マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

未完の契約結婚

未完の契約結婚


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


解説

かりそめの夫は億万長者のプレイボーイ。決して愛してはいけない人なのに……。

行動に愛が伴わない男性にさんざん傷つけられてきたキャットは、ひとりで生きていこうと決意し、高級レストランでの仕事に就いた。しかし案内係に昇進した今でも経済的には苦しく、唯一の親族であるおばの治療費の工面に頭を悩ませている。ある夜、店の上得意客ジョナスに借り物のドレスを台無しにされ、彼女は青ざめた。こんな高価なドレスの代金なんて払えない……。すると、CEOとして不動産デベロッパーを率いるジョナスが提案した。「僕の妻でいる間、ひと月ごとに50万ドル支払おう」3カ月以内に結婚しなければ会社の相続権を失ってしまうらしい。ベッドは共にしない純粋な契約結婚という条件で、彼女は同意したが……。

■『なくした記憶と愛しい天使』でデビューしたジョス・ウッドは『独身富豪の天使を抱いて』で筆力を示し、ディザイアの期待の星となりました。待望の新作は、魅惑の億万長者のかりそめの花嫁となったヒロインの物語。貧しくとも凛とした彼女にご声援を!

抄録

「リラックスして眠らなきゃだめ」テスは言い張り、キャットがソファに脚を引き上げて、クッションに頭をのせるのを見守った。「ちゃんと寝ないと、まともに考えられないものよ。目が覚めたら気分がよくなって、解決策を思いつくわ」
 そうだといいけど。キャットは目をつぶった。とろとろと眠りに落ちようとしたとき、また聞こえた。テスの足音。「テス、何かなくした?」
「あのね……なくしたんじゃなくて、ここの玄関で見つけたんだけど」
 驚きと戸惑いが入り混じったテスの口調に興味を引かれ、キャットは目をこじ開けた。最初に見えたのは足だ。流行のネイビーのスニーカーを素足にはいている。インディゴのデニムのスラックスがたくましく長い脚を包み、細いウエストを革のベルトが取り巻いている。青と白の縞のシャツの裾がスラックスにたくしこまれ、胸も肩もいっそう広く見える。巻き上げられた袖口から、日に焼けた腕とロレックスが見えた。襟元は開いていて、薄い毛に覆われた胸がVの字にのぞいている。
 どこまでも緑色の瞳、乱れた髪、たくましい顎に伸びかけたセクシーなひげ。ジョナス・ホールステッドが朝八時五分にこの部屋に立っているなんて、私はいったい何をしでかしたのだろう。
 キャットはゆっくりと体を起こし、テスが後ずさりするのを見て眉をひそめた。間違いが起きないよう、そばにいてくれるつもりはないらしい。「仕事に行かなきゃ。また遅刻だわ。ごめんね」テスは言い訳しながら後ろ向きに歩いて廊下へ出ていった。
“ごめんね”? ぜんぜん悪いと思っていない顔だ。キャットは裸足で床を踏み、立ち上がった。髪に手を押しこむと、その手がもつれに引っかかり、ため息が出た。ほんとうに、これが私のいまの人生?
 ジョナス・ホールステッドの愉快そうな目をしぶしぶ見る。「いったいここで何をしていらっしゃるの? どうしてここがおわかりになったの?」
 彼はスラックスの後ろポケットに手を入れ、コーヒーテーブルに小切手を放った。「千四百ドルある。僕がだめにしたドレスの支払い用だ」
 シーアンったら。黙っていてくれると思ったのに! キャットは小切手を見てため息をつき、しらを切ることにした。「なんのお話かわかりません」
 ジョナスはスラックスのポケットに両手を突っこみ、目をぐっと細めてキャットを見た。「知らないはずはない。君は返却するつもりでブランド物のドレスを借りた。それなのに僕が値札を引きちぎった。シーアンによれば、そんなことをするのは“ばか”だそうだ。いま千四百ドルのせいでまわらない君の首を、僕がまわるようにしてあげてる」
 キャットは小切手を見ると、彼の決然とした顔まで視線を上げて、また小切手に戻した。このお金をどれだけ受け取りたいことか。あれは彼のせいだ。彼が値札を引きちぎったのだし。この人はジョナス・ホールステッド――億万長者だ。
 でも私は、施しは受け取らない。とくに、紙吹雪みたいに現金をまき散らすセクシーな男性からの施しは。動機はつねに疑ってかかるべきだ。何も見返りを求めずにお金を施す人はいない。とくに情け容赦ないビジネスマンなら。
 元夫と父親のせいで、男にも、男が金で遊ぶゲームにもうんざりしていた。キャットは腕組みをして首を振った。「その小切手は現金化しません」
 彼の顔と目にショックがよぎった。「え?」
「あなたのお金は受け取りません」キャットはゆっくりと言った。まるで三歳児に説明するかのように。「あのドレスを着ることにしたのは私です。何かあってもその支払いをする余裕はないのを承知の上で。その何かがあったわけですけど、それは私の問題ですから。あなたのではなく」
「いや、僕の問題だとも」ジョナスが噛みついた。緑色の目がいらだちで光る。「値札を取るなんて、でしゃばりなことをするべきじゃなかった」
「そうかもしれないけれど、それでもあなたのお金は受け取らないわ」われながら頑固だ。
「チップと思ってくれ」ジョナスが負けじと強情を張る。
「それは手遅れです。お申し出に感謝しますが……お断りします」
「君って、ほんとに腹が立つ人だな。いらだたしくてセクシーで……」
 最後の言葉を聞いてキャットの息が詰まった。二人の視線がぶつかり、からみ合う。たったひと言で、二人のあいだで熱くて強烈な何かがうなりだした。周囲の空気が濃く張りつめ、電流を帯びたように感じられる。ああ、私とこの人は惹かれ合っている。彼がこぶしを握ったり開いたりする様子や、緑色の炎のような目の中に、それが見える。もし一歩近づいたら、私は彼の腕の中にいるだろう。彼の熱さと力強さを感じ、セクシーな唇が見た目どおりの感触か、彼の手のぬくもりに私の肌から火花が散るかどうかわかることだろう。
 彼が欲しい。テーブルにお金をたたきつけるような、うっとうしい人だけれど、彼を味わいたい。感じたい。愛し合いたい。ああ、私は正気を失いつつある。それはたしかだ。ひどいストレスと睡眠不足……その結果がこの正気を失った状態なのだ。
「どうかしてる」彼がそうつぶやくのが聞こえた。
 すると、ジョナスの手が二人のあいだのスペースを侵して、指がキャットの手首にまわされた。逃れたければ逃れられる軽さだ。でも、逃れたくない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。