和書>小説・ノンフィクション>ハーレクイン>ハーレクイン・アフロディーテ
熱いバレンタイン
著: ヴィッキー・L・トンプソン 翻訳: 山口絵夢発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・アフロディーテ
価格:630円(税込)
10ポイント還元
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著者プロフィール
ヴィッキー・L・トンプソン(Vicki Lewis Thompson)
子供のころから自室のクローゼットにこもって詩や物語を書いていたという、天性のストーリーテラーである。アリゾナ大学大学院で修士号を取得したのち、最初は英語教師に、つぎはジャーナリストになったが、満足できなかった。夫の励ましを受けて、ついにロマンス小説家へと転身。以来活躍を続け、黄金の羽根ペン賞をはじめとする数々の賞を受賞、RITA賞にもたびたびノミネートされている。今ではニューヨークタイムズのベストセラーリストの常連。夫ラリーとは偶然立ち寄ったダンスホールで知り合い、一男一女に恵まれた。子供が独立してからは、夫婦で気ままに出かける旅が大きな楽しみだという。自然豊かなアリゾナ州で暮らしている。
子供のころから自室のクローゼットにこもって詩や物語を書いていたという、天性のストーリーテラーである。アリゾナ大学大学院で修士号を取得したのち、最初は英語教師に、つぎはジャーナリストになったが、満足できなかった。夫の励ましを受けて、ついにロマンス小説家へと転身。以来活躍を続け、黄金の羽根ペン賞をはじめとする数々の賞を受賞、RITA賞にもたびたびノミネートされている。今ではニューヨークタイムズのベストセラーリストの常連。夫ラリーとは偶然立ち寄ったダンスホールで知り合い、一男一女に恵まれた。子供が独立してからは、夫婦で気ままに出かける旅が大きな楽しみだという。自然豊かなアリゾナ州で暮らしている。
解説
クリスタとジャックは幼なじみ。同じ会社で再会してからというもの、一緒にランチをとりながら仲良く話すのが日課になっている。ある日彼に深刻な面持ちで相談を持ちかけられた。聞けば、ジャックが女性名で執筆した小説の刊行が決まり、打ち合わせのためにニューヨークへ来るよう招かれたため、クリスタに作家のふりをして、一緒に来てほしいというのだ。快諾したクリスタだったが、彼の原稿を読み進めるうち、不思議なおののきとともに不安を覚え始めた。こんなセクシーな物を書く人と、同じ部屋で過ごせるのかしら?
抄録
ジャックは彼女の手を取り、微笑んだが、かなり取り乱しているように見えた。「どうしようもない人間だと話していただろう」
「ええ、実はそうね」
ジャックのただならぬ様子にクリスタは席を立って近づいた。「どうしたの? 何かあったの?」
「少し話せるかな」
「もちろん」
彼はロージーを見た。「その、二人きりで?」
クリスタは眉を寄せた。こんな彼は見たことがない。ずいぶんそわそわと興奮して、一箇所に立っていられないようだ。「廊下の向こうに小さな会議室があるの。そこへ行ってもいいわよ」
「よかった」
クリスタがドアを出ると、ジャックも追いつき、並んでカーペットを敷いた廊下を歩きはじめた。すると、ジュリエット・バンクロフトが腕時計をちらりと見ながら急ぎ足でやってきた。ジュリエットは戸惑ったようにクリスタを見た。
クリスタは立ち止まった。「すぐ戻ります。まずはスティーブンソン・コーポレーションの契約書に目を通されるんですよね。取りかかっています」
「よかったわ」ジュリエットは言った。「デレクが十時までに準備してほしいと言っているのよ」
「わかりました」デレクは最近、契約部の期限をきつく設定するようになった。効率アップのために上から圧力がかかっているのだろう。
廊下を進みながら、クリスタはジャックがデレクに関して何か皮肉を言うものと期待したが、いつになく黙ったままだった。いったい何に頭を占領されているのだろう。彼女はますます興味をそそられた。
クリスタは窓のない会議室のドアを開け、天井の明かりをつけた。磨き込まれた木のテーブルと青いツイードの布を張った八脚の椅子が空間の大部分を占め、最近の会議の図表が残る大きなホワイトボードがテーブル奥の壁面で目立っている。
ジャックはドアを閉め、室内を見回した。
クリスタはキャスター付きの椅子を引き、座った。「ここならいいかしら?」
「そうだな」彼は隣の椅子に行ったが、背もたれに寄りかかっただけで座らなかった。鼻の眼鏡を押し上げ、ちらりと見る。「どう説明すればいいかな」
