マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・イマージュ

さよならまでの二週間

さよならまでの二週間


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 スーザン・メイアー(Susan Meier)
 ペンシルベニア生まれ。結婚して二十年以上になる夫と三人の子供とともに、今もそこに暮らす。販売員や弁護士秘書、地方新聞のコラムニストなどさまざまな職業を経て、現在は執筆に専念。職場で出会ったいろいろな人物をモデルとして作品に登場させている。

解説

そばにいて見向きもされないのなら、いっそ“さよなら”を伝えよう……。

里子だったライラがスペイン人大富豪ミッチの秘書になって1年。地味でまじめな彼女は初めて会った日から彼に恋心を寄せてきたが、ボスの目に浮かぶのはいつだって、友達以下の感情しかなかった。思いが募るほど切なさで胸がくるしくなり、もう限界……。そんなとき、ミッチがとんでもない取引を提案してきた。なんでも願いを叶えてあげるかわりに、2週間のあいだ、ぼくの婚約者のふりをして兄の結婚式に同伴してくれないか、と。生き別れた母を捜す資金のため、何より、つらい片思いを諦めるため、ライラは断腸の思いで、いい転職先を紹介してほしいと告げた。そして、愛する彼の婚約者を精一杯演じようと、さえない眼鏡を外した。

■献身的なヒロインを描かせたら右に出る者がないS・メイアーより、またまた切ない恋物語が届きました! ボスへの報われない片思いをやめるために、退職する決心をした秘書のヒロイン。それなのに彼の偽りの婚約者になると、ボスの視線は急に情熱的になり……。

抄録

 いくらミッチが、これまで秘書の自分に見せたことのない物欲しそうな目を見せたからといって、彼を誘惑するようなまねをするべきではなかった。それでなくても、ボスへの思いをもてあましているのに。今回の仕事には大きな危険が伴っているのだから、一瞬たりともお芝居であることを忘れてはいけない。でないと、ミッチにとってはいっときの気晴らしが、わたしにとっては一生癒えることのない心の傷になってしまう。
 でも、わたしはそこまで愚かじゃない。
 ライラは大きく息を吐いて、静かに微笑んだ。「続けてくれる?」
「そしてぼくたちは、普通のカップルがするようにショーを観に行ったり、ディナーをとったりしはじめる」
 話が事務的に進められたので、ライラはほっとした。しかし、ミッチの声にかすかな不安を嗅ぎとってきいた。「あなたは今回のお芝居に気が進まないのね?」
「家族に嘘をつくわけだからね。だが、必要だとは思っている。ナンナにまとわりつかれるのも困るが、それ以上に、アロンソとフリアの結婚をどんな形にしろ壊したくはないからね」
「でも、あなたが婚約したとわかれば、まちがいなく注目の的になるんじゃない?」
「最初はたしかにそうだろう。今夜だけは。明日になってもまだぼくたちが注目を浴びるようなら、みんなに、これはフリアとアロンソの結婚だと気づかせるよ」
「それがいいでしょうね」ライラはそう言って、わずかに首をかたむけた。「あなたは本当に、フリアのことをなんとも思っていないのね」
「ああ、これまで何百万回もそう言っているのに、誰も信用しないが」ミッチはため息をついた。
「たぶん、身内の裏切りを許すのは簡単ではないと、誰もが知っているからじゃないかしら」
 ミッチは笑った。「いったい、いつからそんなに鋭い洞察力を備えるようになったんだ?」
「あら、わたしはずっとそうだったわ。いつもあなたの一歩先を読むことができるのだって、この洞察力のおかげなんだから」
 うなずくミッチを見て、ライラはなんだか悲しくなった。ピンクのワンピースを着て脚の長さを強調してみても、結局わたしはただの秘書にすぎないのだ。
 でも、そのほうがいい。新しい生活を、傷心を抱えながら始めたくはない。母を捜しだし、失った過去を取りもどしたいと願っているわたしには、愚かな夢にうつつを抜かしている暇はないのだ。
 子どものころは、自分には夢のような未来が待っていると信じていた。いまにして思えば、そんなおとぎばなしがわたしを支えつづけてくれたのかもしれない。しかし最近では、母親や家族への思いがおとぎばなしにとって代わっている。だからこそ、ミッチへの片思いは愚かだと考え、いいかげん先に進む時期だと決心したのだ。
 ミッチのうなり声に、ライラは我に返った。「こんなばかげた話は聞いたことがない」
 そうだ、ミッチがリカルドの筋書きを読みきかせてくれていたんだった。「えっ? もう一度読んでくれる?」
 ミッチがあきれたような顔でライラを見た。「誰が熱気球なんかレンタルするものか。夕焼け空いっぱいにプロポーズの言葉を描いて、ゴンドラのなかでひざまずくだって?」
 ライラは思わず吹きだした。「そうね、いくらなんでも芝居がかっているわ」
「フリアのときに考えたのは、早めに家に戻って、シャンパンを注いだグラスを二つ持って、家じゅう彼女を捜しまわる。そして見つけたら、こう言うんだ。“きみはなんて美しいんだ、一生ぼくのそばにいてくれないか”と。それから指輪をわたす」
「まあ」ライラの口からため息がもれた。「きっとすてきなプロポーズになったでしょうね」
「ああ、フリアが兄と一緒でなければね」
 ライラは笑ったものの、すぐに後悔した。そのときミッチはまちがいなく傷ついたはずで、笑うようなことじゃない。
「とにかく、すばらしいプロポーズだわ」
「ぼくもそう思った。だがその前に、兄がヨットで大げさなプロポーズをしていたようだ」
「ああ、リカルドの筋書きの意図がわかったわ。彼はアロンソのプロポーズの向こうを張りたかったのね」
「しかし、ぼくは兄じゃない」
「それに、シンプルなほうがいい場合もあるものね」
 ミッチがライラを見つめた。「そのとおり。もっとぼくに合った筋書きにしないとな。たとえば、指に婚約指輪をはめるなり、きみの服をはぎとって、週末ずっとふたりはベッドで過ごしたとかね」
 ライラは息がとまったかと思った。そんな筋書きだったら、本当に呼吸ができなくなってしまう。「それよりはまだ、熱気球のほうがましだわ」
「ぼくはそう思わない」
「とにかく、プロポーズの話はできるだけ避けましょう」
「そうだな」
 ミッチがそれ以上、リカルドの筋書きを読みあげることはなかった。彼の顎や頬にうっすら生えかけた髭やつややかな黒髪を見つめて、ライラははっとした。この二週間のあいだに、もしかしたら本当にミッチの言ったようなことが起こるのでは?
 ライラの胸が激しく高鳴りはじめたとき、ミッチが顔を上げて微笑みかけた。「リカルドはこの時間に、ぼくたちがよく知りあうようにと言っていた」
「知りあう?」
「ああ、たとえばぼくが子どものころ、ワイナリーの屋根から飛びおりたこととかをね。なにしろ、空を飛べると信じていたから」
 ライラは笑っていいのか、あきれていいのかわからなかった。「なぜ信じていたの?」
「ぼくは八歳で、マントをつけていたからだ」
 ライラは声をあげて笑った。「まったく困ったものね」
「きみだって子どものころは一度くらい、そういうばかなまねをしたんじゃないのか?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。