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どうか私を買ってください!〜侯爵様は押しかけ花嫁を溺愛する〜

どうか私を買ってください!〜侯爵様は押しかけ花嫁を溺愛する〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫どうか私を買ってください!〜侯爵様は押しかけ花嫁を溺愛する〜
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆2
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解説

逃げるな──子どもを作るんだろう?
身売りしたはずなのに、毎晩愛されて子作り!?

「必要ない。俺が君を買うことにした」元男爵令嬢のリネットは、母の治療費を捻出するため身売りを決意。資産家の侯爵・カイルと交渉し、婚約者兼家政婦として雇われることになる。自分を買ったことを後悔させないとばかりに働くリネットだけど、閨事に関しては無垢なまま。そんなリネットに、カイルは甘く蕩けるような愛撫で快楽を教え……!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

 リネットは、三十分という短時間で部屋の様子をまったく変えてしまっていた。
 というか、南の部屋に置かれていた家具やカーテン、テーブルクロスなどを使って、部屋の中央にテントのような空間を作ったのだ。
 床に敷かれているのは、使われていないベッドから持ってきた毛布だ。クッションも空き部屋から持ち出してきたし、ごろごろするのに最適な空間ができあがっている。
 広大な屋敷を毎日のように掃除して回っていたから、どの部屋に何があるのかはだいたい把握していた。
「さあ、いらっしゃいませ! ここに入る時は、靴を脱いでくださいね?」
「あ、うん……」
 リネットの勢いに押された様子で、カイルはテントの端で靴を脱ぐ。それから中に入ってまた驚いたみたいだった。
 そこには、シモンズに用意してもらったバスケットが置かれていた。それと、トレイの上には紅茶のカップとサンドイッチが置かれている。
 バスケットの中には林檎ジャムのパイとミートパイ、それから先ほどカイルのために焼いたケーキとクッキー、ゆで卵やチーズも入っている。
「……召し上がれ、カイル様。これは、最後の晩餐です」
「最後の晩餐?」
「そうです。ここは無人島です──というか、そのつもりでお願いします」
 真面目な顔をして言ってみる。平気なふりをしていたけれど、内心ではどきどきだった。
 ──怒られそうな気がする……!
「それと、無人島に流れ着いたその日という設定と、助けが来て明日には帰ることができるという設定どちらがお好みですか?」
 リネットの示した場所に座りながら、彼は問いかけてきた。
「その違いは?」
「流れ着いたその日は、サンドイッチしか出ません。貴重な食料を一日で食べ尽くすわけにはいきませんからね……無人島最後の日はご馳走です。だって、明日には帰ることができるんだから」
「それなら、迷うことはないだろう。明日には帰ることができる日で──最後の食事は、味わっていただかないといけないな」
 けれど、リネットの心配をよそにカイルの方も意外と楽しそうに話に乗ってくれる。その様子を見て、ちょっと安堵してしまった。
「最後の晩餐にしては、ちょっと豪華すぎるんじゃないか?」
「そんなことないですよ。残っていた食料、全部出してるだけです。あ、紅茶のお代わりはありますが、ミルクはありませんからね? 牛は連れてきていないので」
 ミルクを入れ忘れてしまったので、そこは誤魔化すことにした。そんなことを言ったら、パイが焼けるのもおかしな話だが、どうせごっこ遊びなのでそれで十分だ。
「それなら、助けに来てくれた船に俺がもらいに行ってくる。二人分のミルクくらいもらえるだろう」
 笑ったカイルが立ち上がって、厨房まで行ってこようと言う。途中でミルクを忘れたのに気づいて届けに来てくれたアンと行き会ったそうで、すぐに彼は戻ってきた。
 戻ってきた時には、やっぱり楽しそうな顔をしている。
「せっかくなので、残った食料でできる限りのご馳走を作りました。全部食べてくださいね?」
「……わかった」
 ──あ、意外と楽しそう。
 それから、リネットの差し出したサンドイッチを口にした。それからパイ、クッキーと次々に口に運ぶ。
「これ、リネットが作ったんだろう? ……うまい」
「本当ですか? よかった!」
 リネットは両手を打ち合わせた。料理人であるアンがおいしいと言ってくれたから、まずくはないだろうなと思っていたけれど、育ちのよさそうなカイルの口に合うのかはちょっと心配していた。
「このミートパイは、アンが作ってくれました。昨日の残りだそうですけど」
 昨日の夕食に出たローストビーフの残りを細かく刻み、みじん切りの野菜と一緒に甘辛いソースで炒めてパイ皮に包んで焼いたものだ。
 当主にそんなパイを出すのはどうかと思ったけれど、ここは無人島なのでしかたないということにしておく。
「アンの料理もなかなかだからな」
 キッチンから持ち出したチーズだの、ゆで卵だのとかなりの量をぺろりと平らげて、カイルは満足そうに息をついた。
「うまかった。ごちそうさま」
「それはよかったです。お茶もこれで終わりです」
 バスケットに詰めてきた食料が全て空になったところで、リネットは広げたものを全てバスケットの中に戻した。
「こういうのも、意外と楽しいな」
 毛布の上にごろんと横になったカイルが、不意に口にする。
 ──よかった。
 静かなのが好きとは言っていたから、どこまでなら許してもらえるのかわからなかったのだ。なんとなく、仲良くできたらいいな……とは思っていたけれど。
 カイルの側に座り、リネットは彼の方へ手を出した。彼の目の前で、手をひらひらと振ってみる。
「見てください。いただいたクリームで艶々です」
 カイルのくれたクリームはとても上質で、水仕事で荒れていた手もすっかり綺麗になっている。
 その手をじっと見つめていたカイルは、不意にリネットの手を掴んで唇に当てた。
「ひゃぅっ!」
 妙な声が上がり、慌ててもう片方の手で口をう。そんなリネットの様子がおかしかったらしくて、カイルはまた笑った。
 ──意外とよく笑うのね。
 あまりカイルが笑うところは見たことがなかったから、こうやって笑顔を見せてくれるのは新鮮──なんてのんきに思っていたら、そのままぐいっと手を引かれた。
「なっ……なっ……!」
 それきり、何も言うことができない。気がついたら、カイルの上に倒れ込んでいた。
 二人の胸がぴたりと合って、ぎゅっと抱きしめられるというのは初めての経験で、自分の心臓の音ばかりがやかましく聞こえてくる。
「あの、カイル……さ、ま……?」


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