マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

誰も知らない結婚【ハーレクイン文庫版】

誰も知らない結婚【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 リン・グレアム(Lynne Graham)
 北アイルランド出身。七月三十日生まれの獅子座。十代のころからロマンス小説の熱心な読者で、初めて自分でロマンス小説を書いたのは十五歳のとき。大学で法律を学ぶと同時に、十四歳のときからの恋人と卒業後に結婚。この結婚生活は一度破綻したが、数年後、同じ男性と恋に落ちて再婚するという経歴の持ち主。イギリス郊外に家と五エーカーの森林を持ち、そこで現在、スリランカとグアテマラからの養子を含めた五人の子供を育てている。時間のあるときは大好きな庭仕事に励み、得意のイタリア料理に腕をふるう。小説を書くときのアイデアは、自分自身の想像力とこれまでの経験から得ることがほとんどで、彼女自身、今でも自家用機に乗った億万長者にさらわれることを夢見ていると話す。ロマンス映画も大好きだが、ハッピーエンドでないものは好きではないという。

解説

ロエルが交通事故に遭って、私に会いたがっている……?そう告げられて、ヒラリーは戸惑いを隠せなかった。ある事情から、大富豪ロエルと入籍はしたものの、4年前から一度も会っていない。私は誰も知らない妻なのだ。ヒラリーが病室に駆けつけると、ロエルは記憶を失っていた。当然のように私を妻だと思い込み――夜には求めてくるだろう。ロエルは知る由もなかったが、ヒラリーは彼を愛していた。だから、罪の意識にかられながらも言い出しかねていた。自分が男性経験すらない、みせかけの妻だということを。
*本書は、ハーレクイン・プレゼンツ作家シリーズから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 ヒラリーの喉もとあたりから上に向かって血がのぼり、髪の付け根まで鮮やかな罪の色に染まった。
 男としての興味がわく? ヒラリーはシートの上で身じろぎした。多くの親密な時間を分かち合った女性? ロエルがそう考えるのは自然だ。わたしがふつうの妻ではないことに思いがいくわけがない。四年前に交わした取り決めはきわめて異例なものだったのだから。
「奇抜な考えね」ヒラリーはぎこちなく応じ、狼狽を顔に出すまいとした。
「きみは子供みたいに赤くなるんだな」ロエルは愉快そうに指摘した。
「あなたに対してだけよ!」卵も焼けそうなほど顔が熱くなっているのが我ながら腹立たしく、ヒラリーは鋭く言い返した。十代のころは、赤面する癖を学校でよくからかわれたものだ。幸い、大人になってこの苦しみから解放されたが、ロエルの前では癖がぶり返すらしい。
「ぼくらは結婚して長くはないはずだ」ヒラリーを腕に抱き寄せるうちに声が荒々しく、いっそう物憂げになっていく。
「やめて!」ヒラリーは唐突に叫んだ。
 ロエルの浅黒くハンサムな顔に笑みがよぎる。人形みたいに小さくても、彼女は相当な指図好きらしい、と彼は改めて思った。「心配しなくていい……妻にキスしたからといって、病院に戻る羽目にはならない」
「どうしてわかるの?」ヒラリーはどぎまぎしながら問いつめ、ロエルからいくらか顔を遠ざけた。もっとも、彼女の本能は、彼に身を投げだして楽しめるうちに楽しめばいい、とけしかけていた。「キスはよくないと思うわ……まだ――」
「|問題ないさ《ノン・チエ・プロブレーマ》」心配そうな表情を浮かべる妻を、ロエルはいつもの彼らしくからかった。ヒラリーがセックスは体に毒だと恐れているのがなんとも愉快に思われた。「むしろ、ぼくのためになると思ってくれ。失われた記憶が目覚めるかもしれないじゃないか、|ぼくの美しい人《ベラ・ミア》」
「ロエル……」
 口ではあらがいつつも、期待は急速に高まっていく。やめさせたくない。やめさせる気力もない。かつては拒まれたものを味わってみたくて、ヒラリーはうずうずしていた。広く官能的な唇が彼女の唇に軽くこすれた瞬間、体じゅうの感じやすい部分がひとつにつながって熱くとろけ、炎と化した。狂おしい興奮に、胸が大きく波打つ。
 もっと唇が触れ合うよう、ロエルは長い指をヒラリーの髪の中に滑りこませ、彼女の頭を後ろに傾けた。ヒラリーも彼のたくましい腕の中で身を反らし、思いつく限りの方法でキスを促していた。それに応えるかのように、ロエルは彼女の唇を奪い、むさぼった。たちまちヒラリーの体は苦痛を感じるくらいに息づき、血が全身を駆け巡って、神経の端々が震えた。体の芯に禁断の熱がまつわりつく。彼女は自分の欲望にあらがえず、喉の奥でうめいた。
 ロエルは自制しようと荒い息を吸いこみ、彼女を放した。瞳の金色の輝きを漆黒のまつげで覆い、無表情につぶやく。「家に着いたよ」
 情熱がはじけるという不慣れな体験にヒラリーは息を切らし、呆然としていた。うつむいて自分を取り戻そうとするものの、今まで意識もしなかった体の奥深くの秘めた部分には失望のうずきがあった。夢中になりすぎたのだ。あのままいけば、リムジンの後部座席で愛し合っていたかもしれない。おそらくロエルもそれを見越していただろう。彼を促した自分が恥ずかしく、二度と顔を合わせたくない気分だった。アイドルに身を任せる欲求不満の追っかけファンとなんら変わらない。いったいなんのつもりなの? 彼はわたしを信じて受け入れた。その信頼に応え、ふさわしい距離を保たなくてはいけない。ヒラリーはそう自分に言い聞かせた。
 運転手がドアを開けてくれたので、ヒラリーは這うようにして車を降りた。周囲をよく見たのはそのときだった。
 これがロエルの家なの? 高い壁に遮られた広大な石造りの屋敷にロエルは住んでいるらしい。中年の執事が、堂々として玄関の横に控えている。広いホールは古代の彫像や金箔を施した調度品で飾られ、床は大理石だ。あまりの豪華さに怖じ気づき、ヒラリーはよろめいた。
「|なんてことだ《サント・チエーロ》……」
 ロエルの荒々しい声に、ヒラリーははっとそのほうを向いた。彼は顔をしかめ、立派な大理石の暖炉を見つめている。何かに驚いているのだ。前とは違う何か、少なくとも予想しなかったものに。記憶にない変化にまごつくのは当然だ。それが自分の家で起こったことなら、なおさらだろう。
 執事のいぶかしげな視線に気づき、ヒラリーはロエルのもとに急いだ。打ち解けたしぐさで彼の腕を取り、爪先立って耳もとにささやく。「二階に行きましょう……」
 なぜ、祖父愛蔵の絵画のひとつが、都会に住む孫の家にかかっているのか。そのことを考えているときに、女らしいささやき声で誘われ、ロエルは血の通った男がはるか昔から示してきたのと同じ反応をした。絵の謎も一瞬忘れ、小柄な妻をすくいあげて激しいキスをしたいという、驚くべき欲求がこみあげる。ぼくはいつも妻のそばではそんなふうにふるまっていたのだろうか? わからないという事実を、ロエルは愕然として認めた。
「思い出したことがあるの……先に行ってて」


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。