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鷹の王とシンデレラ

鷹の王とシンデレラ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・ケンドリック(Sharon Kendrick)
 ウエストロンドン生まれ。写真家、看護師、オーストラリアの砂漠での救急車の運転手、改装した二階建てバスで料理をしながらのヨーロッパ巡りなど、多くの職業を経験する。それでも、作家がこれまでで最高の職業だと語る。医師の夫をモデルにすることもある小説のヒーロー作りの合間に、料理や読書、観劇、アメリカのウエストコースト・ミュージック、娘や息子との会話を楽しんでいる。

解説

傲岸不遜な国王が選んだ花嫁は、地味でお堅い本の虫。

ロンドンにあるカファラー王国の大使館で働くジェーンは、美しく派手な双子の妹と常に比較されつつ、堅実に生きてきた。その妹が多額の借金をつくったとわかり窮地に陥ったとき、国王ザイードが突然現れて、驚くべきことを申し出る。「遺産相続のために妻が必要だ。そして君は完璧な候補者だ」しかも彼女を選んだ理由は、女性として魅力がないので惹かれず、用済みになればすぐに手放せる便宜結婚相手として適任だからと。ジェーンはあまりの屈辱に震えるが、抗うことはできなかった。新婚初夜、彼女は思いがけず夫の秘密を知ることになり……。

■傲慢ながらも魅力的なヒーローを描くことに定評があるシャロン・ケンドリックらしいロイヤル・ロマンスをお届けします。尊大な国王の知られざる一面に心を奪われてしまったヒロインは……?

抄録

 目を上げると、獲物を見つめる鷹のようなザイードの黒い瞳に出合い、震えそうになるのをこらえた。車の中で隣に座っているだけで、私の体が抑えきれないほど反応していることに、彼は気づいているかしら? 心臓がどきどきして脚の間が熱くなり、気が動転しそうになる。今でさえそうなのだから、偽りの結婚の初夜に部屋で二人きりになったら、どうなることか。
 立ち向かわなければ。彼は残酷な真実を容赦なく私に告げたのだから。
「でも、私たちが別々の部屋で休んでも誰も気づかないと思いますが」
 ザイードの瞳がきらめいた。「とんでもない。カファラーの生活においては伝統が何よりも重視される。僕はそれを守るつもりだ。この結婚はすべてしきたりどおりに執り行われる。結婚の目的は相続だが、それに伴うほかのメリットもあるかもしれない。国王がようやく伴侶にふさわしい女性を見つけたと知ったら、臣民は喜ぶことだろう」
「それが真実でなくても?」
「それが真実でなくても」ザイードがおうむ返しに言った。
 ジェーンはハンドバッグのストラップを指にからめながら、豪奢な環境では人工皮革がいかに安っぽく見えるか痛感していた。「そして、殿下が六カ月後に結婚生活を打ち切って、失敗だったとおっしゃったら、臣民は失望して悲しむのではないでしょうか?」
 ザイードは首を横に振った。「そんな心配はない。僕はただ、西洋人との結婚は不可能だと判明したという声明を発表する。文化の違いがあまりに大きすぎたと。そして、カファラー人の女性とでない限り、二度と結婚は考えないと。それで臣民は落ち着き、満足するだろう。一方、カファラーの若い女性たちは、誰が花嫁に選ばれるかと胸をときめかせることだろう」
 気にするのはばかげていると自分に言い聞かせながらも、ジェーンはその言葉に傷つかずにはいられなかった。彼はなんて無神経なのかしら! 私のことを感情のない物のように扱って、好きなように操れるとでも思っているの?
 また窓から外をのぞくと、突然、遠くに建物が見えてきた。有名なカファラーの王宮をよく見ようと身を乗り出すうち、悩みはどこかへ消え、興奮で胸が高鳴りはじめた。この象徴的な建物は、カファラーに関する書物やテレビ番組には必ず登場するし、大使館で働くようになってから、何千枚もの絵画や写真でも見てきて、よく知っている。だが、砂漠の風景の中に要塞のようにそびえ立つ宮殿を初めて見る衝撃は、予備知識をはるかに超えていた。
 ローズゴールドの金箔におおわれた王宮の青いドームが雲一つない空にそそり立ち、高価な宝物のように地平線にきらめいている。近衛兵の一団が、金や銀で装飾された壮大な門の前で歩哨に立っている。門にはめこまれた太陽に輝くダイヤモンドが本物だということを、ジェーンは知っていた。
 背の高い椰子の並木のある広いまっすぐな道の両側には、華麗な装飾の施された一対の噴水があった。片方は昼を、もう一方は夜を表している。前庭には“月の鏡”が置かれた秘密の園があり、満月のときには月をぴたりと縁取る位置に配置されて、地球上で最もロマンチックな場所と呼ばれている。
 門が大きく開いて車が迎え入れられたとき、鮮やかな色彩が目に飛びこんできた。見るとそれは遅咲きの薔薇で、赤とアプリコット色の花が繚乱と咲き乱れている。エアコンの冷気を無視してウインドーボタンを押すと、芳香が車内に流れこんできた。夢に見たとおりの光景に、ジェーンの唇から感嘆の吐息がもれた。やがて車は壮大なアーチ形のドアの前に止まった。ドアにはめこまれたオパールが虹のように輝いて見える。
「ああ、すばらしいわ」ジェーンはそっと言った。「自分が本当にここへ来ているなんて信じられない」
「僕の家が気に入ったようだな、ジェーン・スミス」
 ザイードの存在を忘れかけていたジェーンが振り返ってみると、彼がこちらを見ていた。その表情はなぜか満足げだ。そんな顔をしないでほしいと、ジェーンは言いたかった。彼の声はやさしく愛撫するようで、一言一言がベルベットのようになめらかに肌を撫でていく。どうして彼の瞳は私が何かすばらしいことでも言ったかのように輝いているのだろう? 私はただ事実を、彼の住む宮殿は庶民にとってはおとぎ話のようだと言っただけなのに。
「ローズゴールドの宮殿がすばらしいことは言うまでもないでしょう」ジェーンはぎこちなく言ったが、この場の空気を落ち着かせようとする試みは完全に裏目に出たようだった。ザイードはいつものように横柄で軽薄な返答をして自分をいらだたせるかと思ったのに、黒い瞳を興味深げにきらめかせている。
「なぜ君はそんなに強情っぱりなんだい?」ザイードが静かに尋ねた。
「私が強情っぱりなのは一部の人に対してだけです」
「僕のような?」
「ええ、陛下のような」
「それはどうしてだ?」
 いきなり何も答えを思いつかなくなった。ザイードがそばにいると気持ちが高ぶって、いつものように仮面をかぶっていられなくなる。突然、あらぬ方向へ考えが走っていきそうになる。彼の唇があまりにもセクシーに見えて、キスされたらどんなかしらと考えてしまう。彼のたくましい体を見ていると、先週読んだ古文書のエロチックなシーンを頭に思い浮かべずにいられなくなる。
 突然、ジェーンは体から力が抜けそうになった。ザイードが息をついただけで吹き飛ばされ、彼の腕の中に倒れこんでしまうのではないかと思うほどだ。


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