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誘惑のゆくえ【ハーレクイン・セレクト版】

誘惑のゆくえ【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★★1
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

敏腕弁護士ホークは、シリの父親の共同経営者だ。少女の頃から、シリはハンサムなホークに夢中だった。だがホークはシリを子ども扱いし、想いを隠せない彼女を叱責する。一度など、ホークの髪に思わず指を絡めた彼女に激しく口づけ、男を挑発したらどんな目に遭うか思い知れ、と脅した。あるとき、シリはホークの出張に同行することになる。ふたりの距離を縮められるかもしれないと期待するシリに、ホークはまたも残酷な仕打ちで応える――「子守りなんぞごめんだ」そう言い捨てると、かつての婚約者とディナーに出かけ、朝まで帰らなかったのだ。

■嫉妬に身を焦がし、涙に濡れ、今度こそあきらめようと誓うヒロインですが、年上の男性のほうにも、実は彼女にはわかりようもない“大人の事情”があって――?焦れながら読むのが楽しい、人気No.1作家ダイアナ・パーマーの初恋ロマンスをどうぞ!
*本書は、ハーレクイン・リクエストから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 シリは視線を下ろし、規則正しく上下しているホークの胸を見つめた。「お母さまはいまもお元気なの?」
 ホークは遠くの白い海岸線を眺めやった。「両親はふたりとも亡くなったよ」これ以上この話題を続けてほしくないと言いたげな、そっけない口調だった。
「根掘り葉掘りきくつもりはなかったのよ」シリは穏やかに言った。「わたしは人に質問するのが習慣になってしまっていて……質問しすぎるのかもしれないわね」
 ホークは深々と息を吸いこんでたばこに火をつけた。そして黒い瞳でちらりとシリを見る。「ぼくたちの世界は正反対だね、シリ」静かに言った。「ぼくは秘密を守るのに慣れているのに、きみは秘密をあばくのに慣れている。ぼくは孤独を愛する男なんだ。プライバシーをなにより大切にしている」
 シリは肩をすくめた。「謝ったつもりだったけれど」小声で言い、窓の外に注意を移した。しかられた子供のような気分だった。
「すねるのはよせ!」ホークはぴしゃりと言った。
 シリは身を縮めた。「すねてなんかいないわ」声を絞りだすようにして言い返した。
 つかの間沈黙が訪れた。シリは逃げだしたい気分だった。ホークは彼女に対して腹をたてているようだが、理由がわからなかった。それでも傷ついた。目に涙がこみあげ、その理由も彼女にはわからなかった。
「シリ」ホークは優しく呼びかけた。
 シリは彼から視線をそらしたまま答えなかった。嗚咽がこみあげそうだった。
「シリ」ホークは繰り返し、大きな手を伸ばしてその顎をつかむと、彼女の顔を見た。シリが目に涙をためているのに気づいた彼は、悪態をついた。
「わたしにかまわないで!」シリは激しく言いはなち、彼の手を振り払った。
 彼の重いため息が聞こえた。
 ホークはシリのうなじをつかみ、彼女の顔を自分のサマージャケットに押しあてさせた。
「泣けばいい」彼はシリのこめかみにささやきかけ、彼女の肩を抱いて引き寄せた。「感情を出してしまうんだ、シリ」
 彼女は涙をこらえようとしたが、熱い涙が音もなく頬を流れて淡いブルーのサマージャケットにこぼれ落ちた。シリは両手で彼のジャケットの胸をつかみ、吐息をもらしながら頬をあずけた。
 ホークはハンカチをとりだしてシリの赤く染まった顔をふいた。「きみは泣くときもそのへんの女性とは違うんだな」
「わたしは泣いたことなんてないのよ」シリは小声で言い、恥ずかしくなって彼のジャケットから顔を離した。「子供のころのわたしは、泣くことが許されなかったから」
 ホークは彼女の頬から湿った髪をそっと払った。「どうして?」
 シリは頭を振った。「わたしの母は泣き声が嫌いだったからよ。わたしが母について覚えているのはそれだけ。泣くと母にどんなふうにしかられたかだけなの」
「それなら、どうして急に涙があふれたんだ?」ホークは静かに尋ね、射るような目でシリを見つめた。「発つ前にホーランドと話をしたのか?」
「ええ」
「彼はなんて言ったんだ?」
 シリはまっすぐホークを見つめ返した。「あなたには関係ないわ」
 ホークは手を伸ばし、彼女の柔らかい唇の輪郭を優しく指先でなぞった。「怒鳴るつもりはなかったんだ。すぐにすねてふくれっ面をする女性とつきあっていたことがあってね。彼女のことを思いだしていらいらしてしまったんだよ」
「あなたをいらだたせることができるほど、あなたに近づける女性が存在したとは知らなかったわ」シリは口紅とマスカラで汚れた白いハンカチで最後の涙をぬぐいながら言った。
 ホークは皮肉っぽい笑みを浮かべた。「ひとりだけいたよ。彼女はぼくよりもぼくの金のほうが好きなんだと気づいたとき、関係は終わったけれどね。裕福であることの欠点は、人が自分を気に入ってくれているのか、それとも財布に引かれているのかがわからないことだ」
「悲観的なのね」シリは言い、彼にハンカチを返した。「お金に関してそんな悩みがあるんだったら、慈善団体にでも寄付すればいいのに」
「どの団体に?」
 シリはほほえんで提案した。「“孤独な心協会”はいかが?」
 彼女の生意気な物言いを聞き、ホークは忍び笑いをもらした。「ぼくはそれほど孤独ではないよ」
「もちろん違うでしょうね。毎晩ベッドのマットレスを持ちあげて女性を追いだしてからでないと、落ち着いて寝られないんでしょう?」
「どうしてぼくがそんなふうに女性をはべらせていると思うんだ、お嬢さん?」
 シリはホークの男らしい大きな体や日焼けした顔、官能的な唇、シャツがはちきれんばかりの厚い胸を眺めた。
「はべらせていないの?」
 ホークは〈ケボズ〉でのときのようにシリの視線をとらえた。彼女は思わず息を切らした。
 彼は身を乗りだし、たばこを持った手を座席の背もたれにのせてもう一方の手をシリの頬にそわせ、自分のほうを向かせた。彼の親指はシリの唇を優しく撫でてから唇を開かせ、少しずつ圧力を加えて彼女のかたい歯をこすった。
 シリはごつごつした指先にたばこの刺激的な味を認め、あからさまな誘惑の愛撫に胸が高鳴るのを感じた。ホークは彼女の誘うような柔らかい唇に視線を落とした。
 ふたりが動くことも言葉を発することもできないうちに、タクシーはホテルの前に到着して止まった。濃密な瞬間はたちまち砕け散り、荷物をまとめて宿泊先に腰を落ち着けるという雑事のなかに失われていった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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