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赤毛のアデレイド ベティ・ニールズ選集 19【ハーレクイン・イマージュ版】

赤毛のアデレイド ベティ・ニールズ選集 19【ハーレクイン・イマージュ版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュベティ・ニールズ選集
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ベティ・ニールズ(Betty Neels)
 イギリス南西部のデボン州で子供時代と青春時代を過ごした後、看護師および助産師としての教育を受けた。戦争中に従軍看護師として働いていたとき、オランダ人の男性と知り合って結婚。以後十四年間、夫の故郷オランダに住み、ベティは看護師、夫は病院事務と、ともに病院で働いた。イギリスに戻って看護師の仕事を退いた後、よいロマンス小説がないことを嘆く女性の声を地元の図書館で耳にし、自ら執筆を決意した。1969年、「赤毛のアデレイド」を発表して作家活動に入る。穏やかで静かなロマンス、その優しい作風が多くのファンを魅了した。2001年6月、惜しまれつつ永遠の眠りについた。彼女が生みだした作品は百三十以上にも及んでいる。好きな映画は『逢いびき』(英1945年)、尊敬する人物はウィンストン・チャーチルだったという。

解説

いつしかこの心を占めていたのは、あなたの優しい声と、笑顔でした。

イギリスとオランダの病院間で人事交流が行われることになり、赤毛が印象的な小児科の看護師、アデレイドが推薦される。オランダから候補者を視察しに来たファン・エッセン教授も、彼女の献身的な働きぶりを見て、ぜひ来てほしいと声をかけてくれた。無口だけれど、魅力的な声で完璧な英語を話す彼……。長身で、笑うと得も言われぬすてきな表情になるハンサムな人……。アデレイドは気づけば教授のことを考えてしまう自分を戒めつつ、彼の役に立って喜んでもらいたい一心で、オランダ行きを承諾した。ところがそこには、金髪に青い目のみごとな美貌をそなえた、教授の“恋人”を自任する上流階級の令嬢が待っていた!

■世界中の読者のみならず、数多くの作家たちから愛されるベティ・ニールズ。『赤毛のアデレイド』はそんな彼女の記念すべき処女作です。2007年に惜しくもこの世を去った友人のアン・ウィールが生前に本作へ寄せた賛辞も掲載されていますので、お見逃しなく!
*本書は、ハーレクイン・イマージュから既に配信されている作品と同内容となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 教授が大まじめな顔で、“|はい《ヤー》”と“|いいえ《ネーン》”を言えるかとアデレイドに尋ねたので、みんな大笑いをした。アデレイドもすっかり気が楽になった。教授は彼女の様子を見て取って、仕事開始の潮時だと白衣を着た。彼の合図でウィルスマ看護師が最初の小さな患者を連れて来て、一日の仕事が始まった。
 診療時間は五時までだ。時間になると、医師たちは仕事を終えた。教授はその日の仕事に満足していた。アデレイドはなかなかよくやった。教授は白衣を脱ぎながら、彼女の仕事ぶりをほめた。アデレイドは明るい声で二人の医師におやすみなさいを言った。ベークマン医師はまっすぐ家へ、教授は個人的に抱える患者の往診へと出て行った。
 アデレイドはちょっとの間、教授のことを考えていた。教授はとてもいい人だ。一年間、毎日一緒に働けると思うと、うれしかった。片付けを済ませた彼女は、夜勤の看護師が来るまで勤務についている主任看護師におやすみなさいを言ってオフィスに戻った。今夜は非番だから、書類を調べて理解しておこうと思ったのだ。今日は一日中、どの書類が必要なのか、何度も教えてもらわなくてはならなかった。医師たちがよく我慢してくれたものだ。もう二度と、あんな手間はかけさせまい。アデレイドは椅子に腰を下ろすと、辞書とノートを取り出し、仕事にかかった。予想以上に大変だ。一つ一つ、全部の単語を辞書で引かなくてはならない。オランダ語の動詞は文の真ん中でなく文末にあるなんて、まったく知らなかった。一時間かかって、どうやらどの書類がどの用途のものか、区別がつけられるようになった。だが、せっかくノートに書いた言葉をどう読んだらいいのか、さっぱり分からなかった。イギリスで誰かが言っていたが、オランダ語では文字を全部発音すればいいらしい。ただ、その人は、オランダ語のアルファベットは英語のアルファベットと発音がちがうことを、アデレイドに教えてくれなかった。そこで、彼女は一つ一つの文字を丁寧に発音する練習を繰り返した。その発音が間違っていて骨折り損になるとも知らず。
 彼女の発音練習を聞きつけたのは、小児病棟の重症患者を診に立ち寄った教授だった。オフィスのドアから明かりが漏れているのを見て、誰がいるのか、のぞいて見る気になった。アデレイドが顔を上げると、驚いたような教授と目が合った。彼女は“|専門医の義務《ヘネースクンデイツヘ・デイーンスト》”を発音しようと苦心さんたんしていた。
「それは難しい発音だよ」教授はドアを閉めた。そしてコートを脱ぎ、椅子を引き寄せると、アデレイドに椅子に座るように手で示した。「きみの発音は正確じゃないようだね。この書類が何かってことは分かっているのかい?」机の上の書類を手で示しながら、穏やかな口調で尋ねる。
「はい、教授。全部書き取りましたから、明日ミスター・デ・ウィットのオランダ語のレッスンのとき、読み方を教わります」
 教授はパイプを取り出した。「吸っていいかな?」
 アデレイドはびっくりした顔でうなずいた。
「今、発音を習ったほうが我々みんなのためになると思うが、ピーターズ看護師」
 アデレイドは本やノートをまとめて立ち上がろうとしていたが、教授の手に引き止められた。彼女は抗議するように、いくらか堅苦しい口調で言った。「こんなことで教授のお時間を取っては申し訳ありませんわ」教授のような振る舞いをする医長や部長に会ったことがなかったので、アデレイドはどうしていいか分からなかった。教授はアデレイドの言葉が耳に入らなかったかのように平然と電話に手を伸ばすと、交換手に自宅を呼び出すよう頼んだ。トウェードレが電話に出ると、教授は時計を見た。マルフリートのことを忘れていたのだ。
「トウェードレかい? フルーレ・カイゼルに電話して、ぼくが遅くなるからと伝えてくれないか? コンサートが終わったら、迎えに行って家まで送ると」
 トウェードレの満足そうな吐息に、教授はにやりとした。トウェードレがマルフリートのことをどう思っているかはちゃんと知っていた。教授を見守っていたアデレイドは、なぜ笑ったのだろうかと思った。そして、教授の晩をむだにさせるわけにはいかないと、もう一度繰り返した。
「どっちにしろ、行きたくなかったんだ。バッハのコンサートだから、ぼくはきっと眠ってしまうよ」
 アデレイドは笑った。
 教授はてきぱきと尋ねた。「夕食は何時? 八時だね? よし、それじゃ四十五分あるな。書類を一つずつ見ていこう」
 教授は厳しかった。容赦なく発音を直してアデレイドを赤面させ、口ごもらせた。だが、予定した時間の終わりには、アデレイドは医学用語をなんとか正しく発音できるようになった。本をまとめながら、彼女は教授に礼を言った。
「どうぞ楽しい晩をお過ごしください」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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