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じゃじゃ馬と公爵【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】

じゃじゃ馬と公爵【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

因縁めいた美しき公爵と、愛なき契りを結んで……。

没落した男爵家の長女アリシアは、酒と賭事に明け暮れる父に代わり、祖父の跡を継いで馬の調教で生計を立てていた。ある日、多額の借金を抱えた父が厄介事を持ちこむ。名門貴族の公爵ダルトンに価値ある名馬をもらうのと引き換えに、彼の傷ついた愛馬を癒やしにアリシアを差し出す約束をしたというのだ。すぐ荷物をまとめて公爵領へ行けと命じられ、彼女は身を震わせた。というのも3年前、彼の母親である公爵未亡人にあらぬ醜聞を流され、アリシアは初めての舞踏会の夜に社交界を追放されたのだった。わたしを嫌う公爵家に身を置かなければならないなんて……。だがそこに待っていたのは、見目麗しい公爵からの突然の求婚だった!

■望むものはなんでも手にしてきた若き公爵ダルトン。そんな彼が、男心もわからぬ無垢で可憐なアリシアとの突然の婚約発表で社交界を揺るがします。19世紀初頭の英国に花開く、瑞々しい恋の物語。
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 ダルトンは厩に入り、通路を歩いていった。数頭の馬が彼を歓迎するようにいなないた。バッシュシャーの馬房に近づいていくと、彼の足音に気づいて馬が小さくいななく声が聞こえてきた。ダルトンはバッシュシャーの回復の兆しにほほえんだ。事件のあと、バッシュシャーは慣れ親しんだものとそうでないものとの区別がつかなくなり、見るものすべてを敵と見なすようになっていた。
 馬房の前に来ると、扉の横木がはずされているのに気づいた。ダルトンは激しい怒りを覚えた。バッシュシャーの馬房を閉め忘れるとはあまりに不注意だ。うちの使用人にかぎってそんなことはないと思っていたのだが。彼は扉を開けた。
 アリシアがランタンの下に立っていた。彼女とわずかしか離れていないところにバッシュシャーが頭を下げている。ダルトンは彼女のそばに駆け寄ろうとした。バッシュシャーが後ろ脚で立ったら、ひとたまりもない。だが、ためらった。急に動いて馬を驚かせてはいけない。
 アリシアはレースの襟の清楚なナイトドレスを着ていた。背中に下ろした茶色の髪がランタンの明かりに照らされて炎のように輝いている。毛織りの白いショールを肩にかけてはいるが、なにも身につけていない彼女の体を容易に想像できた。
 彼女はなんと魅力的なのだろう!
 アリシアがバッシュシャーの首を撫でながら振り向いた。種牡馬は奇妙な侵入者を主人に紹介しようとするかのように、その黒い頭を上げた。
 ダルトンは目を疑った。アリシアはほかの調教師が数カ月かかったことを、わずかな時間で成し遂げてしまった。
 ランタンの柔らかい光に照らされた彼女は、とても傷つきやすく魅惑的に見えた。大きな茶色の瞳にもはや勝ち気そうな色は見られなかった。ベルベットのような柔らかい光を放つその瞳は今、バッシュシャーへの同情に満ちていた。
 ダルトンの胸に彼女への賞賛の気持ちが込み上げた。彼女は怒りを忘れ、傷ついた馬を助けるためにこの領地に来てくれた。バッシュシャーと一緒にいる彼女を見ているだけで、この風変わりな若い女性なら、専門家が不可能だと言ったことを可能にしてしまうのではないかという望みがわいてきた。
“きみはジャスティン・サイクスを愛していたのか?”ダルトンはそうききたかったが、すぐにそんなことはどうでもよくなった。彼女が欲しい。ダルトンは気の強い彼女を飼い慣らしてみたくなった。
「わたしを見つめているの?」下唇をかんで彼を見つめ返すアリシアの汚れのない美しさに、ダルトンはもう少しでわれを忘れそうになった。いったいどうしてしまったんだ? 彼はみだらな考えを頭から締め出した。
 突然バッシュシャーがいなないて頭をそらし、耳を立てた。ダルトンは前に飛び出し、種牡馬の手綱をつかんでじっとさせた。「きみはコテージに戻ったほうがいい」
「バッシュシャーには自由に感情を表現する権利があるわ」馬を興奮させないように彼女はささやいた。
 感情を表現する? ダルトンは振り向いてまじまじと彼女を見た。「バッシュシャーはきみが普段扱っている馬とは違うんだ、レディ・アリシア。彼は怪我をしている。それも、彼にはまったく落度のない怪我だ。だいいち、彼はぼくにしか従わない」
 アリシアは体にショールを巻きつけ、きっとあごを上げた。「それなら、わたしではなく、バッシュシャーに命令してください。わたしはあなたの命令には従いませんから」
 ダルトンは思わず笑いだした。「それなら、命令ではなく提案だと思ってくれ。コテージに戻ったほうがいい。馬に対面するのは明日の朝まで待ってほしいと言ったのにはそれなりの理由があるんだ。真夜中の乗馬を楽しもうとして多くの客人が厩にやってくる。天使のように美しい女性がそんな姿で馬房を歩いているのを見たら、どう思うだろう?」
 アリシアはナイトドレスの乱れを直した。「あなたはこんな夜遅くになにをなさっているの?」ダルトンがまるで不法侵入者であるかのような口ぶりだ。「真夜中の乗馬を楽しむつもり?」
「いや。いつも部屋に下がる前にバッシュシャーの様子を見に来ているんだ。きみがぼくのことをどう思っているか知らないが、ぼくはバッシュシャーのことを心配している」
「バッシュシャーが怪我をしたときのことを聞かせてください。厩番の少年はあなたを恐れるあまり、事故のことをなにも話してくれなかったわ」
「厩番にきいたのか?」ダルトンは胸の前で腕組みをして、ほほえんだ。
 アリシアはバッシュシャーをちらりと見た。「わたしはあなたの馬を癒すためにここに来たんです」冷ややかな表情が同情に変わる。「なにが起きたのか本当のことを知る必要があるわ」彼女の声は優しく、敵意はまったく感じられなくなっていた。
 ダルトンはアリシアをじっと見た。種牡馬を見つめる彼女の顔は優しさにあふれていた。そんなアリシアの様子に彼女を信頼できるような気がしてきた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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