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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

海運王と皿洗いの乙女

海運王と皿洗いの乙女


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 スーザン・スティーヴンス(Susan Stephens)
 プロのオペラ歌手として活躍していた経歴を持つ。夫とは、出会って五日後には婚約をし、三カ月後には結婚したという。現在はチェシャー州で、三人の子供とたくさんの動物たちに囲まれて暮らしている。昔からロマンス小説を読むのが大好きだった彼女は、自分の人生を“果てしない、ロマンティックな冒険”と称している。

解説

18歳で、親も住む家も失った。愛しい天使が私のすべてだった。

「あの裁判のあと、きみはどこへ消えたんだ?」蒸し暑い厨房で皿洗いをしていたリジーにデイモンは言った。まさかこんな食堂で、彼に見つかってしまうなんて。11年前、出会った瞬間に惹かれあい、一夜をともにした翌朝にリジーの父親を刑務所送りにしたデイモン・ギャヴロス――彼は今や“世界一魅力的な独身富豪”と騒がれる成功者だ。片やリジーは父亡きあと継母に家を追い出され、下働きをしながらあの夜の愛の証を必死に育てているのだった。娘を奪われることを恐れ、真実をひた隠す彼女だったが……。

■異名にたがわず圧倒的な魅力を放つデイモンに、再び強く惹かれるリジー。彼の所有する島での夢のようなひとときも束の間、娘を隠されていたと知った彼は激怒して……。数奇な運命に弄ばれた乙女と孤高のギリシア富豪が織りなす、熱く切ないシンデレラロマンス。

抄録

「どこへ向かっているの? だめ、振り返らないで!」彼がこちらを見ようとしたので、リジーは悲鳴をあげた。「あなたは前だけを見ていて!」
 デイモンは笑い声をあげた。「どこへ向かっているかはちゃんとわかっている」
 でしょうね。そしてわたしはそれを恐れている。シアとデイモンに告白するのは簡単なことに思えたが、何も言えないまま時間ばかりが過ぎていった。
「ここが目的地?」ボートが減速し、リジーは美しい入り江に視線をめぐらせた。
「コーヴ・クリスタロと呼ばれている」デイモンはスロットルをゆるめて説明した。「水晶の入り江という意味だ。もともとこの島で一番気に入っていた場所で、ここに自分の家を建てたばかりだ」
 しかもただの家ではない。それはリジーが見たこともない豪邸だった。鮮やかなローズピンクの岩でできた瀟洒な邸宅は、まわりの景色に見事に溶け込んでいる。海に面しているから、ビーチハウスと呼べるのだろうが、これはその億万長者版だ。
 目の前に広がる光景は、娘との慎ましい暮らしからあまりにもかけ離れていて、なんだかばからしくなってきた。
「二時には戻るんだろう。忘れていないよ」頭を振るリジーにデイモンは約束した。
「ありがとう」今回は彼に気持ちを読まれなくてよかった。
 デイモンが海のほうを向いて投錨するあいだ、リジーは人気のないビーチにふたりきりだという事実を今さらながら実感した。波が船体に打ちよせ、彼女はよろめいてデイモンにぶつかった。彼に体を支えられ、その手の感触が、忘れたほうがいい記憶を呼び覚ます。
 リジーは顔を赤らめて体を起こした。
「船酔いか?」デイモンは楽しげに彼女を見つめていた。
「そうみたい」
 抱きとめられた肩に彼の手の感触が残り、彼のまなざしが熱を生みだす。
 取り戻すことができないものを求めても無駄よ。リジーは自分に強く言い聞かせた。それに、どうして取り戻したがるの? 十一年前、デイモンはセックスを楽しんだあと、わたしの前から姿を消した。あれが大切な夜になったのは、シアが生まれたからにすぎない。
「岸まで泳いで競争しようか?」デイモンは錨が固定されたのを確かめると、体を起こして提案した。
「ハンデをつけて先にスタートさせてあげましょうか?」リジーは真顔で尋ねた。岸まで近いし、泳ぎには自信がある。
「きみが先にスタートしていい。ぼくは十分後に追おう」デイモンも真顔で返す。
「後悔するわよ」彼女は笑いながら警告した。
 下にビキニを着ているので、Tシャツとショートパンツを手早く脱いだ。
 デイモンの視線が肌を焼く。リジーは自分の体の反応を無視して、モーターボートの手すりにあがった。今すぐに、冷たい水で全身を冷やさなければ。
 彼女が飛び込むのを眺めるデイモンの姿がちらりと目に入った。彼は微笑を浮かべていた。たくましい太腿と肩、そして色あせたデニムのショートパンツ越しに、引きしまった腰のラインが見えた。
 次の瞬間、リジーは歓喜の悲鳴をあげて水面から顔を突きだした。暖かいデッキにいたあとの爽快な冷たさに、全身が目を覚ます。彼女は力強く水を蹴って岸を目指した。彼より先に到着することしか頭になかった。
 振り返ると、デイモンがぐんぐん接近してくる。競争心に火がつき、リジーは全力で水を掻いた。泳ぎは得意だし、負けず嫌いでもあったのに、デイモンはピクニック道具が入った防水仕様のボックスを担ぎながらも、矢のごとく水を切り進んでくる。彼はすぐにリジーを追い抜いて、浅瀬にたどり着いた。立ちあがり、こちらに向き直る。
「いい勝負だった。ここから先はぼくが抱きかかえていこう」
「結構よ」砂に足がつき、リジーは立ちあがった。
 それを無視して、デイモンは小さく叫ぶ彼女を両腕に抱えあげた。
「おろして」リジーはもがいて彼の胸板を叩いたけれど、岩のように硬い。
「貝殻で足を切るかもしれないだろう」
「あなたの足には蹄がついているわけ?」
 デイモンは笑っている。
 彼がどれほど強いかを忘れていた。じたばた体を動かすと、肌と肌がいっそう密着したが、おとなしく従うつもりはない。「赤ちゃんじゃないのよ。おろして」
「ぼくも乳母ではないから、足を切ってべそをかくきみを慰めるつもりはない」
 リジーはあきらめた。彼の胸によりかかってしまわないよう、体に力を入れる。だが、最後に彼に抱きかかえられたときのことを思い出さずにいるのは、簡単ではなかった。あの朝、デイモンは彼女を抱えてシャワーからベッドへ運んだ。そしてもう一度愛し合ったあと、彼は大切な用事があると言ったのだ。
 そのときは何も思わなかった……法廷でデイモンと再会するまでは。そして、必要とあらば彼が冷徹になれることを学んだ。
 岸辺の苔むした一角にデイモンはリジーをおろした。ボックスを砂の上に置いて、ふたりでピクニックの用意をする。
 リジーは広げたシートの上で仰向けに横たわった。両肘をついて空を見上げる。
「何を考えているんだ?」
「ここはなんてきれいなのかしらと思っていただけ」彼女は大きく息を吸い込んで気持ちを隠した。本当は、あの夜と翌朝へと心が舞い戻っていた。十一年前に胸を占めていたさまざまな感情がふたたび騒ぎだす。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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