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恋がよみがえる島で【ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版】

恋がよみがえる島で【ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツ 作家シリーズ別冊
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・メイザー(Anne Mather)
 イングランド北部の町に生まれる。息子と娘、二人のかわいい孫がいる。自分が読みたいと思うような物語を書く、というのが彼女の信念である。ハーレクイン・ロマンスに登場する前から作家として活躍していたが、このシリーズによって、一躍国際的な名声を得た。

解説

父の死後、ペイジは妹とふたり、叔母の家で貧しい暮らしに耐えていた。ある日、再会したのは、ギリシア海運王ニコラス・ペトロニデス――4年前、18歳だったペイジがひと目で虜になり、純潔を捧げた男性。夢の日々を過ごし、その後悲嘆のどん底に突き落とされるとも知らず。彼は資金難の父の事業に投資するふりをして近づいてきただけだったのだ。あんな仕打ちをした彼が、なぜ今になって現れたのだろう? 「友人の娘の家庭教師としてギリシアに来てほしい」ニコラスの言葉にとまどうペイジだったが、折悪しく妹の非行が叔母の逆鱗に触れて家を追い出され、やむなく仕事を引き受けることに。二度と彼に心を奪われてはいけない。ペイジは固く胸に誓うが……。

■ベスト・ブック・オブ2001と題して、この年に最も話題を呼んだ傑作をお贈りします。多くのベストセラー作家が憧れる、ロマンス小説の世界では伝説的な存在のアン・メイザー。年上のギリシア人大富豪との愛憎相半ばする再会の物語をお楽しみください。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズ別冊版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 ニコラスが横に並ぶと、ペイジは肩をすくめた。「わかったわ、ニコラス。あら、|ミスター《キリー》・ペトロニデスと呼んだほうがよくて?」
「ニコラスでいい」むっとしたように彼の鼻孔が広がった。先に行けというようにペイジを促す。「こっちに行こう」
 ペイジは逆らわないことに決め、家の横手のぶどうの木々の下を歩いていった。ばらがからまったパーゴラのようなアーチを抜けると日光を受けて輝くプールが現れた。プールを囲むテラスの向こうは緑の斜面が勇壮な断崖に続いている。
 二人はその緑の中を歩いていった。桃や柑橘類の木々のまわりを虫が飛び交い、果樹の香りが漂っている。足元には背の低い蘭を含めた花々が咲き誇り、草はまだ露の湿りけを含んで濡れていた。
 だが暑かった。汗が吹きでてペイジの蜂蜜色の髪が首筋に張りついた。汗に濡れた額を彼女は手首でぬぐった。
 暑さで喉が渇き、こめかみのあたりが痛い。ニコラスの陰を歩いているのが救いだが、日光をよけるのに彼を利用していることを知られたくなかった。
 二人はプライベート・ビーチに続く階段の上で立ちどまった。石灰岩の断崖にベンチが刻まれていて、そこは涼しげな日陰になっていた。ほっとしたのを悟られないようにしつつ、ペイジはそそくさとその日陰に入り、首筋にかかる髪を両手で持ちあげた。
「疲れているようだね」片足をそのベンチにかけてニコラスが言った時、ペイジは自分の無意識の仕草が彼を挑発したことに思いあたった。腕を上げた拍子に薄いTシャツごしに胸の形がはっきり見えたに違いない。
 まぶしい太陽のせいで彼の表情は読めない。ただその声には心配そうな響きがあった。
「ただ……暑いだけ」早くも体調を崩すようでは仕事もろくにできないだろうと思われるのはいやだった。ペイジは乾いた唇をなめ、じっと海を見つめた。「あの……あなたのヨットはあの湾に停泊しているのよね」
 ニコラスは足を下ろしてペイジの見ている方向に目を向けた。「どうして? 知ってのとおり、僕のヨットはピレエフスに置いてある」
「でもここには……」
「ヘリコプターの音は聞こえなかった?」
「聞こえなかったわ」
 だがそういえば到着した夜、シャワーを浴びている時にそんな音が聞こえたような気もする。あれはヘリの音だったのだ。
「本土からここに来るには一番効率がいい。ついでに言っておくが、夜のうちに来られるとわかっていたら、君たちも連れてくるよう、手配していたよ」
 ペイジはベンチに腰を下ろした。「別に私……」
「君が文句を言ったとは言っていないさ」まぶしい太陽に目が慣れると、彼の瞳の中に抑えたいらだちが見てとれた。「さて」彼はペイジの隣に腰を下ろした。「なぜ気が変わったか聞かせてもらおうか」
 ペイジは大きく息を吸い込んだが、すぐに後悔した。ただでさえ彼を意識しているのに、いつもつけているコロンの香りと混じった彼独特のにおいがますますペイジの心を乱したからだ。今ペイジの意識にあるのは、彼のそばにいるということ、そして彼に触れたいという思いだけだった。
「そのことなら話したわ」緊張のためについきつい口調になったペイジを彼は疑わしげに見た。
「僕の下では絶対働かないと君は言った。あの時だって君の状況は絶望的だったのに、それでもきっぱり言いきったんだ。そう、私は売り物じゃないと言わなかったっけ?」
 ペイジは息を吐きだした。なんと言えばいいのだろう。ソフィがドラッグに手を出したからイギリスから逃れたと言ったら、彼は妹をどう思うかしら。いくら私に復讐するのが彼の目的でも、そんな人間を島に置いておきたくないと思うかもしれないわ。
「理由なんかどうでもいいでしょ」さっきからの頭痛はさらにひどくなっている。妙な意地を張って平気なふりをしていたのがよくなかったかもしれない。かといってあそこで朝食をとると言えば、彼と一緒に食べることになっていただろう。でもそのほうがましだっただろうか。
「よくはないさ」顔を背けていたペイジをのぞき込んでニコラスは言った。「気分が悪そうだね」冷たい指がペイジの首筋の脈を探る。「太陽をばかにしてはいけないよ。ビラに戻ろう」
「そんな必要は……」
「あるとも」彼は指に力を加えてペイジの顔を自分の方に向けた。「話の続きはまたにしよう」手がペイジの肩に落ち、腕に下りた。ペイジが震えるのに気づいた彼は突然皮肉っぽく唇をゆがめた。「僕に嘘をついてもだめだよ。だますにはお互いを知りすぎている」
 家までの距離がひどく長く思えた。ニコラスはペイジの腕から手を離さず、歩みを速めさせなかった。私が一刻も早く彼から逃れたいと思っているのがわかるのだろうか。
 だが現実にはペイジは彼の手を振り離せなかったし、彼女を引きつけ、同時に嫌悪を感じさせるその強い魔力を拒むこともできなかった。彼が私の感情をこんなに揺さぶっていることを、知られてはならない。木々を抜けると、プールから一段高くなったテラスで朝食をとっているアリアドネが見えた。白いクロスをかけた円テーブルに注ぐ日差しをパラソルがさえぎっている。背後のフレンチ・ウィンドウは開け放たれていた。
 アリアドネは、今朝は白い長袖のチュニックを着ていた。暑さなど少しも感じないような涼しい表情をしている。一方ペイジは暑くて、ショートパンツとTシャツを一刻も早く脱ぎたくてたまらなかった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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