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ミラノの悪夢【ハーレクイン・セレクト版】

ミラノの悪夢【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 マギー・コックス(Maggie Cox)
 十歳のときに学校の先生から、あなたは必ず作家になると言われて以来、作家になることを夢見てきた。秘書職を得て結婚したのち、ついに夢を実現した今は、“決してあきらめなければ誰にでも夢を叶えることができる”と語る。母親として忙しい毎日を送っているが、あいた時間はドラマやロマンチックな映画を見て過ごすという。

解説

内気なケイトは、旅先のミラノで出会った男性、ジャンルカ・デ・ロッシと激しく惹かれ合い、一夜をともにした。だがいたたまれなくなり、翌朝何も言わずに逃げ出してしまう。どんな代償を支払うことになるのか、知りもせずに――それは、予期せぬ妊娠と、ジャンルカとの思いがけない再会だった。数カ月後、悪阻に苦しみながら新しい派遣先に向かったケイトは、ジャンルカが世界的に有名な実業家だったことを知る。「なぜ黙って僕のベッドから出ていった?」彼は激怒している。彼のもとで働くなんて……ケイトは何も言えず、ただ震えていた。いまも消えない彼への想いと、込み上げる吐き気と闘いながら。

■初めて愛した男性に「ただの情事だ」と言われるのが怖くて、逃げ出してしまったヒロイン。けれど実はヒーローも、彼女に去られたことに傷ついていて――。マギー・コックスが贈る大人のロマンスは、予期せぬ妊娠をきっかけにした、癒やしの物語です。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「これは、これは……。いったいぜんたい、どこのだれかと思えば!」
 忘れもしない、あの、うっとりとするような声が足元にからみついてきて、ケイト・リチャードソンはそのまま、蜂蜜色の海に引きずりこまれそうなあやうさを感じた。そして、部屋の奥からじっとこちらを見つめている男性の顔に気づくと、ショックのあまり言葉を失ってしまった。
 傷一つない完璧な宝石のように輝く、人を魅了してやまない青い瞳。その瞳に計りしれない力があることを、ケイトはすでに知っていた。しかし、彼がほほ笑んだときの瞳にもまた、彼女の心を真っ二つに切り裂いてしまうほどの力があると知ったのは、今がはじめてだった。
 きつく握りしめていたドアのノブから指を一本一本もぎはなしながら、ケイトは思った。きっとこの人も、わたしに負けないくらい驚いているにちがいない、と。とはいえ、今のケイトにはたしかなことなど何一つなかった。ショックのあまり、顔じゅうの神経が麻痺して、まるでお面のようになっているくらいだから。
「ルカ……」ケイトはあっけに取られたまま、ただ彼を見つめるほかなかった。頭が真っ白になって、どんな言葉を口にすればいいのかもわからない。
「なるほど。少なくとも、ぼくの名前だけは覚えていたということか」
 わたしが彼を忘れるですって? この人、本気でそんなことを思っているのかしら。
「あの、わたし……派遣会社から紹介されて来たんです」ケイトは必死で言葉を探し、なんとか、自分がここにやってきた理由だけは説明した。「その……どうやらここで、臨時秘書を必要とされているようですけれど」それだけ言うと、ケイトは不安げに肩をすくめた。
 ルカがぱっと顔を上げた。
 しかし、その完璧なまでにバランスのとれた顔にはなんの変化もなく、くっきりとした頬骨がこころもち上がっただけだった。
「|まったく《デイーオ》! 自分の会社に何が必要かくらい、きみに言われるまでもない。いいから、さっさと入ってドアを閉めてくれないか」
 ケイトは命じられたとおりにした。ルカの厳しい口調に逆らえるはずもない。たとえ、どんなにそうしたくても。この人のように強烈な磁力を発する人と同じ空間にいると、自分がまったく無力に感じられてしまうから不思議だ。まるで、激しい潮流にのみこまれて、あらがう意思さえ奪われてしまったかのように。
 それにしても……ルカがこのロンドンにいるなんて思ってもいなかった。しかしよく考えてみれば、今、部屋の奥からじっとケイトを見つめているこのなんとも男らしい人について、わたしは何を知っていたというのだろう?
 三カ月前、二人はイタリアのミラノで、夢のような一夜を過ごした。しかしあのときは、お互い個人的なことなど何も話さなかった。もっとずっと心を奪われる発見に夢中で、とてもそれどころではなかったからだ。
「座って」
 ルカの有無をいわせぬ言葉が、緊張した空気のなかを、ベルベットの弾丸のように貫いた。ケイトはごくりと唾をのむと、大きくてモダンな彼のデスクの前の椅子を引いた。腰をおろせるのがたまらなくありがたかった。さっきから膝ががくがくして、まるで木綿糸のように頼りない。
 尋問者の背後の大きなガラス窓の外には、ビッグベンや巨大な観覧車をはじめとする、息をのむようなロンドンの光景が広がっていた。しかし、ケイトがそれらのランドマークに目を奪われることはなかった。なにしろ目の前には、彫刻かと見まがうほど美しい顔をした男性が座っているのだ。勝負は最初から決まっているようなものだ。そのうえ、ケイトはその男性の肉体が、顔と同じくらい見事な芸術品だということも知っている。思いだしただけでも胸がどきどきして、心が舞いあがりそうになるほどだ。
 しかし、それほどまでに親密なことを知るために支払った代償の大きさを思うと、胃のあたりがひどくざわついてきて、言いようのない不安が襲ってくる。
「あの朝ミラノで、きみはどうして黙って消えたんだね? さよならすら、言わなかったじゃないか。それとも、愛人をあんなふうに扱うのが、いつものきみのやりかたなのかな? 相手が目を覚ますのも待たず、ひと言も言わずに消えてしまうというのが? そうすることで、他人には理解できない満足感でも得られるのかな?」
 その言葉を聞いてあっけに取られ、ケイトは彼をじっとにらみつけることしかできなかった。怒りとショックで頬が紅潮してくるのがわかった。
「失礼ですけど、今なんて言ったのかしら?」
「聞こえなかったのかい? この前会ったとき、聴力には、何も問題はなかったように思えたが?」ルカはあきらかにケイトを侮辱しようとしている。
「いいえ、ちょっと驚いたので、聞きなおしただけです。わたしが、いつもそんなことをしていると思われるのは心外だわ。念のために言っておきますけれど、それはとんでもない誤解よ!」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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