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十八歳の白き結婚

十八歳の白き結婚


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ミシェル・スマート(Michelle Smart)
 イギリス人作家。ぬいぐるみより本を抱いて寝るのが好きだったというほど、生まれながらにして本の虫だった。まだ少女のころ読んだおとぎばなしに、ロマンスの片鱗を感じていたという。「本はいつも胸をときめかせてくれます。まるで初恋のように」と語る彼女は、自分の書くロマンスが、読者の心にもそんなときめきを届けてくれることを願っている。

解説

あなたは信じてくれないだろう──未亡人の私が無垢だなんて。

突然の事故で亡くなった夫の葬儀に参列していたナターシャは、参列者の中に形成外科医マッテオの姿を見つけて激しく動揺した。無理もなかった。7年前、彼女はあるパーティで彼とキスをして、その2時間後に彼のいとこのプロポーズに応じたのだから。葬儀の夜、怒りに満ちたマッテオの来訪を許したナターシャは、抑えがたい衝動にのみ込まれ、気づけば彼に身を捧げていた。なんて愚かなまねをしてしまったの?さらに妊娠の兆候まで現れ、追いつめられた彼女は心を決めた。全てをマッテオに打ち明けるしかない。隠してきた結婚の秘密を。

■気鋭のM・スマートが描く、ドラマティックなロマンスをお楽しみください。18歳のヒロインは金に目の眩んだ両親の奸計にかかり、意に染まぬ結婚をすることに。しかも夫には驚くべき裏の顔が……。

抄録

 ナターシャの青白い顔からますます血の気が引いた。「妊娠なんかしていないわ」
「それならきちんと証明してみせてくれ。きみが検査するまでは帰らないぞ」
 彼女の視線がマッテオの背後に向けられた。
「誰か来るのか?」そっけなく尋ねた。「ひょっとして、ほかに恋人でもいるのか?」
 彼女は口を引き結んだが、戸口に立ったまま動こうとしない。「ヴァネッサがよく訪ねてくるの」
「嘆き悲しむ母親が、嘆き悲しむ未亡人の様子を見に来るわけか? いい話だな」
 マッテオは激しい嫌悪感を覚えた。ほかのペレグリーニ家の人たちと同様に、どうやらおばの生活もナターシャを中心にまわっているらしい。そもそも、今日ここを訪れるはめになったきっかけも、フランチェスカが若き未亡人の身を案じ、同情を寄せていたからだ。
「ここで彼女と鉢合わせして、こんなものを持っている理由を説明するはめになるぐらいなら、なかに通したほうが賢明だと思うが」
 長いため息をついて、ナターシャが脇へどいた。
 今日、ピエタの家に足を踏み入れるのは二度目だが、マッテオは一度目と同じように嫌悪感に襲われた。彼女に対して。自分自身に対して。ふたりがしでかしたことに対して。
 ピエタが生きていたころも、この家には一度しか来たことがない。ナターシャがイギリスに里帰りしていたときだ。
「あれから……月経は?」はっきりと口にするのは抵抗があったものの、なんとか尋ねた。
 立ち入った質問をぶつけられ、彼女の青ざめた顔に赤みが差した。「いいえ」かぼそい声で答える。
「予定ではいつなんだ?」
「二、三日前かしら。でも、もともと不順だから、予定なんて当てにならないわ」
「疲れやすくて、腰が痛い。二時間の打ち合わせのあいだに、きみは三回もバスルームへ行っていた」症状のひとつひとつを指折り数えていくうちに、また頭がずきずきしだした。つまり、最も妊娠しやすい時期に関係を持ってしまったのだ。「三時間後に発つ飛行機でマイアミに戻るつもりだから、今すぐ検査をしてくれ。結果が陰性だったらピサを離れられるし、ふたりのあいだに起こったことはお互い忘れてしまえばいい」
 結果が陽性だった場合のことはどちらも口にしなかった。
 マッテオは検査キットの箱を差しだした。彼女は少しのあいだぼんやりと箱を見つめていたが、やがてマッテオの手からもぎ取り、応接間から出ていった。階段をのぼっていく足音に続いて、ドアが閉まる音がした。
 マッテオはひとりで談話室へ向かうと、ソファに腰をおろして両手で頭を抱え、彼女が戻るのを待った。隣の部屋にはバーがあり、そこで以前、ピエタと一緒に酒を飲んだ。勝手に酒を持ちだして飲みたいという強い誘惑に駆られたが、罪悪感のほうが上まわった。親友だったいとこの妻に手を出してしまったのだ。ピエタの酒を勝手に飲んだりして、これ以上罪を重ねるわけにはいかない。
 マッテオは妊娠検査キットの説明書に前もって目を通していた。三分ほどで判定結果が出るはずだった。
 腕時計に目をやる。ナターシャが二階へ上がってから、すでに十分は経過していた。
 数秒が何分にも、数分が何時間にも感じられた。別のことで気をまぎらそうと、いとこが選んだ家具に目を向けてみた。室内の装飾にナターシャの好みが反映されている様子は見受けられない。
 彼女はかつて、インテリアデザイナーを目指していたはずだが。十八時間におよぶ病院での勤務を終えて帰宅したあと、彼女と電話で話していたときに、そんな夢を打ち明けられたのを覚えている。
 十歳のころに、兄としての務めを怠ったせいで弟ロベルトの人生をめちゃくちゃにしてしまったとき、これほど後悔することはもう二度とないだろうと思った。しかしマッテオは、ナターシャと過ちを犯したことを、あのときに負けないほど深く後悔していた。ナターシャに対しても、不快な感情がわいていた。とんでもない女性だ。彼女はピエタの妻だった。それなのにあろうことか、夫を埋葬した数時間後にぼくの腕のなかに飛びこんできた。だからぼくも……。
 いや、とんでもないのはぼくのほうだ。こちらから誘いかけたようなものなのだから。
 あの夜の記憶を消し去りたかったが、一瞬一瞬がしっかりと胸に焼きついている。翌朝には、彼女のなかに初めてわが身を沈めたときの生々しい感覚とともに目覚め、なんとなく違和感を覚えたことを思いだしたほどだ。しかも、そのことがずっと頭に引っかかっていて、日増しに強まっている。
 マッテオはうなじをさすり、記憶など当てになるものか、と胸のうちでつぶやいた。
 だいたいナターシャが処女であるはずがない。何しろ、彼女は結婚していたうえに、夫と子づくりに励んでいたはずなのだ。
 さらに五分ほど経ったころ、ようやく人の動く気配がした。
 部屋の出入り口にナターシャが現れた。
 彼女の顔をひと目見た瞬間に検査の結果がわかった。
「何かの間違いだと思う」ナターシャはドア枠につかまり、かすれた声で言った。「もう一度検査してみるわ」
 冷ややかなグリーンの目が見つめ返してくる。しばらくしてようやく彼が口を開いた。
「その検査キットは、市販品のなかでいちばん正確な結果が出るものだ。それが陽性を示しているということは、つまりきみは妊娠している。残された唯一の問題は、父親は誰か、ということだ」
 ナターシャは気を失いそうになり、床にへたりこんで膝を抱えた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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