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愛を恐れる誘惑者【ハーレクイン文庫版】

愛を恐れる誘惑者【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 サラ・モーガン(Sarah Morgan)
 イギリスのウィルトシャー州生まれ。看護師としての訓練を受けたのち、医療関連のさまざまな仕事に携わり、その経験をもとにしてロマンス小説を書き始めた。すてきなビジネスマンと結婚し、小さな男の子が二人いる。子育てに追われながらも暇を見つけては執筆活動にいそしんでいる。アウトドアライフを愛し、とりわけスキーと散歩が大のお気に入り。

解説

キンバリーは脅迫状を受け取り、背筋を凍らせた。すぐさま500万ドル用意しなければ、息子を誘拐するというのだ。彼女はやむなく、二度と顔も見たくなかった実業家ルスを訪ねた。ほかの女の影に怯える日々に疲れ、捨てられるようにして別れて以来、彼とは一度も会っていない。しかもルスは知らないが、彼は息子の父親でもあるのだ。ルスははなから贅沢のための金だと決めつけ、嘲笑とともに、報酬として2週間、自分の愛人になるよう要求した。彼女は言いなりになるしかなかった。たとえ辱められても。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「警察でさえ寄りつかないような地区の、エアコンもないホテルに滞在して、同情を得ようというのか。それが君の計画のねらいか」戸口で低いくぐもった声がした。キンバリーはぎくっとして、ベッドから飛び起きた。
 ドアの開く音も聞こえなかった。
「どうして、ここに?」キンバリーはローブをさっとつかんで、はおった。こんな無防備な状態を見られるなんて、恥ずかしく、こわかった。背中に垂れた巻き毛はまだ濡れており、化粧もしていない。不意を突かれて、キンバリーは狼狽していた。「ノックぐらい、するべきだわ!」
「君のほうこそ、ドアをロックするべきだ」ルスは中に足を踏み入れると、うしろ手でドアをしっかりと閉め、優雅な手つきで錠をかけた。「このあたりは、いくら警戒しても警戒しすぎることはない」
 まだ彼をにらみつけながら、キンバリーは震える手でローブのひもを結んだ。「なにをしに来たの?」
「金の無心に対する返答を早く聞きたいんじゃないかと思ってね」狭苦しく風通しの悪い部屋を、ルスはゆっくりと横切り、汚れた窓から、ごみの散乱する埃っぽい通りを見おろした。広い肩が室内に入る光線をさえぎっていて、顔もよく見えない。「君の財政状態がこれほどひどいのなら、五百万ドル以上要求するべきだね」
 キンバリーは答えなかった。答えられなかったのだ。この小さな風通しの悪い部屋に、がっしりした体で空間という空間のすべてを支配しているルス・サントロと二人きりでいると、息をするだけで精いっぱいだった。肩にぴったり添った高級なスーツの上着には、たくましさとパワーが漂っている。白いシルクのシャツの襟にかかった、つやのある長めの髪は、競争の激しい金融業界の実業家というイメージとはほど遠い。力強い顎には黒い無精ひげがうっすらと生えている。まるで盗賊のようだ。
 危険なことに、彼はあまりにも魅力的すぎる。ローブの下で胸の先が硬くなるのを感じて、キンバリーはぞっとした。
「お金は私のために使うのではないことは説明したわよね」自分を抑えられず、キンバリーは口走った。神経がとがり、自意識も過剰気味になる。「どう言えば、信用してくれるの?」
 ルスは振り向いて、やさしい声で言った。「君が無心をする理由に興味があるわけではないんだ。僕が興味を持っているのは……」彼は言葉を考えあぐねているようだった。「そうだね、僕の“投資”とでもいうのかな、その見返りに君がくれるものだ」
 彼の瞳に浮かぶなにかがキンバリーに警戒心を抱かせた。「あなたがなにを言っているのかわからないわ」
「そうかい?」ルスが窓際から離れた。「それでは、商取引の基本を教えるとしよう」声は穏やかだが、か弱い獲物をねらうハンターのきびしい目がキンバリーをとらえた。
「商取引とは利益の交換だ。それ以上でも以下でもない。君が欲しいものを僕は持っているし、君は僕の欲しいものを持っている」
 なにか重要なことを見過ごしている気がする。心臓が速く打ちだし、キンバリーは舌の先で乾いた唇を湿した。「私はあなたが欲しそうなものはなにも持っていない。つまり、あなたの返事はノーなのね」
 すらりとして力強い指がキンバリーの頬を撫でる。「僕は喜んで交渉に応じようと言っているんだよ」ルスは彼女の唇の端に指を這わせ、相手をどぎまぎさせるような笑みを浮かべた。「金を出そう。ただし、見返りに欲しいものがある」
 リオは渡せないわ。ああ、神様、どうかリオではありませんように。
 急に激しくなった胸の鼓動を無視して、キンバリーはなす術もなく、彼を見つめた。「それはなに?」彼が興味を抱くもの? いったいなにを出せというのだろう? 「なにが欲しいの?」
 リオではないわ。お願い、リオではないと言って。
 ルスはキンバリーの髪に手を差し入れ、視線をとらえた。「君だ」きっぱりとした一言だった。
「君が欲しい、|かわいい人《ミニヤ・ドスーラ》。僕のベッドに裸で戻ってきてほしい。服を着て帰ってもいいと僕が許可を出すまで」
 唖然として口もきけなかった。信じられなかった。聞き違いではないだろうか。陰った黒い瞳に浮かぶ生々しい欲望が、キンバリーの体をとろけそうなほど熱くする。
 リオの名前が出なかったことに安堵しつつも、理解の範囲を超える興奮と震えを彼女は覚えた。
 ようやく口を開いたものの、信じられないほど声がかすれた。「まさか、本気じゃないわよね」
「僕はセックスについて冗談は言わない」
「でも、なぜ?」耳の中で血管がどくどくと脈打ち、激しいめまいがした。ルスから離れたい。あまりにも近くにいすぎる。「なぜ私をベッドに迎えたいの? もう終わった――」
 燃える目がキンバリーの瞳をのぞきこむ。「もう一度君が欲しい」ルスはけだるそうに高圧的な笑みをゆっくりと浮かべた。「二度も、三度も――」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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