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快楽のモルモット 上

快楽のモルモット 上


発行: キリック
シリーズ: 快楽のモルモット
価格:300pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆4
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著者プロフィール

 梅津 裕一(うめつ ゆういち)
 『妄想代理人』(原作/今敏)『闇魔術師ネフィリス』『アザゼルの鎖』(すべて角川書店・刊)など、著書多数。ダークファンタジーな世界観で読者を魅了する。

解説

『そのコントローラーには「人間の行動を操作する機能」があります』
 そんなこと出来るわけないだろう? 今回の「治験」に参加した7人の男女は、みなそう思った。治験者の一人、真弓がコントローラーのボタンを押すまでは……。
 治験──それは開発途中の薬品のテストのことで、応募者は副作用などのリスクと引き換えに、高額の謝礼がもらえるという一種のアルバイトだ。しかし、会場が南の島などという治験などあるのだろうか? 全員の額には不気味な逆三角形のプレートがはりつけられていた。そして、人数ぶん用意されている謎の箱……。信じられないことに、主催者のオニオン製薬が言っていたことは本当だった。真弓がボタンを押した瞬間、それまで地味でおとなしかった鈴が狂ったように笑い、いきなり水着に着替えて泳ぎはじめたのだ!
 人間の行動をコントロールするなど人道に反している。だが、一位になったら賞金一億円。治験でなにを競うかはわからない。だが、それは人が道徳や理性を失うのに十分な金額だった。
 しだいに、疑心暗鬼を膨らましていく治験者達。もう誰も信じられない。そのとき、治験者の一人で元教師の斯波が突然キレた。一見、人のいいオバチャンふうのむつみがボタンを押したのだ。むつみはうっかり押したと言っていたが、本当にそうなのか。聞けば、押したのは「4」と「赤」。むつみは危険な女なのかもしれない。だが、優等生タイプの二郎が口にしたのは別のことだった。
「ノルアドレナリン……。だとすれば、さっきの鈴の行動は……ドーパミンか!」
 それらは、脳内で分泌される神経伝達物質の名前だった。ドーパミンは覚せい剤にも似た効果があるため、脳内麻薬といわれることもある。そう、治験者達に与えられたコントローラーは、いわば「脳内麻薬分泌装置」だったのだ。これがあれば、ほかの治験者を意のままに操れる……。嘘と欺瞞に満ちたサバイバルはすでにはじまっている。果たして、孤島に集められた七人の治験者たちの運命は?

 人の心の内に潜む劣情や狂気を、「快楽」をキーワードに鮮烈に描く! 奇才・梅津裕一が放つノンストップ・サバイバルホラー!

抄録

「ちょっと、真弓ちゃん」
 わざと恐い顔をつくって、むつみは言った。
「なんてこと言うの……そんな、男の人達が私達、女同士で殺し合いをさせるとか……そんなことが……」
「だって、そう考えたほうがつじつまがあうじゃないですか!」
 真弓の思考そのものが、赤いボタンのおかげですでに攻撃的になっているのだが、本人はどこまで気づいているだろうか。
「海のなかって、結構、危ないところでしょう?だから、やつらはもし『事故』が起きてもそれは『事故ですむ』って思ったんですよ。ねえ、鈴さんもそう思うでしょう?」
 普段は冷静だったはずの鈴の目にも、明らかな怒りの色が浮かんでいた。
「ありうる、と思います。ひどく陰険なやり口だけど……」
「でも、なんで」
 むつみは狼狽したような声をあげた。
「なんで、みんなで食料集めたりしなくちゃいけないのに……だって、これから協力していかなくちゃ……」
「一億円です!」
 真弓がヒステリックに絶叫した。
「やつらは一億円が欲しいんです!そのためになら人が死んでもいいとか考えていてもおかしくはない!」
 たしかにその通りだ、とむつみは思った。
 一億円のためなら、残り全員が死んでもむつみは別段、かまいはしない。
「でも……人の命がかかってるのよ。そりゃ、一億円は大金だけど……」
「甘いんですよ、むつみさん!」
 水着姿の真弓が怒声を放つさまは、まるで怒りの女神のような凄みがあった。
「世の中にはそういうやつらがごろごろいるんですよ!むつみさんみたいないい人ばかりじゃないんです!」
 完全にこれで、真弓を「支配できた」とむつみは思った。
 正直に言って、さきほど真弓を「助けに行った」ときは、自分まで溺れるのではないかと恐ろしかった。だが、危険な賭けに、勝った。やはり天は自分のような善人を助けてくれるものなのだ。
「ああ……もうっ信じられない!ありえないこんなこと!」
 岩場に真弓の甲高い声が響き渡った。
「だけど男の人達に……こんなことする人、いるかしら」
 むつみの問いに、真弓が答えた。
「一人、心当たりがあります」
 鈴もうなずいた。
「同じ事を考えていた。男達が全員、ボタンを押すとは限らないけど……『あいつ』ならやりかねない。あいつは、『一位になるためのヒント』も知っている」
いい感じだ、とむつみは思った。うまい具合に誘導が出来ている。
「あいつって?誰なの?」
 むつみの問いに、真弓と鈴が口をそろえて断言した。
「三沢」
「三沢」
 それは、三沢大和のことに間違いない。
 完璧だ。ここまで簡単に相手の思考を誘導すると、なんだか少しこの若い子達は脳味噌が足りないのではないかとも思うが……いや、あるいは本当にそうなのかもしれない。
「三沢君が?なんで?」
「あいつは、逆恨みをしている」
 鈴がなにを思ったか、手にしたサバイバルナイフを凝視した。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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