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億万長者のおびえた小鳥

億万長者のおびえた小鳥


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 タラ・パミー(Tara Pammi)
 子どもの頃から本の虫だった彼女は10代でロマンス小説に夢中になり、教科書の陰に隠して読みふけっていた。修士課程修了間近のある日、卒業論文を書くためにパソコンに向かっていたはずが、気がつくと物語のプロローグをタイプしていた。無事卒業し、世界一理解のある夫のサポートを得て小説を書き始め、現在はアメリカのテキサス州で執筆に勤しんでいる。

解説

この世で最も複雑な男性に、無垢な心はさらわれて……。

昼夜を問わず身を粉にして働く孤児のレクシーは、ある日突然、傲慢なギリシア富豪ニコスに命じられた。大事な妹から不埒な恋人を引き離したい、巨額の報酬と引き換えにその役目を負うようにと。色気のかけらもない私に、妹の恋人を誘惑しろだなんて……。半ば脅されてギリシアの島へ連れ去られたレクシーは、ニコスの冷酷さにおびえながらも彼と強く惹かれあっていく。当初の目的も忘れて熱い夜を重ねるふたりだったが、彼は突然、取引相手の令嬢との婚約を発表して……。

■情熱的な愛の言葉を囁きながら、次の瞬間には固く心を閉ざす氷の富豪ニコス。そんな彼を愛してしまった心優しき乙女の運命は……。T・パミーが繊細な筆致で描く、魅惑のシンデレラストーリーです。

抄録

 おおげさではなく、ニコス・デマキスはこれまで出会った中で最も魅力的な男性だった。身長は百九十センチ近くあり、全身が引きしまった筋肉におおわれている。この数カ月、頭の中で熱心に作りあげてきた男性そのもの。レクシーの描くコミックに登場する宇宙海賊で、タイムトンネルの入口を開けるためにヒロインのミズ・ハヴィシャムを誘拐する、極悪非道な男にそっくりだった。
 レクシーは心臓が早鐘を打ち、いつも持ち歩いているチャコールペンをバッグから取り出したくて指がむずむずした。その男のスケッチは数えきれないほど描いてきたけれど、まだ満足がいっていない。
“この男性はまさに非情で凶暴な宇宙海賊、スパイクの現実版だわ”
「なんだって? 君は酔っているのか、ミズ・ネルソン?」
 思ったことを声に出して言っていたと気づいて、レクシーは顔を赤らめた。「酔ってなんかいないわ。ただ……」
「ただ、なんだ?」
 レクシーは作り笑いをした。「あなたを見て、ある人物を思い出したの」
「空想にふけるのが終わったら、話をしよう」ニコス・デマキスが彼女の背後のドアを指さした。
「パーティを抜け出す必要はないわ」レクシーは彼から視線をそらして言った。「私はタイラーがどうしているか知りたいだけよ」
「ここではだめだ」彼はレクシーを見つめたままブルネットの女性の耳元で何かささやき、それから言った。「僕のオフィスへ行こう」
 レクシーは舌先で唇を湿らせた。「話すことなんて何もないわ、ミスター・デマキス。私はタイラーがどこにいるか知りたいだけ」
 もう歩きだしていた彼は、足を止めずに肩越しに言った。「これは要望ではなく命令だ」
 口調はなめらかだが、声には鋼のように冷たい響きがあった。立ち去る彼の姿をまたもやじっと見つめていたのに気づいて、レクシーは急いであとを追った。数分後、二人は最先端の設備がそろった彼のオフィスに着いた。
 部屋の真ん中に巨大なマホガニーのデスクが置かれている。その片側にはソファとテーブルが、反対側にはコンピュータとプリンターとシュレッダーが並んでいる。ソファの向こうには、ラウンジよりさらにすばらしいマンハッタンの高層ビル群の眺めが開けている。
 ニコス・デマキスがジャケットを脱ぎ、革張りの椅子にかけた。真っ白なシャツ姿になるとさらに重々しい雰囲気が漂い、大柄に見え、オリーブ色の肌がいっそう際立つ。
 彼はカフスをはずしてシャツの袖を折りあげると、ソファに腰を下ろして長い脚を伸ばした。ズボンが力強い腿にぴったりと張りついた。「待っているようにと言ったはずだ」
 レクシーは顔を赤らめ、どうにか視線を引きあげた。あからさまに男性の腿を見つめるなんて、いったい何をしているの? 「あなたに少し時間を取ってもらうために、十九階まで上がってきたのよ」彼の鋭いまなざしを受けてきまりが悪くなり、レクシーはようやく言った。「タイラーがどうしているか教えて。そうしたら帰るわ」
 彼がテーブルを押しやって立ちあがるのを見て、レクシーはおびえた小鳥みたいに飛びのくまいと思った。彼は両手をズボンのポケットに突っこみ、のしかかるように大きな体を近づけてきて、軽蔑をこめた目でレクシーを一瞥した。
「君は寝起きなのか、ミズ・ネルソン?」
 レクシーは数秒間、あんぐりと口を開けていた。この男性は本当に礼儀をわきまえないろくでなしだわ。「実はそうなの。電話がかかってきたとき、徹夜明けで眠っていたの。だから私の格好がいかにも億万長者らしいあなたのオフィスに似合わなくても、許してちょうだい」なぜか知らないが、彼は明らかに私を嫌っている。そう思うといらだちを覚え、いつになく攻撃的になった。「参考までに言っておくわ。あなたはガールフレンドとだらだら過ごす以外とくにすることもないかもしれないけれど、私は仕事があるの。世の中には食べるために働かなくてはならない者もいるのよ」
 彼の瞳にかすかに楽しげな色が浮かんだ。「僕が働いていないと思っているのか?」
「じゃあ、なぜあなたの時間は私の時間よりも貴重だと言いたげな態度をとるの? もちろんあなたは私よりたくさんお金を稼いでいるでしょうけど、私は稼いだお金で食べ物を買うのよ」レクシーは自分でも驚くほど激しい怒りを覚えていた。「さあ、あなたがさっさと私の質問に答えてくれれば、私もじゃまをせずにさっさと帰るわ」
 彼がまったく動じずに近づいてくるのを見て、レクシーの心臓の鼓動がさらに速まった。だが、一歩も引くまいと足を踏んばった。
「君は大切なタイラーのためにここへ来た。誰も強制はしていない。さっさとここを出ていって、また階段を下りて帰ればいい」
 レクシーはまさにそうしたかったが、できなかった。ここまで来るのがどれほど大変だったか彼にはわからないのだ。「名前を明かさない人物から電話がかかってきて、タイラーとあなたの妹が自動車事故にあったと言われたのよ。彼はどうしているの? あなたの妹も怪我をしたの? 二人は大丈夫なの?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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