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セラフィーナ【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】

セラフィーナ【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シルヴィア・アンドルー(Sylvia Andrew)
 英国の有名カレッジで長く副校長を務めていた。初めて小説を出版したのは一九九一年、ハーレクイン・ミルズ&ブーン社からで、以来、主にヒストリカルを執筆している。男性に求めるのは高潔さだと語り、政治家にそれを求めるのは難しいとも。四十年以上連れ添った夫と愛犬と共にイングランド南西部に暮らす。

解説

男爵が求めるのは、お飾りの妻。人形のようなつまらない花嫁……。

“利口すぎず、慎ましやかで、口答えしない、家柄のいい美人。そんな娘がもしもいるなら、結婚を考えてもいい”祖母に結婚をせっつかれている男爵チャールズは、まだ独身を謳歌したくて、無理難題と言える結婚の条件を出していた。ところが驚いたことに、そんな娘がいたのだ。祖母の知人の紹介で引き合わされた彼女の名は、セラフィーナ。面白みがなく従順そうで、天使のように愛らしいだけの彼女となら、結婚後も自由にやれそうだ。高慢にもそう考えた彼はまだ知らなかった。自分の目に映っているしおらしいセラフィーナが、愛する家族を苦境から救うための、一世一代の名演技をしているとは!

■本当は聡明で快活なセラフィーナは、大人しい仮の姿で高慢な花婿候補の希望に沿おうとしますが、男爵が恋に落ちたのは、彼女の妹“サリー”でした。じつのところサリーの正体は、元気な真の姿でふるまうセラフィーナなのですが、彼はそれに気づかなくて……。
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「きみの夫になる人は幸運だな」男爵はゆっくり言うと、そっとセラフィーナを自分のほうに向かせた。「こっちを見るんだ、サリー。どうして泣いている?」
「そんな男性、わたしには見つけられないわ」嘆くセラフィーナを男爵が慰めるように抱き寄せる。そうするのがなぜかとても自然に思えたのだ。
「ばかなことを言うものじゃない!」男爵は低い声で言った。「きみはなんでもできるんだよ。結婚するときがきたら――」
「そのときはきっと妥協するしかないでしょうね」
 しかし、そのことばは、オールドワース男爵の耳には届いていないようだった。彼はセラフィーナを抱く手に力を込めると、彼女の唇をじっと見つめた。そして、顔を近づけていく。
 男爵の唇がすぐそばまできて……セラフィーナは吸い寄せられるように目をあげた。突然の興奮に、全身の血がわきたつ。なにかとてつもなく重大なことが起きているような……。やがて、オールドワース男爵がうめき声をあげ、セラフィーナから手を離してうしろにさがった。「どうかしてる」彼はつぶやいた。「まったく、どうかしてるぞ!」男爵はセラフィーナから目をそらしたまま、さらに続けた。「そりを持って帰ってくれないか? これなら軽馬車に乗せられるはずだ。家までだれかに送らせよう」
 セラフィーナは呆然としていた。じっさいになにかが起きたというわけではないが、ほんのつかのま、これまで夢にも思わなかったようなことを目にしたのだ。常識や理屈で説明のつくことではなかった。しかし、それがなんであれ、良識と理性のある目で人生を見つめてきたセラフィーナは、いまの出来事にかつてないほど脅かされていた。彼女は身震いすると、小さな声で言った。「ええ。ありがとう」
 男爵はまだなにか言いたそうだったが、少しためらうと首を横に振った。そして、ようやく口を開いたとき、その声はなんだか怒っているようだった。
「さあ、厩へ行こう。あっちにだれかいるだろう」
 厩は屋敷の反対側にある。ふたりは庭を横切ると、伸び放題の生け垣のあいだを通っていった。ところどころに植わった月桂樹のほかは、どの木も茶色く枯れている。オールドワース男爵は落ちていた枯れ枝を、乱暴に蹴飛ばした。「枝を刈って掃除しないといけないな。やることが山のようにある。早く片づけないと、いつまでも――」男爵はそこまで言ってぱっと口をつぐみ、そのさきはふたりとも無言で歩いた。あるところまで来ると、生け垣の枝が大きく張り出していて、ふたり並んでは進めなくなった。「わたしがさきに行こう。途中にもっと枯れ枝があるかもしれない」しかし、ほんの数ヤード進むと道は完全にふさがっており、男爵もしかたなく足を止めた。セラフィーナは足もとのぬかるみに気を取られていたため、そのまま彼の背中に突き当たってしまった。足がすべり、転びそうになる。そのとき男爵がぱっと手を出して、彼女をつかまえた。
 それは火口に火をつけるも同然の行為だった。考える間も、ためらう間も、自分を抑える間もなかった。セラフィーナは男爵に抱きすくめられ、息も止まるようなキスを受けていた。一瞬、彼女はあらがうどころか、なにを考えることもできなかった。これまで経験したこともないような感情の波が、全身をさらっていく。きつく抱き締められているので身動きができなかったが、セラフィーナはもっともっと彼に近づきたいと思った。男爵は体を震わせながら唇を押しつけ、彼女の口を開かせようとした。
 ここへきて、セラフィーナは恐怖に襲われた。経験豊かな男性の突然の情熱が怖い。それにもまして、激しく応える自分自身が怖い。されるがままに身をまかせてしまいたいという欲望と、自分の意思がなくなってしまうことへの強い恐怖のあいだで、セラフィーナは揺れた。そして、小さな声をあげると身をよじった。たちまち男爵が抱擁をとく。
「サリー、これは……ああ、なんと言えばいいんだ? きみはまだ子供だ。そのきみにどうしてこんなことをしたのか、自分でもわからないよ」男爵は背中を向けると、小声で毒づいた。それからふたたびこちらを向くと、必死で弁解した。「こんなことをしたのははじめてだ。誓うよ。相手の気持ちもなにも考えず抱きすくめるなど、まるで青臭い学生のすることだ。どこか痛くしなかったかい?」
 上品に洗練された、いつもの世慣れた男性はもはや影も形もなかった。いまの男爵はずっと若く、傷つきやすそうに見える。あきらかに平静を取り戻そうとしているらしく、その顔には悔恨と気づかいの表情が浮かんでいた。
「キスをしたのははじめてだったのか、サリー?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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