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いきなり蜜月生活〜侯爵様の溺愛宣言〜

いきなり蜜月生活〜侯爵様の溺愛宣言〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

君が欲しくてどうしようもないんだ
ようやく手に入れた新妻に、侯爵は一途な愛を注ぐ

「こんなにも濡らして、俺のことを待っていてくれたんだね」婚約者のクリストフが留学先から帰ってくる──幼い頃に受けたイジワルの数々を思い出し、ミュアラは複雑だった。それなのに再会したクリストフはミュアラへ蜜のような愛を何度も囁き、甘やかな愛撫でミュアラの身体を蕩かせる。あまりの変わりようにミュアラは困惑するも惹かれてゆき!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「……ああ、よかった。ようやく笑ってくれた」
「ご、ごめんなさい。貴方が困っているのに、私、それを笑ってしまって……」
「いや、いいんだ。君が笑ってくれるのなら、俺の気持ちなんて些細なことだよ」
 クリストフは、とても嬉しそうにミュアラを見つめていた。
 ──その表情も、言葉も。なにもかもが、ミュアラにとっては初めて見るものだった。
「……どうして?」
 気付けば、疑問が勝手に言葉になっていた。
「どうして、クリストフ様は私に優しくしてくれるのですか?」
「……何故、そんなことを聞くのかな」
「だって……」
 疑問に答えることなく、逆に問いかけで返したクリストフへ、ミュアラはなにを言えばいいかわからず、言葉に詰まってしまう。すると彼はおもむろに椅子から立ち上がり、ゆっくりとミュアラの方へと近付いた。
 怯えたように様子を窺うミュアラの目の前まで来ると、彼は目線の高さを合わせるように、ゆっくりとひざまずいた。宝石のような紫紺の瞳が、戸惑うミュアラの顔を覗き込む。
「ミュアラ、この際だからはっきり言っておく。……俺は、君と結婚したいと思っている」
「それは……婚約者なのですから、いずれは……」
「違うよ、そういう意味じゃない。俺は、相手が君だから結婚したいんだ」
「……え?」
 言葉の意味を理解できず、ミュアラは思わず瞳を瞬かせた。
「君を愛している、ミュアラ。どうか俺と結婚してほしい」
 真摯な言葉が、ミュアラの耳朶を打つ。
 クリストフは震える彼女の手を取り、その甲へと口付けた。
「そんな……まさか、嘘でしょう? だって、クリストフ様は、私のことを嫌って……」
「君を嫌ったことなど一度もないよ。でも、そう誤解されるのも当然だとは思っている。先ほども話しただろう、昔の俺は伝え方が悪かった、と」
 例えば、サイズの合っていないドレスを「窮屈に見える」と伝えたり、青いリボンの方が似合うと思ったから「赤い髪飾りは浮いて見える」と告げたり。
 幼い頃、心無い言葉だと感じられたそれらはすべて、クリストフがミュアラのためを思っての言葉だった──彼はそう話してくれた。とても、申し訳なさそうに。
「本当に、愚かだろう? 自分の考える事実を伝えれば、感じている気持ちも伝わると、あの頃の俺は誤解していたんだ。……留学して初めて、それは違うのだと学んだよ」
 クリストフがミュアラの手を撫でる。そんな些細な動作ひとつにすら優しさを感じて、ミュアラはぎゅっと胸が苦しくなるのを感じた。
「君が緊張していることにも、子どもの頃の俺は気付けなかった。でも、今は違う。君が俺のことを苦手だと思っていることにも、不安を感じていることにも気付いている。その上で、こうして一方的な気持ちを伝えるのが傲慢な振る舞いだとも、わかっているつもりだ。……それでも、どうしても君に伝えたかったんだ。君を、愛していると」
 サンルームの大きな窓から差し込む日差しが、人形のように端正なクリストフの顔を照らし出す。ずっと冷徹だとばかり思っていたその表情は、苦悶と微かな期待を帯びて、静かにミュアラの答えを待っているようだった。
「……私、考えたこともなかったんです。クリストフ様が……その、私のことを愛してくださっているなんて、少しも思っていませんでした」
 告げられた愛の言葉に、ミュアラは、答える言葉を持っていなかった。
「だから、どうすればいいかわからないんです。本当に、ごめんなさい」
 正直にそう伝えるのが申し訳なくて、ミュアラは困ったように眉を寄せた。
 クリストフがそんなにも自分のことを想っていてくれたというのに、それに気付けなかったどころか、ずっとひどい誤解までしていた。こうして屋敷を訪ねるのも憂鬱で仕方なかったのに、彼はきっと、ミュアラの訪れを楽しみにしてくれていたのだろう。
 その気持ちに、応えられない。罪悪感で胸が潰れそうだ。
「……誰か、他に好きな相手がいるのかい?」
「いいえ、違います」
「では、俺のことが嫌い? 結婚したくもないほど?」
「それも……たぶん、違います」
 自分の心に問いかけるように、ミュアラはひとつずつ、言葉を紡いでいく。
「クリストフ様は、舞踏会で私を助けてくださったでしょう。……私、貴方に優しくしてもらえて、嬉しかったんです。でも」
 ──不意に、脳裏に蘇る。読みさしの本の挿絵。諦めてしまっていた感情。
「私は、誰かに恋をするという気持ちを、知らないから……」
「そうか。なら、よかった」
 申し訳なさそうなミュアラとは対照的に、クリストフは晴れやかな表情で立ち上がった。
「よかった、って……そんな、私は真面目に言っているんですよ、クリストフ様」
「俺だって真面目だよ、ミュアラ。正直なところ、誰かに恋をしていると言われたら、どうしようかと思っていたんだ。でも、君には想いを寄せる相手はいないのだろう。なら、話は簡単じゃないか」
 クリストフは眩しそうにミュアラを見下ろすと、優しくその頭を撫でた。
「君は俺と結婚して、それから俺に恋をすればいい。……安心して。必ず、君の気持ちを俺に向けてみせるから」
「く、クリストフ様? ……っ」
 見上げたミュアラの顎を指先で持ち上げると、クリストフは彼女の唇へ、掠めるような口付けを落とす。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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