マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

侯爵の逃げ出した花嫁

侯爵の逃げ出した花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 アンナ・デパロー(Anna DePalo)
 幼いころから本が大好きだったアンナはすぐに書く楽しみを覚えた。ハーバード大学で政治学と法律を学び、今は執筆活動をしながら知的財産担当弁護士として働いている。趣味は読書や旅行、古い映画の鑑賞。本作品がデビュー作で、ロマンティックタイムズ誌の二〇〇三年度新人賞を受賞した。ニューヨーク在住。

解説

離婚でも婚姻の取り消しでもいい。侯爵との結婚という枷から逃れられるなら。

ベリンダの結婚式の最中、突然、威圧するような男性の声が響いた。「ベリンダはぼくの妻だ。2年前、ラスベガスで結婚式を挙げた」声の主は不動産王のイースターブリッジ侯爵ことコリン・グランヴィル。最高級のスーツに身を包んだ愛しい男性の姿を見て、ベリンダの体に狂おしいほどの情熱が甦る――2年前、訪れたラスベガス。ハンサムでセクシーな彼の甘い誘惑に我を忘れ、愚かな言葉を口にした。“結婚するなら、あなたのベッドに行くわ”まさか本当に結婚式を挙げて、ベッドへさらわれるとは思いもせず。でも翌日、結婚は白紙撤回したはず……。「いや、ぼくたちは夫婦だ」彼は傲然と言い放つ。今この瞬間から、妻としての義務を果たせと。

■D−1745『伯爵のかりそめの妻』、D−1775『公爵に捧げた無垢な恋』に続く関連最終話です。逃げるヒロインを追い続ける侯爵の、傲慢すぎる情熱愛は圧巻!さすがUSAトゥデイのベストセラー作家、と納得の逸作をどうぞお楽しみください。

抄録

 しばらくすると、ベリンダは椅子から立ち、近くでじっくり見ようとルノワールの絵に近づいた。
 キャンバスに残るブラシの跡まで記憶のままだ。
 そのときドアが開く音がし、彼女が振りかえるよりも早く声が聞こえてきた。
「ぼくが支払った額以上の価値がある絵ばかりだと信じているよ」
 冷ややかで、楽しんでいるような……そして聞き覚えのある声だった。
 ベリンダは凍りついた。すぐにくるりと振りかえると、コリンが戸口に立っていた。
「コリン」
 彼が唇の端を上げる。「どうせなら“あなた”と言ってほしいな」
「どうやってこの家に入ってきたの?」
「この屋敷の所有者はぼくだよ」コリンが愉快そうに言う。
 ベリンダはコリンをじろりと見ると、くらくらする頭で彼の言葉の意味を理解しようとした。
 コリンはまるで舞台劇に出てくる貴族のようないでたちをしていた。白いシャツの袖をまくりあげ、濃い色のズボンに細めのベルトを締めている。グランヴィル家代々お抱えのサヴィル・ロウの仕立屋で作らせた一流品に違いない。
 彼は相変わらず冷静沈着だった。カナリアをぺろりとたいらげた猫みたいな気分になっているに違いないが、そんな様子をおくびにも出していない。
「犯行現場に戻ってきたわけ?」ベリンダはなんとか心の動揺を隠そうとした。
 コリンの目がきらりと光った。「“犯行現場”とは、“結婚式を挙げた思い出の地”を指しているのか? たしか今日は三回目の記念日だったな」
 彼女は手で髪をさっと払い、無関心を装った。「あら、そうだったかしら? 忘れていたわ。今のわたしは、あなたとの結婚が取り消される日を指折り数えて待っているのよ」
 コリンがゆっくりした足取りで近づいてきた。「すると、きみがラスベガスに戻ってきたのはそれが目的なのか?」
「あなたが協力するしないにかかわらずね」ベリンダはきっぱりと言った。
 彼が周囲をぐるりと見回した。「ここにある絵を、たっぷり楽しんでもらえたかな?」
 ベリンダはうさんくさそうにコリンを見た。「あなた、何を企んでいるの?」
「尋ねるまでもないだろう?」
「わたしをおびき寄せたのね」
「とんでもない。きみは婚姻無効の手続きをするために、自分から進んでここに来たんじゃないか。遅かれ早かれ、きみがいずれラスベガスに戻ってくると予期していたのは認めよう。だから、わざわざ出向く甲斐があるようにしてあげようと思ったのさ」
「そのために、印象派の絵画をいくつか購入して、鑑定させることにしたわけ? この作品を売る予定があるの?」
 ベリンダはふと、コリンがこの美しい絵画の数々を売り払い、散逸させてしまうのは残念だと思った。わたしがこれらの作品をすべて購入すると言えたら、どんなにいいだろう。
 彼が首を傾げて言った。「いや、売る気はないよ。今のところ、ぼくの関心は投資対象の資産価値を増やすほうにあるのでね」
 コリンが何をどう処分しようと、あるいは処分せずに残そうと、わたしには関係ないことよ、とベリンダはあらためて自分に言い聞かせたが、それでも安堵の表情は隠せなかった。
「ここにある絵はあなたが最近購入したものね。鑑定してもらいたいと思ったのはなぜなの?」唇をぎゅっと引き結ぶ。「すべて真作よ。それはあなたもわかっているはず。わたしが請け合うわ」
「そう、本物だ」彼がつぶやいた。「信憑性こそ、ぼくが求めているものだよ」
 ベリンダは居ずまいを正した。コリンが絵画以外の話をほのめかしていると気づいたからだ。
「さっきも言ったように、ぼくは自分がいい買い物をしたという確証がほしかった。ほかの投資対象と同じように、この絵画には自分が払った額以上の価値があるとぼくは信じている……少なくとも今の時点ではね」
 彼の言葉には隠された意味があるのかしら? わたしが気づかない何かが? ベリンダはあらためて不安を覚えた。
「絵画には正確な値段はつけられないのよ。美しいかどうかを決定するのは、結局、それを鑑賞する人だもの」
「では、そういうことにしておこう」コリンが優しい声で言った。
 そして、ベリンダを足の先まで眺め回す。顔から少しずつ視線をおろしていき、しばらく胸もとに目をとめ、最後に爪先がのぞく花柄のサンダルへと向かった。
 値踏みされているような気分になり、ベリンダは怒りがこみあげてきた。
「なんのためにこんなことをしているの?」
「ウェントワース家とグランヴィル家の確執に終止符を打ったのはぼくだと、声を大にして言いたいからさ」
 コリンは彼女の質問をはぐらかすことなく答えた。それは評価できる。だが、彼は依然として謎めいたまなざしをベリンダにそそいでいた。
「わたしたちの諍いを終わらせたければ、婚姻無効を申請する書類にサインするだけでいいはずよ」
「その程度の行為では、とても偉業とは言えないな。あまりにも後ろ向きだ」
「不貞を働いたことを理由に、すぐにでも離婚の申し立てをしてもいいのよ」彼女は食いさがった。
「不貞を働いた? きみが? それともぼくが?」
「わたしがよ。もちろん」
「とんでもない嘘つきだな、きみは」
「言っている意味がわからないわ」
「当然わかっているはずだ。きみはディリンガムと寝たことは一度もないんだから」


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。