「法的トラブルに巻き込まれて、追いつめられているとか?」彼が大学中退後数年間田舎を放浪したあと何をしていたのか、クリスタは不思議だったのだ。
彼の口もとが上がった。「僕の人間性はきみにはあまり高く買われていないよな」
「ジャック、人はたいてい過去の過ちは忘れるものよ。何だったら、私が保証人になって――」
「わかった。話すよ」ジャックは椅子の背を握りしめた。「僕は毎晩本を書いて過ごしていたんだ」
何はともあれ、これだけは想像しなかった。クリスタは彼をまじまじと見た。
「これまでは断られてばかりだった」彼は椅子を離れ、深く息を吸い込んだ。「それが昨日、マンチェスター出版から電話がかかってきた。今日、折り返し電話してほしいと……」彼は言葉を切った。「まったく、口に出して言うと縁起が悪そうで不安だ」
「本が出るの?」彼が国際的な宝石泥棒だと聞かされてもクリスタはこれほど驚かなかっただろう。
「たぶん」突然、彼は笑顔になった。「そうなんだ、クリスタ。そうなんだ。ついにやったんだ」
「ジャック、すごいじゃない!」クリスタは椅子が隣の椅子にぶつかるほど勢いよく立ち上がり、彼の首に飛びついた。「あなたは絶対負け犬じゃないと思っていたわ!」それから、彼もクリスタ自身も驚いたことに、彼女は彼の唇に激しくキスした。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「ええ、実はそうね」
ジャックのただならぬ様子にクリスタは席を立って近づいた。「どうしたの? 何かあったの?」
「少し話せるかな」
「もちろん」
彼はロージーを見た。「その、二人きりで?」
クリスタは眉を寄せた。こんな彼は見たことがない。ずいぶんそわそわと興奮して、一箇所に立っていられないようだ。「廊下の向こうに小さな会議室があるの。そこへ行ってもいいわよ」
「よかった」
クリスタがドアを出ると、ジャックも追いつき、並んでカーペットを敷いた廊下を歩きはじめた。すると、ジュリエット・バンクロフトが腕時計をちらりと見ながら急ぎ足でやってきた。ジュリエットは戸惑ったようにクリスタを見た。
クリスタは立ち止まった。「すぐ戻ります。まずはスティーブンソン・コーポレーションの契約書に目を通されるんですよね。取りかかっています」
「よかったわ」ジュリエットは言った。「デレクが十時までに準備してほしいと言っているのよ」
「わかりました」デレクは最近、契約部の期限をきつく設定するようになった。効率アップのために上から圧力がかかっているのだろう。
廊下を進みながら、クリスタはジャックがデレクに関して何か皮肉を言うものと期待したが、いつになく黙ったままだった。いったい何に頭を占領されているのだろう。彼女はますます興味をそそられた。
クリスタは窓のない会議室のドアを開け、天井の明かりをつけた。磨き込まれた木のテーブルと青いツイードの布を張った八脚の椅子が空間の大部分を占め、最近の会議の図表が残る大きなホワイトボードがテーブル奥の壁面で目立っている。
ジャックはドアを閉め、室内を見回した。
クリスタはキャスター付きの椅子を引き、座った。「ここならいいかしら?」
「そうだな」彼は隣の椅子に行ったが、背もたれに寄りかかっただけで座らなかった。鼻の眼鏡を押し上げ、ちらりと見る。「どう説明すればいいかな」
「法的トラブルに巻き込まれて、追いつめられているとか?」彼が大学中退後数年間田舎を放浪したあと何をしていたのか、クリスタは不思議だったのだ。
彼の口もとが上がった。「僕の人間性はきみにはあまり高く買われていないよな」
「ジャック、人はたいてい過去の過ちは忘れるものよ。何だったら、私が保証人になって――」
「わかった。話すよ」ジャックは椅子の背を握りしめた。「僕は毎晩本を書いて過ごしていたんだ」
何はともあれ、これだけは想像しなかった。クリスタは彼をまじまじと見た。
「これまでは断られてばかりだった」彼は椅子を離れ、深く息を吸い込んだ。「それが昨日、マンチェスター出版から電話がかかってきた。今日、折り返し電話してほしいと……」彼は言葉を切った。「まったく、口に出して言うと縁起が悪そうで不安だ」
「本が出るの?」彼が国際的な宝石泥棒だと聞かされてもクリスタはこれほど驚かなかっただろう。
「たぶん」突然、彼は笑顔になった。「そうなんだ、クリスタ。そうなんだ。ついにやったんだ」
「ジャック、すごいじゃない!」クリスタは椅子が隣の椅子にぶつかるほど勢いよく立ち上がり、彼の首に飛びついた。「あなたは絶対負け犬じゃないと思っていたわ!」それから、彼もクリスタ自身も驚いたことに、彼女は彼の唇に激しくキスした。
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