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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・アフロディーテ

黒い魔性

黒い魔性


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・アフロディーテ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 トーリ・キャリントン(Tori Carrington)
 トニーとローリ夫妻がトーリ・キャリントンというペンネームで北米のハーレクイン・テンプテーションに登場したのは一九九九年。一作目を発表するや激賞され、その年の黄金の羽根ペン賞の最終候補に。以降、精力的な著作活動を続けている。バーブラ・ストライサンドを敬愛するローリ、スカイダイビングがやってみたいけれど怖くてできないトニー。夫妻の生活信条は“人生はフィクションより良きものなり”。

解説

 盗賊を標的にする女泥棒のニコールは、ある大富豪の屋敷が窃盗団に狙われるという噂を聞きつけ、そこで開かれているパーティに潜り込んだ。暗い客室に隠れて様子をうかがっていたとき、背後にひとけを感じ、ニコールは息をのんだ。振り返ると、宿泊先のホテルで一目惚れをした謎の男性、アレックスがタキシード姿で立っていた。どうして彼がこんなところに? 予想外の事態にうろたえ、彼女はその場を去ろうとしたが、突然抱き寄せられ、あらがう間もなくキスを盗まれた。

抄録

 アレックスはしばらくじっとして、ニコールの不規則な呼吸を聞いていた。彼女独特の香りを吸い込み、ブロンドのかつらをどこで手に入れたのだろうと考える。変装したあとの彼女を見て、ニコールだと気づくまでには、たっぷり一分必要だった。レストランの化粧室に姿を消したあと、彼女は今の姿で現れた。いつもの服はおそらく、黒のバックパックの中だろう。それを隣家の生け垣に巧みに隠し、彼女はタイスマン家のパーティに乗り込んだのだった。
「ショーはもう終わりそうよ」ニコールがつぶやく。
 アレックスはゆっくりとまばたきした。まだニコールの腰から手を離していなかった。ニコールはまだ彼から離れていない。「どのショーの話をしているかによるな」
 黒のドレスからのぞく青白い肩を見下ろす。窓からさし込む月の明かりが彼女の肌に口づけをし、闇《やみ》の中でそこだけがほんのりと輝いていた。
「あいつにどれだけ時間をやる?」人さし指でニコールの腕をなぞった。彼女は今度は震えなかったが、身じろぎをし、セクシーなヒップがアレックスのズボンの前に押しつけられた。それが偶然の動きでないことは、アレックスにも感じられた。
「彼が有能なら、五分」
「有能でないなら?」
「絞首刑に必要な時間だけ」
 アレックスはにっと笑った。「屋敷の女主人から金庫のダイヤルの数字を教われば仕事は楽になる」
 ニコールが体を引き、暗闇の中でアレックスを見つめた。
「そこまでは気づかなかったか?」体がニコールの熱を恋しがっているのに気づかないふりをする。「我々の友人がうら若きミセス・タイスマンと裏でおしゃべりをしているのを見てしまったんだよ」
「彼女、前菜に不平があったんじゃない?」
 アレックスはニコールのドレスの胸元から、さらに裾《すそ》へ視線を下ろした。こんなにゴージャスな脚を、彼女はどうしていつも黒の革で隠しているのだろう?「もしそうなら、マウス・ツー・マウスで伝えていたことになるな」
「ふうん、面白いわね」
「いや、見えすいていたよ」
「私には見えなかったわ」
「それこそ、面白い」
 ニコールがまだ手にしている靴を見た。
「それで、いつ盗品を横取りするつもりだったんだ?」
 彼女の目が愉快そうに光った。「盗品を横取り?」
「失《う》せ物を奪う。戦利品をせしめる。追いはぎを襲う?」
 ニコールがブロンドの髪を耳にかけた。「ニューヨーク。クイーンズ区。強盗殺人課」
 彼女が一歩下がると、アレックスは顔をしかめた。
「なんだって?」
 じつに鋭い。鋭すぎるとも言えるほどだ。それに、危険でもある。刺激的なほどセクシーだということも考え合わせれば、さらに危険だ。そのことを覚えておいたほうがいい。
 ニコールが唇をゆがめた。「わからないのは、あなたがここで何をしているかということよ」
 アレックスは腕組みをした。防御の体勢というだけでなく、彼女に触れないためだった。「アストリア。保険調査員」
「今はそうかもしれない。でも、以前は警官だった。そうでしょう?」
「刑事だ」
「やっぱり」ニコールは振り返ってドアの隙間から外を見た。「それに、アストリアはクイーンズ区にある町だわ」
 ニコールが廊下をのぞくときに突き出した若々しいヒップを見て、アレックスはうめきを押し殺した。魅惑の体を持つ、厄介なほど頭のいい女性。彼はポケットの中の銃の重みを感じた。それに、とらえるべき犯罪人でもある。
「あなたはここでタイスマンの保険つき財産を守ろうとしているの?」彼女のハスキーなささやきは、女性の指の愛撫《あいぶ》を思い出させた。
「いや、君を見張っている」
 ニコールがまた振り返って彼を見つめた。
 アレックスは思わずにっと笑った。「驚いたか?」
「ええ……そうね」
「やった」
 ニコールはほほえんでから、手を下に下ろし、片方ずつ靴を履いた。
「どこに行くんだ?」
「帰るのよ」
「あの泥棒を待ち伏せるのか?」
 ニコールはそっと首を振った。「いいえ、今夜は不首尾ってことで、家に帰るわ」
「僕のせいじゃないといいんだが」
 ニコールは笑った。
「それに、ここにもう少しいてくれたら、僕が本当は何をしているかわかるんだが」
 ドアの音がした。
 二人は振り返り、泥棒が廊下の向かいの客室から出ていくのを見た。黒いベルベットのバッグを持っている。泥棒はすぐには走り去らず、別のドアを見た。アレックスとニコールが隠れているドアを。
 アレックスは目の前にいる女性を見た。このチャンスをどれほど待ち望んでいたか、ずる賢くてとてつもなくセクシーなニコール・ベネットをかき抱いた瞬間、彼は初めて気づいた。彼女はショックもあらわに、アレックスを見上げている。彼はゆっくりと顔を近づけ、ニコールにキスをした。彼女はやっぱりシナモンキャンディの味がした。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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