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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

ナニーの小さな届け物

ナニーの小さな届け物


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 モーリーン・チャイルド(Maureen Child)
 旅行をこよなく愛する彼女は、機会さえあれば夫と連れだって研究旅行に出かける。ハッピーエンドが大好きで、今でもこの職業を世界最高と自負している。現在は夫と子ども二人、それに誇大妄想気味のゴールデン・リトリーバーとともに南カリフォルニアに暮らす。ウォールデンブックスのベストセラーリストに登場歴を持つ。

解説

「ずっとそばにいてくれ……ナニーとして」愛を知らない男性の言葉は残酷だった。

亡き親友の兄で大富豪のリードのもとを訪れたライラは、黒髪と明るい緑色の瞳にたちまち心を奪われてしまった。だまされてはだめ。外見はゴージャスでも、彼の本性は傲慢で冷酷。妹がお金に困っていたときも、助けようとしなかったのだから。「この子はあなたのものよ」ライラは胸の痛みをこらえ、腕の中の赤ん坊――親友の忘れ形見を伯父にあたるリードに引き渡した。そして、ナニーが見つかるまでの約束で子供の世話を引き受ける。リードの家でともに暮らすうちに、ライラは冷たい仮面の下の本当の彼を知り、惹かれる気持ちを抑えられなくなる。だが、彼が求めているのはベッドをともにしてくれるナニーで……。

■デビュー以来、ヒット作連発のベテラン、USAトゥデイのベストセラー作家モーリーン・チャイルドが綴る、大人気のナニーがヒロインの物語です。愛を信じない大富豪の頑なな心を、心優しいナニーがしだいに溶かしていく感動作。

抄録

「アンドレ」ライラは、ホテルに入ったとき本物の執事に挨拶されたことを思い返した。「彼はすばらしかったわ。とても親切にしてくれて、ロージーは彼がすっかり気に入っていた。でも、このスイートに執事がいるなんて信じられない」
 リードはかすかにほほえみながらスコッチをグラスについだ。「アンドレはたんなる執事以上だよ。ときどき魔法使いに思える」
「納得だわ」ライラは認めた。「ベビーベッドを用意してくれただけじゃなく、食器棚にはベビーフードも並べてあった。それに、明るい青のテディベアまで持ってきてくれたの。ロージーはとても気に入っているわ」
 リードはほほえんだ。その笑顔を見ると、ライラは殴られたようなショックを受け、めまいさえした。
「きみもなにか飲むかい?」
 まだリードの前でくつろぐ心の準備ができていなかったので、ライラは断ろうとした。だが、思い直した。今日は本当にいろいろなことがあった……。「いただけるなら白ワインを」
 リードはうなずき、冷蔵庫からワインのボトルをとってグラスについだ。それから両方の飲み物をソファまで持ってきて座り、彼女が反対の端に腰を下ろすとグラスを渡した。
 ライラはワインをひと口飲んだ。これほどリードの近くにいると落ち着かない。心のなかでは彼への怒りがまだくすぶっていたが、彼の目を見つめれば、自分が感じているのは怒りだけではないことを認めざるを得なかった。
 ライラはグラスをまた口に運び、ここにいる理由を自分に思いださせた。「どうしてロージーを育てようと決めたの?」沈黙を破るように呼びかけた。
 リードはグラスのなかの金色の液体を長いあいだ見つめてから、口もとに運んだ。「スプリングに頼まれたからだ」
「理由はそれだけ?」
 リードはライラを見つめた。彼の緑色の瞳は、照明を受けたエメラルドのように澄んで輝いている。「そうだ。あの子は――」彼はライラに指摘される前に言い直した。「ロージーはハドソン家の人間だ。ぼくは自分の家族の世話をする」
「そのせいであなたの人生すべてが変わっても?」
 リードはゆがんだ笑みを浮かべた。「人生はつねに変化している」彼はつぶやくように言った。「ぼくの家族のような者たちがいると、なにひとつとして同じままではいられない」
「いいわ、でも……」ライラは片手を振って優雅な部屋を示した。「現実には、あなたは小さな子供にふさわしい環境で暮らしてはいない」
「わかっている」リードは広い部屋を見まわして、ライラにうなずいてみせた。「それが、きみがここにいる理由のひとつだ。きみはぼくよりも子供を相手にした経験が豊富だ。だからこの場所を一時的に子供向けにする方法を知っているだろう」
「一時的に?」ライラは尋ねた。
「もちろん、家が必要になる」リードはまたスコッチを飲んだ。「これまでは、ホテル暮らしでなにひとつ不自由はなかった。執事とメイドがいて、二十四時間のルームサービスが使える」
「便利でしょうね」ライラはそう答えたが、自分がそのように日常から切り離された温室のような環境で長いあいだ暮らすことができるとは思えなかった。
「だが、赤ん坊がいると状況は一変する」リードはスコッチのグラスに向かってかすかに顔をしかめた。
「ええ、本当に」ライラはうなずいた。
 リードがふいに立ちあがり、飲み物を持っていないほうの手をライラに差しだした。
「どうしたの?」ライラは尋ねた。
 リードは軽く眉を軽くひそめてみせた。「そんなに警戒しないで。とにかく来てくれ」
 ライラは彼の手をとった。その瞬間、戦慄が体を走り抜けたが、懸命にそれを無視しようとした。リードも同じように感じていたとしたら、それを表に出さないでいるのが彼女よりもうまかった。リードはまったく表情を変えずに、そのまま彼女の手を引いて立たせた。
 ソファをまわり、部屋を横切ってテラスへ出る。そこでリードはライラの手を放して石づくりの手すりまで歩き、眼下の建物に明かりがともり、空に星が現れ始めている夕暮れの風景を眺めた。
 ライラはつかのまリードの視線をたどり、それから彼を見た。テラスを吹き抜ける冷たい風のなか、リードは緑色の目を細めている。なぜか、いまの彼はこれまでより親しみやすく見えた。それはたぶん心配すべきことだ。
「ここにはいられない」
 リードの声は低く、ライラは聞き逃さないために顔を寄せなければならなかった。
「ロージーには庭が必要だろう。通りまで何十メートルもの高さがあるテラスではなく」
 ライラはぞくりと身を震わせて、手すりの縁から下を見た。じつのところ、彼女もローズがテラスに這いでてなにかによじのぼり、地面に落ちてしまう可能性を恐れていた。彼女は懸命に不吉な想像を払いのけた。彼女が忠告しなくても、リードが自分からその結論に達したのはいいことだ。
「それだけで家を買うというの?」
「理由としては充分だろう」リードは手すりにもたれた。「今週末までに見つけるよ」
 ライラは笑った。笑わずにはいられなかった。友人たちは何年も働いて、家を買うための資金を貯めようとしているのに、リード・ハドソンは魔法の小切手帳をとりだせばいいだけだ。「すべてがそんなふうに簡単なの?」
「簡単ではないよ」リードの緑色の瞳がじっとライラの目を見つめた。「だが、ぼくは知っていることがひとつある。欲しいものがあるなら、それを手に入れろということだ」


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