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汚れなき乙女の犠牲【ハーレクイン文庫版】

汚れなき乙女の犠牲【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

イタリアの悪魔との偶然の再会に、ベスは血の気が引いた。この無慈悲な弁護士ダンテのせいで無実の罪を着せられて、まだ10代だったベスは、奈落の底へと突き落とされたのだ。冷たいほどに端整な、その憎い美貌を再び見ることになるとは。だが、彼女を忘れているらしいダンテに情熱的に迫られて、しだいに拒みきれなくなり、ついにベスは一夜を明かしてしまう。忌まわしい、あの過去の呪縛から逃れたいと願っていたのに――しかも2週間を過ぎて、突然ダンテが現れ、詰め寄ってきたのだ。「答えてくれ、妊娠したのか、していないのか」
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「やあ、ベス。それともジェーンかな?」
「私の正式な名前はベス・レイゼンビーよ」
「今はそうかもしれない。だが、被告席に立っていた十九歳のときの君はそうじゃなかった」
「ようやく私が誰かに気づいたのね。たいしたものだわ」ベスは皮肉っぽく言った。ここで否定してもしかたがない。つまり彼は以前、どこで私と会ったかを思い出したのよね? それなのに、よくもこの玄関に立てたものだわ。
「正確にはちょっと違うな。調査員を雇って調べたおかげで、やっと記憶がよみがえったんだよ」
「残念だけど、それはお金の無駄だったわね。私は休暇で出かけるところなの。でも、ずいぶん長いこと猫を追いまわしていたおかげで、すっかり遅くなってしまったわ。悪いけれど、帰ってもらえるかしら?」ベスはノブをつかみ、ダンテの鼻先でドアをぴしゃりと閉めようとした。
「そう早くは帰れない」ダンテはドアの隙間に片足を入れた。「君に話があるんだ」
「あら、ついてないわね。だって私にはなにも言うことがないもの」ベスは向きを変え、かろうじて癇癪を抑えながらキャリーバッグを取りに行った。
 しかし、ダンテ・カンナヴァーロのせいで失った時間と味わった苦痛を思い出すと、今さら失うものはなにもないという気になり、くるりと向き直った。
「一つだけあったわ。私を調べるなんて、よくもそんなずうずうしいまねができたものね。それでも弁護士? あなたに出会ってしまうなんて、なんて運が悪いのかしら。あなたほど傲慢で、ずる賢くて、ごまかし上手で、嘘つきの最低男はほかにいないもの。わかった? じゃあ、もう帰って」
 ダンテは花崗岩の彫刻のような顔に険しい表情を浮かべ、怒りの言葉を吐くベスを見つめていたが、ふいに動いて長い腕を彼女の腰にまわした。大きな手を広げて背中にあて、もう一方の手を頭の後ろにやって、ベスの体を自分の方に引き寄せる。そして顔を近づけ、激しく唇を重ねた。ショックと怒りからベスが必死に身を引こうとしても、ダンテの両手にしっかりとらえられていて動けない。抵抗を試みても、相手の力はあまりに強すぎた。そのうえ恥ずかしいことに、襲われていたのは激しい嫌悪感ではなかった。全身を駆けめぐる浮きたつような感覚の波にのまれ、その中でもがいていた。
 ベスは死にもの狂いでダンテを押しやろうとした。しかし硬い胸板にぴったり抱き寄せられていては、広い肩に爪を立てるのが精いっぱいで、その間も刺激的なキスが危険な感覚をかきたてる。それでもなおあらがおうとしたが、ダンテはベスの口を深くさぐり、体の奥底に熱い興奮の炎をともした。ふと気がつけば、ベスはいつしか爪を立てるのをやめ、彼にしがみついていた。
 こんなことはありえない! 私はこの男を憎んでいるのに。ベスは激しく抵抗し、その反動で二人の体が壁にぶつかると、ダンテによってそこに押しつけられた。男らしい熱い香りが鼻をくすぐり、たくましい筋肉の力強さを感じる。はっきりと高ぶっている体は、彼女自身の体と驚くほど親密に触れ合っていた。ベスにとって、こんな経験をするのは生まれて初めてだった。
 頭を上げたダンテの顔を見て、思わず息をのんだ。魅惑的な黒い目がじっとこちらを見つめている。それから長い指が布地の下にすべりこみ、張りつめた彼女の胸の先に軽く触れた。体が反射的に弓なりにそり返り、ベスは喉の奥からもれそうになるうめき声を必死にこらえなければならなかった。
「君は自分を抑えられない。僕が欲しいんだ」
「違う。私はあなたを憎んでいるのよ」
 ダンテの顔がふいに冷たくよそよそしくなった。彼は体をまっすぐ起こし、ベスをさらに引き寄せた。「だったら、さっさと憎め。だが、君は運がいいと思うんだな。キスだけですんだんだから。さっき君が言ったことを男が口にしたなら、そいつは今ごろ床の上で伸びている。僕の人格を中傷するようなことは誰にも言わせない。とくに、君のような前科者には絶対に。わかったか?」
 すっかり動揺したベスは、押し寄せる興奮を必死にこらえながらダンテの言葉を聞いていた。おかげで、冷たいシャワーを浴びるよりも目が覚めた。まったく、いかにもこの傲慢な悪魔が言いそうなことじゃない? ベスは苦々しげにかぶりを振った。
「さてと、じゃあ、本題に入ろう」ダンテはベスから手を離し、一歩後ろに下がって……キャリーバッグにつまずいた。その足元からビンキーがさっと飛び出す。ダンテは必死に猫をよけようとしたが、結局は失敗し、床に倒れこんだ。
 ベスは笑った。これこそまさに悪行の報いというものだ。あのハンサムな顔に浮かぶあぜんとした表情には、はかりしれない価値があった。
「力のある人ってこんなふうに倒れるものなのね」ベスはあざけり、怒り狂った彼が立ちあがるのを無視して、ビンキーを抱きあげた。「ほらほら、ビンキー」そう言って居間に入り、愛猫をやさしく抱きしめる。「わかっているわ。意地悪な男があなたを蹴ったのね。でも大丈夫、もういなくなるから」
 ダンテは体をまっすぐ起こした。今なにが起こったのか、よくわからない。獰猛な獣のようにキスをしていたかと思ったら、次の瞬間には床に倒れているとは! 舌の上にはまだ彼女の味が残っている。ベスでもジェーンでもどちらでもいいが、ここにいる女性は官能的にも身体的にもダンテを打ちまかしていた。こんなことは人生で初めてだ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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