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シンデレラの屈辱

シンデレラの屈辱


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・ケンドリック(Sharon Kendrick)
 ウエストロンドン生まれ。写真家、看護師、オーストラリアの砂漠での救急車の運転手、改装した二階建てバスで料理をしながらのヨーロッパ巡りなど、多くの職業を経験する。それでも、作家がこれまでで最高の職業だと語る。医師の夫をモデルにすることもある小説のヒーロー作りの合間に、料理や読書、観劇、アメリカのウエストコースト・ミュージック、娘や息子との会話を楽しんでいる。

解説

私は冷酷なギリシア海運王の使用人。子を宿し、妻となった今でも。

“薄汚い娼婦”キーリーはアリストンから受けた侮辱を忘れない。8年前、18歳だった彼女が奔放な母親の起こした不祥事のせいで深く傷ついたとき、優しく慰めてくれたのは彼だけだった。ところが、甘いキスを交わし陶然となった彼女を突然突き放すと、アリストンは罵声を浴びせ、振り向きもせず立ち去ったのだ。今やギリシア一の海運王の彼は、再会するなりこう切りだした。キーリーを多額の報酬で使用人として雇いたいというのだ。また私を侮辱するつもり? でも介護施設の母にはお金がかかる。承諾したキーリーは、まだ知らなかった。彼の非情すぎる計画を。

■S・ケンドリックが描く、クラシックな香りが漂う、貧しいヒロインとギリシア海運王のシンデレラ・ロマンスをお楽しみください。ヒーローに翻弄されながらも健気に愛を貫くヒロインに要注目!

抄録

 キーリーは隣を向いて顔を上げ、彼の目が欲望に陰っているのに気がついた。そのとき彼女の思いを読んだように、アリストンが急に手を上げて彼女の顔に触れ、ほほ笑んだ。取りたててすてきな笑顔ではなく、目までは笑っていなかったが、彼に触れられた衝撃ですでに高揚していたキーリーの五感はいっきに過熱した。彼の親指になぞられた下唇がなすすべもなく震え始める。ただそれだけのことしかされていないのに、キーリーはとろけてしまいそうだった。胸の頂は痛いほど張りつめ、下腹部が熱く火照って心をかき乱す。
 彼は気づいているの? だから顔を包んでいた手を背中にまわし、わたしを抱き寄せたの? まるでそうする権利があるかのように。見つめ合ったとき、アリストンの目は赤々と燃え、キーリーは自分の柔らかな体が彼の固い体と完全に密着したのを感じた。そして、彼の唇が下りてきた。
 キーリーは身を震わせた。それはほかのどのキスとも違ったからだ。彼女が夢でしか経験したことのないキス。正直に言えば、その夢に出てくるのはいつも彼ではなかった? アリストンはゆっくり口づけをし、しだいに激しさを増した。キーリーは身をよじり、喜びの声をあげそうになった。熱くなった体が不満の声をあげる。キーリーはうるさい体の声に屈したくなった。彼の首に腕を絡め、欲望に身を任せたい。あなたが望むことはなんでもしてかまわないと彼の耳元でささやきたい。わたしが望むことはなんでも。体の奥の痛いほどの火照りを和らげてとささやきたい。それは彼にしかできないことだから。
 それからどうするの? どれほど彼に嫌悪されているか知りながら、寝室まで連れていってもらうの? たとえベイリー・サンダースが二日後に到着するとしても? 彼らは平気でそんなことをする。わたしは彼が住む世界をこの目で見た。簡単に関係を持ち、簡単に別れる。
 彼にとってセックスは取るに足りないもの。そして、わたしも。アリストンははっきりとそれを明らかにしたのではないの?
「だめ!」キーリーは彼を突き放してあとずさり、体の無言の抗議を無視しようとした。「自分のしていることがわかっているの、アリストン? あんなふうにわたしを非難しておきながら!」
 アリストンはいらだたしげに短く笑った。「頼むから、ぼくの知的能力を侮辱しないでくれないか、|かわいい人《ククラ・ムー》」彼が物憂げに言う。「ついでに言うなら、きみ自身の能力も。きみは興奮していた。今もそうだ。きみがキスを求めていたから、喜んで応じたんだ」
「わたしは求めてなどいない!」
「キーリー、なぜ事実を否定する? 最高の初日とは言いがたいな。従業員にとって最高の資質は正直さだとぼくは思っているのに」
「どんな雇い主にとっても、従業員と一線を越えるのは許されない行為でしょう? あなたはそんなふうには考えないの?」
「もしきみがあからさまに誘いかける目でぼくを見なければ」アリストンは悪びれる様子もなく言った。「ぼくはボスとしてでなく男として、きみに反応するのをやめられるかもしれない」
「わたしはそんな目で見ていないわ!」キーリーは憤然と言った。
「そうかな? 自分の胸にきいてみるがいい。今度だけは自分に嘘をつかずに」
 キーリーは唇を噛んだ。わたしは誘いかける目で彼を見ていたの? 動悸が激しくなった。見ていたに違いない。そしてとんでもなく正直になれば、ガラスの屋敷の窓辺に立つ彼を見てから、ずっとキスしてほしいと思っていたのではないの? いいえ、たぶんその前から。ロンドンの画廊でたくましい体をこわばらせ、雷雲のように怒りを含んだ顔でわたしとパブロスのほうに歩いてくる彼を見た瞬間から。
 けれど、そんなふうに感じてはいけない。わたしは病に侵された母の介護費用を稼ぐためにここに来た。アリストンのように男性優位主義を公言してはばからない男性ともめごとを起こし、心をずたずたにされるためではなく。
 キーリーは深々と息を吸い、少なくとも自分の感情を制御できているように見せようとした。「わたしたちのあいだに引かれ合う力があることは否定しない。でもだからといって、それに基づいて行動していいはずがないわ。ボスと従業員が関係を持つのが不適切だからではなく、わたしたちはお互いに好意さえ持っていないのだから」
「好意を持つことと、なんの関係がある?」
「本気で言っているの?」
「百パーセント本気さ」アリストンは肩をすくめた。「ぼくの経験によると、多少の敵意はつねにちょっとしたスパイスになる。たぶんきみの母親もそう言っていたんじゃないか、キーリー?」
 母への中傷は胸をさらに深くえぐり、キーリーは彼に飛びかかっていきたくなった。分厚い胸板を拳で殴りつけ、勝手な臆測で人を批判しないでと言いたくなる。だが、アリストンに近づく自信などない。彼に触れただけで彼を求めてしまうからだ。二度とさっきのような状態にはなれない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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