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六人目の花嫁【ハーレクイン・セレクト版】

六人目の花嫁【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 エマ・ダーシー(Emma Darcy)
 フランス語と英語の教師を経て、結婚後、コンピューター・プログラマーに転職。ものを作り出すことへの欲求は、油絵や陶芸、建築デザイン、自宅のインテリアを整えることに向けられた。人と接するのが好きで、人と人とのつながりに興味を持っていた彼女は、やがてロマンス小説の世界に楽しみを見いだし、登場人物それぞれに独自の性格を与えることに意欲を燃やすようになった。旅を楽しみ、その経験は作品の中に生かされている。現在はオーストラリアのニューサウスウェールズにあるカントリーハウスに住む。

解説

親友の結婚式でブライズメイドを務めたタミーは、パートナーとして組んだ花婿の付添人フレッチャーに魅了された。彼は天才的頭脳で事業を成功に導き、巨万の富を築いた億万長者。だが、親友が言うには、傲慢なプレイボーイだという。実際、タミーに向けられた彼のまなざしはとても情熱的だった。けれど、彼が求めているのが一夜限りの関係なのは明らか――その唇から愛の告白や約束の言葉がこぼれることはきっとない。わかっていたはずなのに、タミーは彼を拒めなかった。めくるめく一夜に大富豪フレッチャーの子を身ごもり、愛のない結婚に閉じ込められることになるとは思いもせずに。

■HQロマンスの大人気作家エマ・ダーシーが6人の親友たちの結婚を描いた一連の作品の中で、特に人気の高かった一作です。タミーが身ごもった相手は、孤高の天才。愛を知らない男性に心を奪われたヒロインの、切ない胸の内が描かれます。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 激励の声を受けてタミーはフレッチャーのもとに戻った。顔が紅潮しているのは、明日はこの国を去る男性に熱い思いを抱いていることを友人たちに知られてしまったからでもあり、思いきって行動する瞬間が近づいているせいで胸が高鳴っているからでもあった。
 ミュージカル『ウエストサイド・ストーリー』の一曲≪トゥナイト≫が耳の奥で響いていた。フレッチャーに近づいていくタミーの目には、ほかの客の姿は誰一人映っていなかった。
 今夜はあなたしかいない。
 目が合ったとたん、タミーは立ち尽くし、フレッチャーは彼女に向けてまっすぐに歩いてきた。タミーは足に根が生えたように動けず、魅入られたように、圧倒されたように、ただ彼を見ていた。彼は私をここから連れ去り、思いどおりにするんだわ。
 体の芯が震え、足や手から力が抜ける。全身が彼の意志に屈したように思えるけれど、私は自分で決断したのではなかった?
 そうよ。これは私の意思だわ。
「花嫁に挨拶してきたかい?」フレッチャーはタミーの手を取り、無言で促すように強く握った。
「ええ。これで帰れるわ」これからの行動が自分の選択だということを確認するように彼女は言う。
 フレッチャーはうれしげに瞳を輝かせて、タミーを包みこむような微笑を浮かべた。少なくともタミーにはそう思えた。「なら行こうか」
 つないだ手から彼のエネルギーが伝わってくる。外の冷たい空気に顔が洗われると気持ちが新たになり、タミーは急に激しい喜びを感じた。≪トゥナイト≫の一節がまた耳元で聞こえる。このまま星と月の下で踊りだし、いっぱいに両手を広げて波止場の明かりを胸に抱えこみたかった。心を解放し、人生のつまらない悩みを忘れてしまいたい。
 そんな自分を、もう一人のタミーが笑った。賢くて分別があるはずのタミー・ヘインズは今、理性をかなぐり捨てて、自ら定めた人生のレールから大きくはずれようとしている、と。
「何がおかしいんだい?」フレッチャーがタミーの目をのぞきこんだ。タミーが自分の理解できない状況にあるのが気に入らないらしい。
「自分のことが」彼女は彼に笑いかける。「原始の血が騒ぐの。今にも月に向かって遠吠えしそうよ」
 フレッチャーはほっとしたように笑った。「月の光は人を狂わせるというからね」彼は瞳に危険な光を宿し、狼を思わせる笑みを浮かべた。「僕もなんとなく原始人になったような気分だ」
 狼に襲われそうになっている赤ずきんの姿がタミーの脳裏をよぎる。「まあ、おばあさんの耳はどうしてそんなに大きいの?」からかうようにタミーは言った。「それにその大きな歯!」
「これはね、おまえを食べるためなんだよ」
 彼の返事を聞いてタミーはくすくす笑ったが、ホテルに着けば、彼はまさにそうするつもりなのだ。
 ふとタミーはあることを思いだした。「フレッチャー、私、何も準備してないわ。ピルも……」
「そのことなら心配いらない。でも君が正直な女性でうれしいよ。だまそうとする女性もいるからね」
 タミーはそれを聞いて心配になった。彼は今まで何人の女性と関係を持ったのだろうか。私はその中の一人にすぎないのだろうか。今夜彼と過ごせば、それもわかるだろう。
「どの車?」
「いちばん馬力があるのが僕の車だ」導かれた先には銀色のポルシェがあった。
「いくら急いでもスピード違反はだめよ」
「だったら」車のドアを開けようとしていたフレッチャーが手を止め、タミーを抱きしめてきた。「いっそここで」
 彼女の心臓が動きを一瞬止める。「そんなにおなかがすいているの?」
「ぺこぺこだよ」
 返事はキスで消されてしまった。飢えているのはタミーも同じだった。激しくキスを返した彼女は、フレッチャーの首に腕をまわし、髪に指を差し入れて彼の顔を引き寄せ、さらに熱いキスを求めた。
 息が詰まるほど抱きしめられ、痛いほど胸が彼の胸板に押しつけられる。彼が自分を求める印がはっきりと体に伝わってきた。
「タマリン、今移動しなかったら……」
「ええ」
 彼は息を弾ませているタミーを押しこめるように助手席に座らせ、車に乗りこんでエンジンをかけた。闇を切り裂いて月よりはるかに明るいヘッドライトが進路を照らす。その先にベッドがあると思うと、タミーはめまいさえ覚えた。
 彼の片手が伸びてきてタミーの手を強く握った。「これほど強く女性を求めたのは初めてだよ」フレッチャーが笑いかける。
 その言葉がタミーを力づけた。
 でも今夜が過ぎたらどうなるだろう。
 この手はいつまで彼の手の中にあるのだろうか。私は今夜だけではいや。でも彼は……彼は、どうなのだろう。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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