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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

秘書の秘密の宝物

秘書の秘密の宝物


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャサリン・マン(Catherine Mann)
 大学では演劇を学び、卒業後は小さな町の新聞社で働いたり、教職に就いて演劇学校の校長をつとめたりした。その後、昔からの夢だったロマンス小説の執筆に取りかかる。RITA賞受賞作家となった今は、空軍パイロットである夫の転属に伴って四人の子供たちとビーグル犬、虎猫を引き連れてアメリカ国内を転々とするうちに、さまざまな経験をし、それを作品の構想に役立てている。

解説

嵐の夜、秘めてきた想いに身を任せた。それが人生を大きく変えるとも知らずに……。

ポーシャはため息をつき、おなかに手をあてた。激しい風雨に見舞われた夜に、情熱を抑えきれず彼と体を重ねた。職場のボス――黒い髪、青い瞳のゴージャスな大富豪、イーストンと。そして……子どもを授かった。2年前に雇われた日から密かに彼に憧れ、想いをつのらせていた。でも、わたしはただの秘書で外見も地味、相手になどされないと、あきらめていたのだった。勇気を出して妊娠を打ち明けようとした矢先、ふとした会話で彼の真意を知ってしまう。「子どもを持つつもりはない」やはりわたしたちに未来はないの?ポーシャは傷ついて……。

■ハーレクイン・ディザイアはおかげさまで1800号記念を迎えることができました。記念作は、RITA賞受賞歴を誇るUSAトゥデイのベストセラー作家キャサリン・マンが綴る、秘書とボスの恋物語。D−1786『人魚姫の偽りの結婚』の関連作です。

抄録

 ポーシャ・ソト。世界一有能で几帳面な秘書。暴風雨が吹き荒れる晩、情熱の一夜をともに過ごして初めてイーストンは思い知った。きっちりとまとめた髪をおろした彼女がどれほど奔放で大胆になれるかを。
 だが翌日、彼女は栗色の長い髪をいつもどおりにきつく結んでいた。いや、いつも以上にきつく。
 イーストンの仕事は秘書なしにはやっていけない。ルーデス野生動物保護センターは野生動物の保護研究機関として世界的にその名を知られつつあり、イーストンはそこで研究部門の責任者をしている。世界に認められる業績を成し遂げるには、秘書の存在が不可欠だ。しかしイーストンは女性としてのポーシャを求めてもいた。どうすればその両方を手に入れられるのか、方法がわからなかった。
 動物の心理が理解できるように、人間の心理も理解できたらいいのに。世界各地を旅してまわる裕福な両親のもとで育ったイーストンは、行く先々でさまざまな動物と出合った。そして注意深く観察するうちに、言語を介さずに交わされる動物の会話を理解できるようになった。しかし物質的には満たされていたものの、両親と兄以外の人々との付き合い方を学ぶ機会はなかった。友人ができても、一家はまたすぐ荷造りをしてべつの土地へ向かうのだった。
 ようやく楽に首が動かせるようになったイーストンは、姿勢を変えてポーシャの様子をうかがった。小鹿を思わせる茶色の瞳は一心不乱に前方の道路を見つめている。集中力が高くまじめな性格で、奥深くに存在する大胆で奔放な部分は外側からはうかがえない。お堅い印象にもかかわらず、彼の家族が中心になって運営する野生動物保護センターにしっくりとなじんでいる。
 イーストンは野生動物専門の獣医兼研究者としてその優秀な技術を活かし、兄のザンダーが組織の運営および資金面を取りしきっている。
 そして当然のことながら、動物保護の活動には資金集めや政治的な駆け引きが欠かせない。兄のザンダーによれば、ポーシャの冷静な判断力はそういう面でも大いに役立っているそうだ。そのおかげで、タキシード着用が求められる堅苦しい催しにイーストンが顔を出すのは、わずか数カ月に一度ですんでいる。
 ほとんどの時間は現場での動物保護や研究にあてているが、それも有能なポーシャがいてくれるからこそだ。だから現地での活動にもできるだけ彼女の同行を求めていた。
 秘書として、ポーシャは非の打ちどころがない。きちんとした性格で、仕事熱心で、イーストンのような自由奔放な精神の持ち主にとってはなくてはならない人材だ。しかし彼はポーシャを女性としても求めていた。そのせいで、彼女との仕事はますます厄介なものになりつつある。
 ポーシャがここで働きはじめた日から、イーストンはその姿に目を奪われたが、そのたびに仕事に注意を戻した。だが今は、薄紅色の唇や、考えごとをするときにポニーテールをもてあそぶ癖が気になってならない。あの晩のことを、彼は頭のなかで何度もくり返し再現した。理想の世界であれば、両方を手に入れることも可能だろう。有能な秘書とセクシーな恋人の両方を。しかしポーシャは二度とベッドをともにする気はないと、これ以上ないほどはっきりした形で伝えてきた。翌朝、短いメールでその旨を伝え、それ以後は仕事以外のメッセージをすべて無視している。
 あとにも先にも一度だけの情事。あの晩のことを思い起こすと、心臓がびくんと跳ねた。考えまいと思っても、熱い記憶がいやおうもなく胸に迫ってくる。
 意識を現在に引きもどして、硬い笑みを浮かべるポーシャの横顔を盗み見た。帰りの車内では口数が少なかったが、沈黙を埋める必要を感じたのか、彼女は唐突に口を開いて彼の思考を断ち切った。「それで、先生のお見立ては? この鳥は羽が折れたのかしら」
 他人行儀な呼びかけにイーストンはとまどった。「おそらくそうだろう。レントゲンを撮ってみないと確実なことは言えないが」
「ええ。助けてあげられてよかった」個人的な感情の入る余地のない事務的な口調だった。
 ポーシャは診療所の私道にトラックを乗り入れてエンジンを切った。彼のほうを向いたその顔には、不安の色が宿っていた。木から落ちた自分のことを、それほど案じてくれているのだろうか、とイーストンはいぶかった。
 そのなめらかな素肌に触れ、なだらかなカーブをなぞりたくて指がうずうずする。記憶にあるより胸は豊かだ。ほかにも何か誤って記憶している部分があるのだろうか。ふたりの距離が縮まり、電流のような火花が散った。
 彼女の瞳が揺らめき、そこにも火花が散るのをイーストンの目はとらえた。あの嵐の晩に見たものと同じだ。
 その小さな火花を燃え盛る炎に変えたい。
 唇が重なった。前回のように性急に求めるのでなくゆっくりと堪能できるように、イーストンは自分を抑えた。また逃げられたら困る。それにしても、なんと美味な唇だろう。そしてこのえも言われぬ感触。イーストンは両手でそっと顔を包んだ。
 夢のような一瞬、ポーシャはキスを返してきた。ところが次の瞬間、風向きが変化した。すばやく離れた彼女は、異様なほど青白い顔をしていた。
 そして車のドアをあけて走り去った。呆然とするイーストンをひとり残して、全速力で駆けだしていた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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