マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ 別冊

愛人と呼ばれて

愛人と呼ばれて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 ジェシカ・スティール(Jessica Steele)
 イングランド中部に、七人兄妹の六番目に生まれた。現在はウースターシャーの風光明媚で文化財に富んだ村に夫とともに住んでいる。公務員として働きながら夜の時間を執筆にあてていたが、夫の励ましを得てフルタイムの作家となった。一番の趣味は旅行で、メキシコ、中国、香港……と、取材をかねてさまざまな国を訪れている。

解説

ジョージーナが秘書として勤める会社が世界的大企業に買収された。ハンサムな社長のタリスにじきじきに呼び出されたジョージーナは、いきなり友人の男性と別れるよう申し渡され、驚いた。さっぱりわけがわからないジョージーナに、タリスが告げる。新しい重役が君をくびにしろと息巻いている、君がつき合っている男は彼の娘の夫だそうじゃないか、と。とんでもない誤解だわ。私はただの友達よ、愛人なんかじゃない!だが、タリスは彼女の説明に耳も貸さず、厳しい声で命じた。「君には、しばらくのあいだ僕の目が届くところで仕事をしてもらう」私がこんな傲慢な人の秘書に? だが、やがて彼の優しさに惹かれて……。

■〈ゴージャスな恋人〉と銘打ちお贈りする企画第2弾は、ハーレクイン・イマージュの人気作家ジェシカ・スティールの大ヒット作。永遠の人気テーマ、ボスと秘書の恋を描きます。

抄録

「おみごとね」ジョージーナは、タリス・ヨークの車に乗ってから言った。「あなたは本当に才知にたけていらっしゃるわ」たっぷり皮肉をこめて言ったのだが、彼は涼しい顔をしている。
「いやいや、とんでもない」
 ジョージーナは彼にばしりと平手打ちを見舞いたい衝動をなんとか抑え、フラットへの道順を告げる以外には固く口をつぐんでいた。
「中に入ってもいいかな?」フラットに改造した家の門の外で車を止め、エンジンを切ってタリス・ヨークがきいた。
 なぜ中に入りたがるの? ジョージーナは理解に苦しんだ。返事はしなかった。無言の意味が拒否であることを彼は察するだろうし、入れる入れないで押し問答をしたくなかったのだ。
 明日になったら、礼儀を欠いたと良心が疼くかもしれないけれど、ジョージーナはおやすみなさいさえ言わなかった。だが、タリス・ヨークは無言の答えを了解と受け取ったらしく、車を降りて一緒にコンクリートの石段を上ってきた。ジョージーナは困惑した。こみ上げる怒りを抑えながら正面玄関の鍵を開け、帰ってもらおうと振り返った。彼は大きなドアを押し開けてジョージーナを中へ促し、スイッチを探って明かりをつけ、後ろ手にドアを閉めた。
「おやすみなさい、ミスター・ヨーク」ジョージーナは顔をこわばらせて言った。
「君の部屋まで送る」そうしないのは紳士としてのマナーに欠けると思っているかのように、彼はジョージーナの手からするりと鍵を抜き取った。「案内してくれ」
 ジョージーナはあえて鍵を奪い返さなかった。どうせまた取り上げられるだろうし、鍵の争奪戦を繰り広げたくない。二階に上がり、怒りをたぎらせながら無言で部屋の前に立つ。タリス・ヨークはドアを開け、体を引いてジョージーナを中に入れた。
 二人は同時にスイッチに手を伸ばした。指先が触れ合い、ジョージーナはどきりとした。明かりが灯り、彼女は手を下ろそうとしたが、タリス・ヨークが手を放さない。ドアを閉め、手を握ったまま、きちんと整頓されたこぢんまりとした居間を眺め回している。一脚の安楽椅子とソファ、そして彼女がここに住み始めてから買いそろえたあれこれを。
「手を放していただけません?」ジョージーナは努めて冷静にしていたが、実際はそれどころではなく、タリス・ヨークの目がじっと唇にそそがれるといっそうたじろいだ。
 彼が変な気を起こしたらどうしよう。ジョージーナは不安に襲われた。けれども、その不安がどこからくるのかわからなかった。彼がもし何かしようとしたら平手打ちを食らわせなければならず、そうしたら解雇される確率がますます高くなるという危惧のせいだろうか。あるいは、僕を拒んだ女はいないぞ、と言いたげに余裕たっぷりな彼のまなざしのせいなのか。いつもならけっしてそんなことは考えないのに、彼のキスはどんなふうかしらなどという思いがなぜかジョージーナの心をくすぐるのだった。
「美しい手だ」タリス・ヨークはジョージーナの手を唇のところまで持ち上げてしげしげと眺め、その甲に軽くキスをした。
 ジョージーナは威厳も何もかなぐり捨てて手を引き抜こうとした。彼はその手を放そうとしないばかりか、その機に乗じていっそう引き寄せようとする。ジョージーナは心とは裏腹に体の奥が奇妙にちりちりと熱くなるのを感じた。
「あの……もうお帰りくださいませんか、ミスター・ヨーク」強く言ったつもりだったが、いまいましいことに思ったように声に力が入らなかった。
「タリスだ」彼は訂正した。「美しい手、そして美しい顔」彼がさらにジョージーナを引き寄せ、二人の体は触れ合いそうになった。
「待ってください、ミスター・ヨ……タリス」きらきらした黒い目に間近で見つめられると、ジョージーナは催眠術にでもかかったようになり、意思に反して声がかすれた。
「しっ!」タリス・ヨークがささやき、ジョージーナが予想していたことが――心の隅でひそかに望んでいたことが起こった。彼の頭が下りてくる。ジョージーナは抗議しようと口を開きかけたが、次の瞬間にはもう唇が重ねられていた。こんなに巧みなキスは初めてだ。
 ジョージーナは彼に身を委ねたい衝動と闘いながら、なぜ自然な気持に逆らわなくてはならないのかしらとも思った。彼の手が背中に回されると、わき上がる衝動と闘うのはもう困難だった。
 タリス・ヨークの指が背筋を撫でる。ぞくぞくする快感が体を走り抜け、ジョージーナは我慢できずに彼にしがみついた。唇がいっそう強く押しつけられる。ジョージーナはもう何も考えられなくなり、両手で知らないうちに彼を抱き締めた。
 彼が唇を離した。その唇が喉に当てられ、ジョージーナの膝から力が抜けていった。強く抱き寄せられると、甘美な震えが体を貫く。慎みと奔放な感情がせめぎ合った。だが、このままいったらどうなってしまうだろうとふと怖くなり、ジョージーナはいつもの自分に戻って体を離そうとした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。