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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ロマンス

寵愛は熱く儚く

寵愛は熱く儚く


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダニー・コリンズ(Dani Collins)
 カナダ出身の作家。高校生のころにロマンス小説と出会い、小説家という職業はなんてすばらしいのだろうと思ったという。以来、家族の反対や“普通の”仕事に追われながらも、さまざまなジャンルの執筆に挑戦し、ついに念願叶ってハーレクインからデビューすることになった。まるでロマンス小説さながらの、ハッピーエンドを生きている気分だと語る。

解説

異国の君主は傲慢に口づけた。“妹の婚約者の愛人”の私に。

「僕の妹の婚約者には、二度と会わないと約束したまえ」王族らしい高慢さをたたえ、カシムは嘲るような口調で言った。君のような女に妹の晴れ着を作らせるわけにはいかない、と。カシムの妹のドレスを縫うことになっているアンジェリクは、内気ながらその美貌ゆえにありもしない男性遍歴を噂されていた。私は彼の愛人じゃない――必死の抗弁は聞き入れられず、アンジェリクは気づくと力強い腕に抱きすくめられていた。「もう話すことは何もない。君の特技を見せてもらおうか」熱を帯びた褐色の瞳に絡めとられ、彼女は我知らず唇を開いた。

■目もくらむほどの喜びに、互いの立場を忘れるふたり。秘めやかに熱い夜を重ねる一方、カシムの花嫁選びは着々と進んでいて……。思いがけず禁断の恋に落ちた無垢な乙女の、儚く切ない愛の軌跡。

抄録

 カシムに名前を呼ばれたとたんに、彼女の心臓は跳ね上がった。
「わたしたち、ようやくファーストネームで呼び合える仲になったようね、カシム?」
 とんでもない人だわ! アンジェリクは自分自身を守るため、長い年月をかけて心に防御の壁を築いてきた。だがカシムは、その壁をいとも簡単に突き崩し、隠されていた彼女の心を白日のもとにさらした。アンジェリクはすっかり動揺していた。
 しかし、ファーストネームで呼ぶという彼女の反撃を受け、カシムは驚いたようにまばたきを繰り返している。
 効果てきめんね。
「ぼくの前でこんな無礼な態度をとった者は、あとにも先にもきみが初めてだ。口のきき方に気をつけたほうがいい、‘アンジェリク’」
 怒りのあまり、爪が自分の二の腕に食い込んだ。鋭い痛みが走ったが、それで頭が冷やせればと思った。この種の駆け引きには慣れている、と自分に言い聞かせる。カシムは、こととしだいによっては妹の幸福さえ犠牲にする、と言っている。
「つまり」アンジェリクは、できるだけ冷静な口調で言った。「わたしの行動は何もかもが、サディークに“貸し”を作るためだったとあなたは言いたいのね?」
「きみの狙いは、金じゃないのかもしれない。サディークの一族は裕福であるだけでなく、政治的な力も大きい。きみはハスナの疑いや反発を買わないようにうまく立ちまわった。だから、この先きみがサディークを利用したとしても、ハスナはきみを危険な女とは思わないはずだ」
「どうしてわたしを、そこまで計算高い女と決めつけるの?」
「サディークのことがほんとうに好きなら、きみはこの仕事は断ったはずだ。彼に捨てられて、傷ついているのなら、こんなふうにハスナを喜ばせようとしなかったはずだ。さっきも言ったが、ぼくには複数の愛人がいた。だから、打算的な女がどういうものか、うんざりするほどよく知っている。愛人とはそういうものだ。それに文句をつけるつもりはない。しかし、妹の幸福が危険にさらされるとなると話は別だ。そういうわけだ」彼はデスクの名刺を身ぶりで示した。「請求書を送ってくれ。それから、二度とサディークとは連絡を取らないでほしい」
 彼は部屋を出ようとした。
「待って!」彼女は前に踏み出し、カシムの腕をつかんだ。
 彼は身を硬くし、袖をつかむアンジェリクの手を見た。カシムは怒りの表情を見せた。しかし、彼の顔に浮かんだのは、それだけではなかった。そこにはぎらつく何かが――目もくらむほど男性的な何かが浮かんでいた。
「ぼくたちは‘そこまで’親しくはない、アンジェリク」カシムはくるりと振り返ると、自由なほうの手で彼女の腕をつかんだ。
 二人は動きを失ったように、その場に立ちつくした。アンジェリクは心臓が高鳴り、息が苦しくなった。
「話はまだ……終わっていないわ」彼女の声はひどく弱々しかった。ここは手を放し、引き下がったほうがいい。それはわかっていた。けれど、身動きが取れなかった。カシムがひとりの男として、彼女を凝視していると気づいたからだ。
 アンジェリクは自分の美しさは知っている。メディアが彼女の写真を撮りたがる理由のひとつだった。彼女はいつも、男たちの欲望のまなざしを一身に浴びていた。
 そしていま、目の前の‘この’男性も、欲望の色をあらわにしている。その程度で心を動かされるほど、彼女はうぶではない。なのに、彼女の心と体は激しく反応していた。
 狂おしい欲求が下腹部をつらぬき、熱気が体にあふれている。しかも、欲求に身を焦がしているのは……彼女だけではない。彼はアンジェリクを見つめていた。彼女が魅力的だといま初めて気づいたと言わんばかりの顔で。化学反応のような何かが起こっている。気がつくと、彼女はカシムの口もとを見ていた。抑えがたい衝動がわき上がる。
 彼の唇に、かすかな笑みが浮かんだ。
 この人は、わたしが興奮していることに気づいている。しかも、それを面白がっている。胸に痛みが走った。自分が粗野で下品な女のように思えてきた。感情に支配されたらおしまいだと、アンジェリクは昔から考えていた。しかし、これほど強烈な感情のうねりは、生まれて初めてだった。心も、体も、魂までもが揺さぶられるようだった。カシムは彼女のすべてを虜にしている。
「話すことは、もう何もない」彼はアンジェリクにつかまれた腕を曲げ、彼女のウエストを抱いた。もういっぽうの手で彼女の腕を取り、引き寄せる。「だが、それでもきみが、何か新しいことを始めたいのなら……」
 だめ、と彼女は心のなかで叫んだ。だが、もう手遅れだった。カシムの唇がふれてくると、彼女はキスを受け入れた。そして、みずからも唇を開いていた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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