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花嫁になる条件【ハーレクイン・セレクト版】

花嫁になる条件【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリア・ジェイムズ(Julia James)
 十代のころに初めてミルズ・アンド・ブーンのロマンスを読み、それ以来の大ファン。ロマンスの舞台として理想的な地中海地方、そしてイギリスの田園が大好きで、とくに歴史ある城やコテージに惹かれるという。趣味はウォーキング、ガーデニング、刺繍、お菓子作りなど。現在は家族とイギリスに在住。

解説

21歳の掃除人マグダは、派遣先の豪奢な邸宅で、若きイタリア人実業家ラファエッロと初めてはち合わせた。ハンサムな顔に思わず見とれていると、彼がいきなり申し出た。10万ポンドの報酬で、半年だけ僕の妻になってくれないか、と。亡き友人の赤ん坊を育てるマグダは、戸惑いながらも引き受けるが、「跡取り息子が不器量で貧乏なシングルマザーを嫁にした!」と、由緒あるラファエッロの実家の逆鱗に触れてしまう。それこそ、両親と確執のある彼の思惑どおりだったのだが、あまりの責めを受ける彼女を不憫に思ったか、ラファエッロはマグダを美容室に連れていき、ドレスも買ってやる。すると……。

■『マイ・フェア・レディ』を彷彿とさせる変身ヒロインを描いた気分爽快なまでのシンデレラ・ストーリーです。これこそハーレクイン・ロマンスの人気作家J・ジェイムズの真骨頂。磨かれて美しくなったヒロインを見て有頂天になるヒーローにご注目を!
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 マグダはキッチンカウンターのスツールに座り、身じろぎひとつしなかった。ベンジーは不思議なほど目を覚まさず、ベビー・チェアで眠り続けている。
「も、もう一度言ってください」マグダは消え入りそうな声で頼んだ。
「きみに十万ポンド支払う」ラファエッロはきびきびした口調で応じた。「その代わり、きみはぼくと正式に結婚し、半年後に互いの同意に基づいて離婚する。法的な手続上、ぼくと一度イタリアへ行ってもらわなければいけない。そのあと、ここに戻ってくる。生活費はぼくが払い、きみは離婚時に十万ポンドを受け取る。わかったかい?」
 いいえ、わからないわ、とマグダは心の中でつぶやいた。わかっているのは、あなたが狂っているということだけ。
 しかし、カウンターの向こう側に座っている男性に、そう指摘するのは賢明とは思えなかった。ここにこうしているだけで、マグダは気づまりだった。彼がばかげた提案をしたせいだけではない。彼女はこれほど魅力的な男性を見たことがなかった。ほっそりと引き締まった体つき、いかにも南ヨーロッパの男性らしい外見、はっとするほどの端整な顔。全身からオーラが漂い、とても美しいが、柔らかい印象はない。男性的な研ぎ澄まされた美しさだった。そして、長いまつげに縁取られた黒曜石のような目は危険な魅力をたたえていた。
「ぼくの話が信じられないのか?」
 彼に魅了されていたマグダは、不意の質問に驚き、思わず口を開け閉めした。
 彼が苦笑し、顔の印象が変わる。マグダの心の奥で何かが爆発したが、そのことについて考えている余裕はなかった。彼がまた話しはじめた。
「我ながらとんでもない提案であることは認める。だが、いずれにせよ――」ラファエッロは言葉を切り、両手をカウンターの上に広げた。
 なんて美しい手だろう、とマグダは思った。ほっそりとして長く、手入れが行き届いている。その一方で、鋼鉄のような力強さを秘めていた。
「ある事情で急遽、妻が必要になった。ひとつはっきりさせておくと……」
 魅力に富んだ彼の声を聞いているうちに、マグダは自分のあまりの魅力のなさが恥ずかしくてたまらなくなった。
「結婚といっても名目上のものだ。パスポートは持っているか?」
 マグダが首を横に振ると、ラファエッロは顔にいらだちを浮かべたが、すぐに右手を振った。
「かまわない。なんとかなる。さて、子どもの父親はどうしている? まだ姿を見せるのか?」
 マグダはなんと答えたものかと思案したが、何も頭に浮かばなかった。
「見せないんだな」父親のいない状態を軽蔑していることを隠そうともしないで言う。「そのほうが好都合だ」彼はこれで決まったというように、マグダにさっと視線を走らせた。「障害はないらしい……きみはぼくの目的にうってつけだ」
 マグダはうろたえた。まるでレーシングカーの後ろに紐で結ばれた缶のように、どんどん引っ張られていく。すぐに止めなければ。「わたしはうってつけではありません。すみませんが、もう行きます。ほかにも掃除をしないといけないアパートメントがあるんです」本当はここが最後だったが、そんなことはどうでもいい。
 ラファエッロは優しげに言った。「もしぼくの提案を受け入れたら、一生他人のアパートメントの掃除などしなくてすむ。賢明な使い方さえすれば、きみのような境遇の女性は、ぼくが支払う六カ月ぶんの生活費で数年は快適に暮らせる」
 マグダの心の中でさまざまな感情がぶつかり合った。何よりも、“きみのような境遇の女性は”という見下した言い方に不快感を覚えた。まるで人種が違うと言わんばかりだ。
 とはいえ、もっと強烈な感情が頭をもたげようとしていた。それは誘惑だった。
 快適に暮らせる……。
 いったい彼はなんて言ったかしら……十万ポンド? 本当のはずがない。途方もない大金だもの。十万ポンドあれば、ロンドンを出て、アパートメントを買うことができる。小さな一軒家だって。生活保護を受けなくてもすむし、仕事を辞め、ベンジーの世話をし……将来の計画を立てて……。
 マグダは一瞬、小さな庭のついたつつましい家に住む自分とベンジーの姿を思い浮かべた。ごく普通の平凡でまともな生活。息子を育てることができるちゃんとした場所。本当に家と呼べる場所。あこがれに胸がうずき、彼女の心は今にもくじけそうになった。
 ラファエッロはカウンターの向こうで、彼女が餌に食いついたと確信した。
 ここまでたどり着くのは思ったより大変だったが、とうとう彼女は気持ちを動かされはじめた。時間と労力をかけて説得すればするほど、彼女は今回の役割にはぴったりだと思えてくる。父はかんかんに怒るだろう。息子が連れてきた花嫁は、父親のいない子どもを連れ、掃除人をして生計を立てていたのだから。おまけに、容姿も見るからに冴えない。
 マグダは彼の黒曜石のような目が勝利に輝くのを見て、ひるんだ。彼の提案について検討するだけでも尋常じゃない。十万ポンドですって! ばかげている。どんな理由があるにせよ、彼のような男性がわたしのような女と結婚しようと考えるのもばかげている。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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