マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

一夜が授けたエンジェル

一夜が授けたエンジェル


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 テレサ・サウスウィック(Teresa Southwick)
 日々発展がめざましい街、ラスベガスに夫とともに暮らしている。少女のころから読書が大好きだった。フルタイムの作家になる夢が実現し、無上の喜びを感じている。お気に入りは、ジャスミンの香り、浜辺の散歩、屋根に当たる雨の音、そして何よりもハッピーエンドだという。

解説

夢見ていないと言ったら嘘になる。あなたと赤ちゃんとの温かい家庭を。

エミリーには11カ月になる娘アニーがいる。父親はハンサムな元恋人の医師カルだが、娘が生まれたことは知らない。一生結婚する気はないと言う彼に、妊娠を打ち明けられなかったから。けれど、胸のしこりに気づいて初めて、自分に何かあったとき娘を託せる相手がいないと心配になり、遅まきながらカルを訪ねた。娘がいると知った彼は、自分の子供かどうか疑いつつも、会わせてほしいと要求してきた。そして初対面の日、あどけないアニーを一心に見つめるカルを見て、エミリーの心は激しく揺れた。結婚嫌いの彼と結ばれることは決してありえない。でも……。

■数々の受賞歴を誇る実力派テレサ・サウスウィックが、大人気の“秘密の命”をテーマに綴る作品をお楽しみください。好評を博した『ボスとナニーの契約結婚』、『ナニーが恋した傲慢富豪』と同じく、今作でもけなげなヒロインに涙を誘われます。

抄録

 アニーがいつの間にかおもちゃの詰まった箱の前まではいはいしてきていた。何やらつぶやきながら小さな手でシンデレラの馬車のおもちゃを取り出し、うれしそうに振りまわす。
 エミリーが娘の横にひざまずいた。「お行儀よくして、アニー。あなたのパパが持ってきてくれたのよ。さあ、パパにありがとうって言える?」
「かわいい人形もあったんだが、品質を保証するシールが貼られていなかったんだ」カルはアニーにほほえみかけた。娘がきょとんとした顔で父親を見上げる。「三歳になると、遊べるおもちゃがぐんとふえるんだけどね」
「三歳になると、なんでも口に入れなくなるからじゃないかしら。そうしたら窒息する危険性が少なくなるもの」
 カルはうなずいた。「だがそうなったら、今度はおもちゃを鼻や耳の穴に突っこむことを心配しなくてはならないぞ」
「まあ、カル」エミリーがうめいた。「それ、冗談よね?」
 彼は首を横に振った。「ERで働いていれば、冗談ではないとわかるよ」
 エミリーがあきれたようにも心配そうにも見える表情になった。「おもちゃが子供にとってどれだけ危険なのか、身をもって知っているというわけね」
「そのとおり」
 カルはアニーの注意を引くためにわざと大きな音をたてておもちゃの包み紙を破った。アニーは目をきらきらさせながら父親を見つめている。しばらくすると、彼のほうにはいはいしてきた。カルの胸に父親としての喜びがこみあげた。エミリーも笑顔でこちらを見ている。
 アニーはカルのすぐ近くまでやってくると、テーブルに手をかけて立ち上がった。そして、彼がピンクのリボンをほどき、タオル地の人形を包装紙から取り出すのを見守った。
 カルは人形を膝の上に置いた。そこなら赤ん坊にも手が届くからだ。アニーは床にぺたりと座ってから、よろよろと立ち上がった。なんの支えもなく自分の力だけで立ったのは初めてだった。
 カルはそれに気づいて声をあげた。「今のを見たかい?」
「もちろん見たわ! でも、自分一人で立ったことに気づいたら、びっくりしてすぐにまた座りこんでしまうかも」
「もうじき歩けるようになるな」カルは改めて父親としての喜びを噛みしめた。
「ええ、あと少しで歩きだすでしょうね。ありがたいわ。ちゃんと成長しているのね」
 アニーが指先でカルの膝の上の人形をつつき、うれしそうな声をあげた。
「ねえ、アニーはあなたに抱っこされたがっているわ」
 カルは驚き、エミリーに顔を向けた。「そうなのか?」
「アニーは女の子だもの。プレゼント作戦はいちばん効果があるのよ」
 カルは人形をソファに置いてから、両手でこわごわとアニーの腰をつかみ、膝の上に抱き上げた。アニーは人形のほうに手を伸ばしたが、届かなかった。彼が人形を渡してやると、アニーは胸に押し当て、はしゃいだ声をあげた。
「作戦がようやく成功したよ」カルは目を輝かせた。「抱っこしても泣かなくなった」
「おめでとう。だから時間がたてば大丈夫だって言ったでしょう」
「それと、クレジットカードを賢明に使うことだな」
「さすが天才医師ね」
 それから一時間ほど、カルは買ってきたプレゼントを一つずつ開けながらアニーと遊んだ。アニーは自分からカルの膝の上によじのぼるようになり、おもちゃをつかんでは彼に手渡した。やがておとなしくなって、目をしきりにこするようになった。
「そろそろベッドへ連れていく時間だわ」エミリーがそう言いながらアニーを抱き上げた。「寝かせてくるわね」だが、廊下に出たところで振り返って声をかけた。「一緒に来てもいいわよ」
 カルはもちろん子供部屋までついていき、エミリーが手際よくおむつを替えてから、アニーをベッドに寝かせるのを見守った。部屋の照明を消してから、二人はリビングルームに戻った。
「遅くなってしまったわね」エミリーは玄関のドアを開けた。「今日は来てくれてありがとう」
「こちらこそアニーに会わせてくれてありがとう」カルはエミリーの前で足を止めた。エアコンの効いた涼しい室内に外の熱波が流れこんでくる。冷たい空気と熱い空気がぶつかり、竜巻が起こるにはふさわしい状況だった。そう、カルの体の中に。
 エミリーの唇はキスするためにできていると思わずにはいられなかった。別れてからも忘れられなかったことがいくつもあるが、彼女とのキスもその一つだ。
 気がつくと、カルはエミリーの腰に腕を回して引き寄せ、深々と唇を重ねていた。エミリーは驚いたように体をこわばらせたが、唇を離そうとはしなかった。二人の体が服で隔てられていることがもどかしくなり、カルはとっさに彼女のスカートの裾をまさぐって中に手をすべりこませようとした。だが、エミリーはびくりと体を震わせてから、彼の肩に手を当てて押しやった。
 それは拒絶のしぐさだった。カルは一歩下がり、深呼吸をしてから口を開いた。「今のはありがとうとおやすみの気持ちをこめたキスだ」
「わかっているわ」エミリーがかすれた声で言った。
「もう帰るよ。今日は本当にありがとう。きみのおかげでアニーとゆっくり遊べた」
「おやすみなさい、カル」
 エミリーがドアを閉めた瞬間、カルは気づいた。たった今、口から出たでたらめな言い訳を、自分だけでなくエミリーもまったく信じていないことを。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。