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偽りのダイヤモンド【ハーレクイン文庫版】

偽りのダイヤモンド【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・ケンドリック(Sharon Kendrick)
 ウエストロンドン生まれ。写真家、看護師、オーストラリアの砂漠での救急車の運転手、改装した二階建てバスで料理をしながらのヨーロッパ巡りなど、多くの職業を経験する。それでも、作家がこれまでで最高の職業だと語る。医師の夫をモデルにすることもある小説のヒーロー作りの合間に、料理や読書、観劇、アメリカのウエストコースト・ミュージック、娘や息子との会話を楽しんでいる。

解説

恋人に弄ばれ、捨てられた、垢抜けない娘ナターシャ。路頭に迷っていた彼女を、大富豪ラファエルは気まぐれに拾い、4年前に、住み込みの家政婦として雇ったのだ。ある日、失恋から彼の妹が心を病み、入院したことで、世間を騒がすことを恐れたラファエルは、ふと妙案を思いつく。自分が電撃的に婚約を発表してマスコミの注意を引こう。妹が快復したら、解消すればいい――と。そんな便利な婚約者として、ナターシャに白羽の矢を立てた。彼女がひそかにラファエルを愛しているとは思いもせずに。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 望みさえすれば別の女性に変身できるという発見に、ナターシャは心底驚いていた。それがどんな女性なのかは、彼女自身にもまだわからなかったけれど。
 堂々たる屋敷にタクシーを横づけすると、運転手がクラクションを鳴らしながら笑った。「中にだれかいますか? クレーンでもなければそれだけの荷物は運べませんよ」
 ラファエルが玄関に現れ、黙ったままナターシャをじっと見おろして目を細めた。それから階段を駆けおりてきた。
 ラファエルがタクシー代を払い、ナターシャからショッピングバッグを受け取る。ナターシャは突然、彼の筋肉質の体から発せられる熱と、レモンと白檀のローションの香りを強く意識した。さっき感じたはずの自信が、射すくめるような黒い瞳の前で消え去っていく。なにか言ってほしい。ナターシャは心の中で祈った。
 タクシーが去ったあと、二人は舗道の上で、初めて出会った者同士のように見つめ合った。
 ラファエルの視線が、ナターシャの美しくカットされた髪から、カシミヤのワンピースをまとった体へと下りていく。革のベルトが腰に巻かれ、革のブーツがほっそりとした脚を途中まで隠している。ラファエルは、突然こみあげてきた激しい欲望にうろたえた。
「サムはどこにいますか?」ナターシャは震える声で尋ねた。
 ラファエルは視線をナターシャの脚から顔へ移した。目は見違えるほど大きくなり、唇はまるで薔薇の花びらのようだ。「中にいる。一緒にDVDを見ていたんだが、さっき眠ってしまった。サッカーで疲れたらしい。今日は忙しかったようだ」一瞬の間のあと、彼は危険なほど穏やかに続けた。「君も疲れただろう、カーラ、その姿からすると」
 ナターシャの心臓はとまりそうになった。彼は気に入らなかったらしい。黒い瞳が鋭く光り、責めるような低い声になったのはそのせいだろう。
「お気に召さなかったのでしょうか?」
「そんなことは言っていない」
「でも、ほめてもくださらなかったわ」
 ラファエルはキスをするときのように口をすぼめた。「|これは驚いた《マードレ・デイ・デイオ》! 女性がこうも変わるものだとは! つつましかったナターシャが、そんな偉そうな口をきくようになるとはな!」からかうような口調だ。
「ひどいわ、ラファエル」
「そうかな? そんなに魅惑的に装っておいて、見るだけで触れてはいけないというほうがもっとひどい話じゃないか?」
「そんなことは言ってません」
「そうなのか?」ラファエルの瞳孔が猫のように広がった。「それはうれしい話だ、|僕のかわいい人《ミア・ベツラ》」ラファエルはショッピングバッグを地面に下ろすと、ナターシャを抱き寄せた。ナターシャの体は宙に浮き、たくましい体にぴったりと寄り添った。ラファエルの指がナターシャの美しくカットした髪をまさぐり、そのまま顔を引き寄せる。
「ラファエル!」
「なんだい、ミア・ベッラ? キスしてほしいのか? そうなのかい?」
 ナターシャはノーと言おうとしたが、言葉が出てこなかった。それに、ノーと言ったら嘘になってしまう。ラファエルはそれを知っていたかのように、ナターシャの唇に唇を強く押しつけた。まるで自分の権利を主張するような力強く情熱的なキスだった。
 長い間キスをしていなかったせいか、それとも相手がラファエルだったからか、ナターシャは思わず熱く応えていた。
 ラファエルにどんな意図があったにせよ、ナターシャは目を閉じ、唇を開いて、その甘く激しいキスを受け入れるしかなかった。両手を彼の肩にのせ、じらすような舌の動きに酔いながら。自分の気持ちをどうにも抑えられない。ラファエルにそれがわかっただろうか? 小さくもらした声だけで十分な証になっただろうか?
 ラファエルとのキスはナターシャにとって、ずっと心に秘めてきた禁断の夢だった。思いもかけないときにわきあがって胸を締めつける夢。ラファエルが朝出かける前に硬い笑みを浮かべるのを目にしたとき。海外出張から帰ってきた彼を迎えて、うれしさを抑えきれないとき。そしてときには、シャワーのあとの輝く黒髪を見ながら、ほとばしる湯を浴びるオリーブ色の体を想像するとき。
 でも、このキスは夢ではない。夢よりもはるかにすばらしい本物のキスだ。ナターシャはあえぎ、膝からくずおれそうになるのを感じて、ラファエルの肩にしっかりとすがりついた。
 ナターシャの無言の服従を感じ取ったラファエルは、あまりの意外さに、強い刺激を覚えていた。頭が混乱してくる。今キスしているのはナターシャなのだ。指先に触れるなめらかな体の曲線、欲望を駆りたてるような熱いキス。このまま続けていたら、ナターシャと僕は約束した以上の関係に進んでしまうに違いない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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