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沈黙の愛

沈黙の愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャスリン・ロス(Kathryn Ross)
 ザンビア生まれのイギリス育ち。現在はランカシャー、アイリッシュ海に面するブラックプール郊外に住んでいる。ビューティー・セラピストとしても活躍する異色の作家。旅行が大好きで、多くの国々を訪れた。社交的で明るい射手座の女性。

解説

アリシアは社長デックスの秘書として働いているが、いつしか二人の関係は仕事のつき合いを超え、昼は有能なパートナー、夜は情熱的な恋人となった。だが、デックスの子を身ごもっていると知ったとき、喜びと同じくらい大きな不安に、初めて襲われたのだった。デックスは一度も愛を口にしたことがない。そればかりか……アリシアにはひとつ、気がかりなことがあった。会社の出資者の一人で、デックスの元恋人だという女性の存在。もしかしたら私は都合のいい女で、彼はまだ彼女のことを……? 女の悪い勘は外れない。アリシアはある夜、その証拠を見てしまう。

■一人の魅力的な男性をめぐる、三角関係を描いたロマンスです。彼の子を宿した秘書と、彼と事業で深く結びついている元恋人。彼の心を射止めるのは、はたしてどちらの女性なのでしょう?

抄録

「アリシア、ちょっと来てくれ」インターホンからのデックスの声に彼女は飛びあがった。
 ブルーのシンプルなシフトドレスを手で撫でつけてしわをのばし、立ちあがってドアに向かった。
「すごいニュースだよ!」デックスがにっこりして言う。革の椅子の背にもたれ、両手を頭の後ろで組んで、リラックスして幸せそうだ。
 なんて魅力的なのだろうと、アリシアは思った。その黒い瞳に出あうたびに、ハートが少しずつ盗まれていくような気がする。こっそりと、激しく。
 デックスは二十七歳で、映画のスクリーンでよく見かける、整った男らしい容姿の持ち主だった。黒い髪はきちんとカットされ、女性を振り向かさせずにはおかない体形。だが本人は、自分の容姿が異性におよぼす力に気づいていないようだ。頭はいつも仕事のことでいっぱいなのだろう。わたしがどんなに愛しているかも、全然わかっていないのではないかしら? そう思うと、胸がきゅっと痛くなる。
「マディーがぼくの企画を気に入ってくれたんだ」
「あたりまえでしょう。あなたは天才ですもの。いつか、自分の開発したソフトで大金持ちになるにちがいないわ。あなたのでっかい夢も顔負けのね」
 デックスはつかのままばたきもせずに彼女を見てから、ゆっくり言った。「きみが柄にもない言葉を使うときって好きだよ」おかしそうな、ものうい口調だった。「もっと言ってくれないか」
「そうねえ……」レザートップのデスクに乗りだしぎみに両手をつき、彼女は懸命に考えた。
 その様子をデックスはしばらく眺めていた。長いブロンドの髪をポニーテールにし、化粧っけもないが、肌はみずみずしくてしみひとつなく、唇は桃のようにやわらかで、長いまつげは濃く黒い。
 だが、典型的な美女というのではない。むしろ人目に立つというのだろうか。気品があり、人の関心をとらえて放さない何かがある。ひょっとしたら、大きな青い目と高い頬骨のせいかもしれない。あるいは、背が高くみごとな肢体をいつもしゃんとのばしているからかも。
「ヘンリー・バンクスとジョージ・ミルトンがうちと契約したくてがっついていますわ。未決書類入れには、おふたりからの手紙が何通も入っています。社長の才能を買っている証拠に、今朝もおふたりが二度も電話してきました」
 デックスはにっこりした。「時代は変わった、だろう?」
「本当」ミルトンやバンクスといった一流企業が、“デックス? いったいどこの馬の骨だ”と言っていたのはつい最近だった。いまでは居ずまいを正してうやうやしい関心を示してきている。「それで、どちらを選ぶつもりですか?」
「どちらもノーだ」デックスはちらりと彼女のドレスの丸い襟首に目を走らせた。ブラのクリーム色のレースがわずかにのぞいているのに気づいて、気が散った。「マデライン・マクドウェルが、とても興味のあるオファーをしてきたんだ」
「本当に?」なぜか胸騒ぎがする。これはビジネスだし、この世界でデックスはずばぬけた才能を持っている。わたしは手紙を受けとり、電話をとりつぎ、オフィスをきびきびと効率よく管理しているだけ。それだけのこと。「ミルトンとバンクスへの手紙の下書きをしましょうか? 申し出を丁重に断って、でも選択の余地は残しておくような」
「いや」デックスは、ドレスの胸もとのボタンに目を向け、身を乗りだして細い手首をつかんだ。「ぼくがしてほしいのは、そんなことではないよ」
 声にはっきりとみだらなほのめかしが聞きとれる。手首の内側のやわらかな肌を愛撫されて、アリシアは全身に火がついたように感じた。「では、何がお望み?」
 デックスは手を引っぱって彼女にデスクを回ってこさせ、椅子を後ろに引いた。
「わかっていると思うが」そっとささやく。
「オフィスでこんなこといけないわ」非難めいて聞こえるように言いながらも、すなおに膝の上に引き寄せられた。
「わかっているよ」かすれた声。「だが、そんなセクシーな格好で出勤してこないようにと前にも言ったはずだ。目の毒だよ」
 淡いブルーのシフトドレスを彼女は見おろした。セクシーとはほど遠いドレスだった。スカート丈は膝のすぐ上という良識的なものだし、ラインも少しも露出的ではない。「ちっとも目の毒ではないわ」
「そうかな?」
 指先で横顔をすっと撫でられ、アリシアは激しく官能をかきたてられた。体が応え始める。指先が首すじを下がってきて襟もとをなぞり、甘美なまでに悩ましい官能のさざ波を身内に引き起こした。
「では、成功すると言ってくれたからだ。そう言われると、くらくらきて興奮してしまう」
「覚えておかなくてはね」ハスキーな声でつぶやき彼女はのびあがってキスをした。
 初めは優しい穏やかなキスだったが、すぐに熱っぽい欲情を帯びてきた。アリシアは彼の豊かな黒髪を指でまさぐり、体をいっそう寄せていった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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