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復讐はニューヨークで

復讐はニューヨークで

著: ジュディス・マクウィリアムズ 翻訳: すなみ翔
発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:630円(税込)
10ポイント還元
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対応端末:パソコン ソニー“Reader”
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著者プロフィール

 ジュディス・マクウィリアムズ(Judith McWilliams)
 気がつくと、読んでいたロマンス小説を自分好みに書き直していた彼女。それを知った夫の助言で、自ら執筆を始め、現在に至る。夫とともにアメリカじゅうを旅する機会が多く、その体験が彼女に大きな影響を与えているという。庭いじりや家族の世話をしていないときには、最大の楽しみである執筆に励む。元教師で、四人の子どもがいる。

解説

 マギーはプログラミングの腕を生かし、ひそかに復讐計画を立てた。彼女が勤める会社を買収したジョン・リチャード・ワージントンが、社長のサムをいきなり解雇したからだ。社員たちに慕われ、会社の売り上げも飛躍的に伸ばしたサムを理由もなく追い出すなんて! 怒ったマギーはジョンに仕返しをしようと、ある作戦を思いついた。彼を誘惑して夢中にさせたあげく、いきなり捨てる……。そうすればサムの気持ちが少しはわかるというものだ。ジョン好みの女性の情報を生かしてうまく恋の罠にかけるために、マギーはパソコンに向かい、秘密のプログラムを作りだした。

抄録

 ビール瓶を勢いよく傾けながら、リチャードはふと気づいた。ビールが嫌いなら、なぜ冷蔵庫にこれがあったのだろう? だれかのために買っておいたのか? ぼくのためでないのは確かだ。昨日までお互いまったく知らなかったのだから。マギーは黒ビールの好きな男とつき合っているのか? 彼女がほかのだれかの腕に抱かれている姿を想像して、ビール瓶を握る指に力が入った。
 だがマギーはつき合っている男はいないと言っていたし、だれかいるならぼくとデートはしないだろう。もっとも、彼女がムーアの件にかかわっていて、ぼくがどこまで知っているか探ろうとしているなら別だが。
 いや、そんなはずはない。最初のデートに誘ったとき、マギーはぼくの正体を知らなかったのだから。そう気づいて、リチャードはほっとした。
 マギーは顔を上げ、彼の探るような目つきを見て不安になった。何を考えているのかしら? これまでつき合った女性と比較して、気に入らないと思っている? 彼の好みは自信にあふれたやり手の女性だ。だとしたら、精いっぱいそういう女性を演じなければ、彼を魅了することはできない。でも、わたしが自信を持てることといったら、仕事だけ。
 自信に輝いている女性ってどんなふうに振る舞うのかしら? 恋の駆け引きをして、からかう? 自分に自信のある女性ならそれもいいだろうけれど、わたしがそんなことをしたら手に負えないことになりそうだ。
「わたしはソーダにするわ」マギーはキッチンに逃げ込もうとした。「ほかに何かいるものは?」
「いや、大丈夫だ」リチャードが答えた。
 彼のことで頭がいっぱいで、マギーはハイヒールをはいていることを忘れていた。そのため、ソファに座った彼の横を通ろうとして大きな足につまずき、倒れそうになった。
「危ない!」リチャードがとっさに手首をつかんで引き寄せ、マギーはそのまま彼の膝の上に座り込んでしまった。彼の肩にじっと顔をうずめたまま、マギーはヒップの下に彼の太腿のたくましさを、肩に押しつけられている彼の胸のぬくもりを感じていた。
 息を吸い込むと、さわやかな男らしいにおいが胸を満たす。これまでかいだことのないその香りは、不思議なほど誘惑に満ちていた。
 まぶたがふうっと落ちてきて、マギーは無意識に彼にもたれかかった。だが、腰のあたりに彼の体の変化を感じて凍りついた。彼もわたしと同じように何かを感じている!
 彼に及ぼす自分の力を意識して、マギーはうっとりとした目で彼を見上げた。リチャードの高い頬骨のあたりが赤みを帯び、グレーの瞳がきらめいている。マギーはその瞳が近づいてくるのを魅せられたように見つめていた。
 二人がどんなに近づいていたか気づいたのは、彼が荒々しく唇を重ねたときだった。その瞬間、マギーはもう何も考えられなくなり、彼の熱い唇をもっと感じようと、抱き寄せられるままに彼にしがみついただけだった。耳の奥で高鳴る鼓動が大きく響き、彼から離れるようにという理性の声をかき消した。
 そのキスはまるで、マギーの体に足りなかったものをリチャードが注ぎ込んでいるようだった。あらゆる感覚を生き生きと目覚めさせ、これまで欠けていたことにさえ気づかなかった何かを。
 本能的にマギーはリチャードの肩をつかんで引き寄せた。彼の舌に唇をなぞられ、マギーはかすかに口を開いた。その間から彼の舌が滑り込み、押し寄せてくる興奮にとまどって、うめき声がもれる。
 不思議なことに自分のその声が、からみつくセクシーなくもの巣から彼女を引き戻した。マギーははっと身を起こして、あわてて彼の膝から立ち上がり、すっかりわれを忘れていたことに呆然《ぼうぜん》とした。復讐《ふくしゅう》計画など、どこかに吹き飛んでいた。彼の腕の中で、一瞬マギーは自分の知らない女になった。それがなんとも怖かった。自制心を失えば、無防備になってしまう。リチャード・ワージントンのような人のそばで無防備になれば……。
 それだけは、どんなことがあっても犯してはいけない過ちだ。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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