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恍惚のサプライズ

恍惚のサプライズ


発行: ハーレクイン
シリーズ: エロティカ
価格:200pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

夫の35歳のバースデイに、私はある“サプライズ”を用意した。寝室のベッドサイドテーブルには、シャンパンと、とっておきのランジェリー。夫は喜んでくれるかしら? シャンパングラスを合わせたとき、玄関のチャイムが鳴った。時間どおりだ。だが、黒髪の女性と金髪の女性を目にして、私は訝った。予約したのは1人のはずだわ。追い返すべきか迷ったが、好奇心が邪魔をした。CEOという職業柄、常に支配的な夫が、2人の官能マッサージ師に意のままに操られる――黒髪の女が夫を寝室へ促し、ベッドに寝かせた。淫らな手つきで脚から腰、そして下半身へと巧みな愛撫を受けた夫は、あっという間に達してしまった。彼がほかの女性にイカされるなんて……。私は嫉妬混じりの言いしれぬ興奮に身を震わせた。そのとき、黒髪の女が私を振り返った。「次はあなたの番よ」

抄録

 私は安全な距離を取って、室内のあちこちで輪を作るパーティ客の間を縫って進む彼を見ていた。室内は混雑している。彼が広い部屋の反対側を目指し、人々が無言で場所を空けるさまが、巧みなタンゴのように見えてくる。
 漆黒のスーツに身を包んだ彼は見目麗しく、上等な仕立てが長身の引き締まった体を際立たせていた。ネクタイを外し、白いシャツのボタンを上から二つ開けているのが見える。明るい茶色の短髪は乱れつつあり、一部がジェルの拘束から逃れていた。こういう堅苦しいパーティの途中でよくするように、目を覚ますために化粧室で顔に水をかけてきたのだろう。穏やかな笑みを満面に浮かべ、部下たちにあいさつしているが、こうした場には一秒たりともいたくないことを、私は知っている。
 私は室内の人目につきにくい場所を見つけて、暖炉の炉棚にもたれ、一晩中彼を観察するべく陣を張っていた。今彼が言った言葉は聞こえなかったが、まわりの人々が大笑いしたため、彼が冗談を言い、それがウケたのだとわかった。エヴァンがこうしたお喋りを作り上げる腕前はプロ級だ。新人秘書が誘うように小首を傾げ、彼を会話に引き込もうとしているのを見て、私は思わず笑った。二人は一言、二言、言葉を交わした。秘書は懸命にエヴァンの注意を引き続けようとし、くすくす笑ったり、こくこくうなずいたり、話しながらときおり手を胸の谷間に近づけたりした。エヴァンが退散しようとするのがわかった。秘書はエヴァンを引き止めたいようで、目に必死な色を浮かべ、彼の二の腕に手をかけさえした。この尻軽、と私は思ったが、仕方がないと思い直した。禁じられていなければ、私も彼につきまとっているはずだから。
 エヴァンの視線が私に飛んできた。私はシャンパンを一口飲み、挑発するように片方の眉を上げた。エヴァンの笑みが深くなった。私のほうへと歩いてくる。私は彼の目を見つめ続けた。スローモーションにすれば、エヴァンは美しくつやめく黒いジャングルキャットのように見えるだろう。ここまで空間を支配できる人は、ほかに見たことがない。誰もが彼の近くに行きたがり、そのオーラを浴びたがる。エヴァンが会社に足を踏み入れ、それまで考えもしなかった畑違いの職に自分を売り込んだ瞬間から、CEOになることは運命づけられていた。この十年間、変わらず魅力的でありながら、ときに傲慢な、揺るぎない自信をたたえ、人生のあらゆる面を処理していく様子を私は見てきた。そんな男性が、見ているだけで頭がおかしくなりそうなほどの性的魅力をにじませながら、私のほうに歩いてくるのだ。なぜ今回も、彼に近づかないことに同意してしまったのだろう?
 私の前に来たときには、エヴァンのセクシーな薄い笑みは、満面の笑みへと広がっていた。
「ミセス・ランドキャスター」エヴァンは片手を差し出した。私は上品に、礼儀正しく、その手に自分の手をすべり込ませた。彼は私の手を握り、私の目を見つめた。危険な倒錯行為のような握手ができるのは、エヴァンだけだ。
「ミスター・ランドキャスター」私はにっこりし、結婚して十年になる夫を誘うように見上げた。
「今夜の君はすてきだ」
「まあ、ありがとう」
「僕と、その、トイレで逢い引きしてくれる望みはどのくらいあるかな?」
 そのぶしつけな言葉に、私はショックを受けたふりをした。「何を言ってるの、ミスター・ランドキャスター! それがルール違反だってことはわかってるでしょう!」
 エヴァンは咳払いをし、おどおどしたそぶりをしてみせた。「すまない。以後気をつけるよ」私の手に堅苦しくキスをして立ち去り、その目の官能的なきらめきだけが彼の本心を伝えていた。
 私たちはときどき、このささやかなゲームをパーティで行う。それは大学で出会ったときから始まっていた。パーティで一晩中、わざと距離を置いて、相手がほかの客に話しかける様子を眺めるのだ。互いにそうした行動に意味はなく、誰かと化粧室に消える恐れが現実にはないことは、あらかじめ承知の上だ。だが――制御された――嫉妬の念は、最高の媚薬となる。当時二人で住んでいた狭い単身用アパートメントに戻ったときには、服は飛んでいき、猫は逃げていった。
 結婚して十年経った今も、それは魔法のように効く。かつてはお遊びだったものが、情熱を絶やさずにいるために最適な手段となった。どれほど熱く燃えていたカップルも、いずれは熱を保つための努力をしなくてはならなくなる。
 私が目で追っていると、エヴァンはゆったりとした様子で、シュリンプカクテルの盆を片手の上でぐらつかせている雇われウェイトレスのそばを通った。ウェイトレスはエヴァンに背を向けていて、彼は後ろを通るとき、ウェイトレスの腰、ほとんど尻の近くを手で触れた。ウェイトレスがさりげなくエヴァンに身を寄せ、顔を横に向けて、目の端であだっぽく彼を見るさまを、私は息を切らして見守った。
 たいていの女性は、私の立場にいれば激怒するだろう。だが、私は熱帯のエアコンをしのぐ勢いで高ぶった。


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