部屋より広く、緑と茶色を基調にした重厚な内装だ。折りたたみ式テーブルに椅子二脚、背の高い洋服だんす、それに見たこともないほど巨大な天蓋つき四柱式ベッドが備えられている。
 ジャックは、背後の戸口でローレルがうろうろしているのに気づいた。同じことを考えているに違いない。お互いの部屋を訪れるのに、招待が必要だろうか?
 ジャックは道をあけた。「入って、見てごらん」それから家政婦長に向かって言う。「ミセス・プライス、できれば食事はここへ運んでくれ。階下のみんなは忙しいだろうから、両方の部屋の暖炉は、ぼくがつけるよ」
 恰幅のいい家政婦長は目を丸くした。「ですが、だんな様、それは下僕の……」声が小さくなり、咳払いした。「仰せのとおりに、だんな様。よろしければ、階下へ行って奥様のお世話をするメイドを呼んでまいります。だんな様のお世話はジョージがいたしますが、あまりそちらの経験はございません」
 家政婦長の顔には疑問が浮かんでいる。伯爵夫妻は、なぜ従者も侍女も従えずに来たのだろうか?
「わかった」ジャックは答えた。伯爵ともなれば、くどくど説明したりはしないだろうと思ったので、それ以上何も言わなかった。
 家政婦長はお辞儀すると、廊下側のドアから出て、ドアを閉めた。
「よし!」ジャックは叫んでローレルのほうを向き、手をとった。「ぼくらの家だよ。ご感想は?」
 ローレルは、ベッドを見ながら不安そうに笑った。「わたしたちには、十分すぎるようね、だんな様」
「だんな様はやめてくれよ、ローレル。きみの口から出なくても、これからいやというほど聞かされそうだから」
「何もかもが大きくて立派ね」ローレルは小さな声で言った。
 ジャックは肩をすくめた。「ぼくたちが背負うべきものもね。田舎に行ったら、どうなるんだろうな。ここよりはるかに大きな家と広い領地、それにもっと大勢の使用人がいると思うよ」そして途方もなく大きな責任が二人にのしかかってくるに違いない。
 ローレルはため息をついてジャックを見上げた。「どうふるまって、何を言えばいいのか、わからないのよ。大丈夫だと思っていたの。そう願っていたんだけど……圧倒されてしまって」
 ジャックはローレルを抱きしめた。魔法の杖でも振って、新生活に適応する苦労をなくしてやりたい。ローレルを守りたいと心から思っているが、以前彼女が見せていた、あの自信がいくらかでも戻ってほしいと願わずにはいられない。いや、その自信のひとかけらでも、自分にほしいのかもしれない。
 ジャックは大きく息を吸って不安を追い払った。自分にもローレルにも、きっとできる。「たぶん、すぐに慣れるよ。何しろ、ぼくは船長を務めていたんだ。これだって、そう変わらないはずだろう。きみは、修道院長になったつもりで、あの連中をとりしきったらどうだい?」
 ジャックは、ローレルが声を出さずに笑っているのを感じた。
「隣に修道院長がいるなんて、いやでしょう」
「もちろん、今夜はいやだね」ジャックの答えにローレルの笑いが止まった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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