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離れないでいて【ハーレクイン・ディザイア傑作選】

離れないでいて【ハーレクイン・ディザイア傑作選】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイアハーレクイン・ディザイア傑作選
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アン・メイジャー(Ann Major)
 USAトゥデイのベストセラーリストに載り、他の大人気作家たちからも賛辞を寄せられる。中でもサンドラ・ブラウンは“表紙に彼女の名前がある――すなわち、その本はいい読み物を意味する”と絶賛。生粋のテキサス人で、英文学とスペイン文学の修士号を持ち、二年間教師をしていたこともある。英語、スペイン語はもちろん、フランス語も堪能。作家としての輝かしいキャリアに加え、三十年続けてきたピアノのほうもプロ並みの腕前。旅行に行くのが好きで、趣味は夫とコロラド山中をハイキングすることだという。

解説

あきらめたはずの愛が再び燃えあがり、彼女の心を焼きつくす。

嵐の夜、シャイアンは海で溺れかけた男性を助けた。野性的な魅力をもつ彼の虜になり、純潔を捧げたあと、しかし彼の正体を知って愕然とする。カッター・ロード――名家の御曹司の彼はシャイアンを、弟をたぶらかす悪女と思い込み、排除するために近づいたのだった。私はカッターに騙されたのだ……。シャイアンは絶望し、カッターの弟と形だけの結婚をする。7年後、夫が亡くなり、カッターを頼らざるを得ない状況に追い込まれた。息子を誘拐されたのだ――7年前に身ごもった、カッターの子を。

■様々な時代の選りすぐりのディザイアの話題作をお贈りする“ハーレクイン・ディザイア傑作選”。今作は、野性味溢れるヒーロー像で大人気のベテラン、アン・メイジャー。シークレットベビーをテーマにドラマチックな愛憎劇を描きます。
*本書は、ハーレクイン・ディザイアから既に配信されている作品のハーレクイン・ディザイア傑作選となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 貧しいケータリング業者であるシャイアンに、自分が大金持ちであることも、由緒ある名家の出であることも、彼は告げていなかった。
 そしてもちろん、自分がカッター・ロードで、彼女の婚約者の甘やかされた兄であることも。
 またシャイアンも、自分がテキサスの小さな町、ウエストビル出身の婚外子であることを告白していなかった。母親が“鰐女”とか“魔女”と呼ばれ、シャイアン自身、十八歳になるまで塩水沼に入り、母親の飼う鰐や奇妙な生き物の世話をしていたこと、そしてその後、なにかトラブルがあって、永遠に故郷を離れたことも。
 そういう話はすべて、カッターが雇った私立探偵から聞いたものだった。シャイアン本人が話したのは、花や野生動物が好きだということだけだ。
 カッターはふたたび時計を見た。シャイアンはたまに、日光浴を終えてから、砂浜に散歩に出ることもある。
 一時間以上待って、ついにカッターは勝利の笑みを浮かべた。シャイアンが起きあがって、心配そうに窓からのぞいている。彼はおいでと手招きした。
 シャイアンは明るくおどけた笑みを浮かべてドアを開けた。太陽を浴びて体は赤みをおび、砂丘の花を差した赤い髪は乱れている。その姿を見て、思わずカッターは胸が高鳴った。
 シャイアンはカッターと目を合わせてからそむけた。「だめよ。いけないわ」
「いけないって、なにが?」
 あえぐように彼女は言った。「そんなふうに私を見ることよ」
「君も喜んでいると思ったんだけどな」カッターは立ちあがると、床に毛布を引きずりながら、シャイアンのほうへ歩み寄った。
「わ、私……」
「どうかしたのかい?」
 おびえたようにシャイアンはあとずさりしはじめた。「あなたに話さなければいけないことがあるの」
「じゃあ――話して」
「実は、婚約しているも同然の男性がいるの」
「その男を愛しているのかい?」
 髪につけた昼顔がふるえ、完璧に近い顔の唯一の欠点である左目の下の小さな傷が白くなった。「もちろ――それがよくわからないの」
「じゃあ、僕への気持ちは?」
 シャイアンは燃えるまなざしで彼を見た。
「教えてくれ」カッターはくいさがった。
「彼のお兄さんが結婚に反対なの。私では釣り合わないと考えて。だ、だから、マーティンや将来のことをじっくり考えたくて、一人でここへ来たの」カッターを見つめる目が口に出さない苦痛できらめいた。「あ、あなたと――」
「こんなことをするためじゃなく」カッターは片手でシャイアンの肩をつかみ、もう片方の手で花を差した髪をとらえると、強引に唇を重ね合わせた。
 シャイアンはおずおずと唇を開いた。しかし次の瞬間には、舌を触れさせながら情熱的にキスに応え、欲望を刺激されたカッターは思わずその細い腰をきつく抱きしめた。
「シャイアン――」
「だめ!」シャイアンは身をこわばらせてあとずさった。「お願いだから――」そしてドアを開けて彼女は走り去った。
 カッターは複雑な思いでそのうしろ姿を見送った。強引に迫れば、彼女は拒まないだろう。あとを追って、砂浜に押し倒し、誘惑したい気持ちはやまやまだった。そうすればマーティンに、こんな尻軽女をロード家の嫁にはできないと忠告することもできる。
 しかし三日間いっしょに過ごすうちに、シャイアンを破滅させたい気持ちはなくなっていた。
 彼女はとてもよくしてくれた。なにより、命の恩人なのだ。だから、彼女には借りがあるわけだが、どの程度だろう? いくらなんでも、マーティンの将来と財産を与えるほどではあるまい。
 それに今は、カッター自身がシャイアンを求めていた。こんなふうに迷ってためらうのは、彼らしくない。さっさと誘惑すればいいじゃないか。
 あとになって思えば、シャイアンが自分の人生、いや、心におよぼす危険性に気づかなかったのだろうか?
 しかしシャイアン・ローズに出会うまでは、カッターは自分に心があることも知らなかった。
 これまでは順調な人生を送ってきた。最初は早熟で聰明な息子、そして兄らしい兄として。そのあとは人生は愛ではなく金だと信じる、冷酷非情な実業家として。結婚と離婚もした。けれども結局、いつも――シャイアンに出会うまでは――孤独で、はみだし者だった。人にねたまれても、愛されることはない。愛ではなく賞賛を求めてきたのだから、孤独でもかまわなかったのだが……彼女に会うまでは。
 これまでは心底傲慢で、異国の都や美女とのお手軽な快楽といった虚飾に慣れていた。かつて競争相手をつぶす力を手にしたばかりのころは、まさか女に夢中になろうとは思いもしなかった。
 いろいろな国の多くの屋敷に住み、莫大な財産を築いて、数えきれないほどの女を抱いてきた。しかし、ほんとうの居場所はどこにもなく、心を許せる相手もいない。何カ国語も話せるが、心をこめて話す言葉は一つもない。自分より弱い者の気持ちは理解できないし、弟が自分に愛情ではなく嫉妬心を抱いていることも、なんとも思っていなかった。
 そして今、嵐で島に漂着し、シャイアンに命を救われて、人生が一変した。冷笑的な世界とそのルールが変わったのだ。
 といっても、完全にではない。名前をきかれたとき、嘘をついて“リヨン”と名乗ったのだから。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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