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深紅の刻印

深紅の刻印


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

全米絶賛〈Hidden Legacy〉シリーズ、いよいよ最終話。危険な愛が疾走する、怒濤のクライマックス!

小さな探偵事務所を営みながら家族を養うネバダ。巨万の富の持ち主で、世界がひれ伏す権力者マッド・ローガンとついに愛を確かめ合うが、甘い日々は刹那だった。ある日ローガンの元婚約者である女性が事務所を訪れ、行方不明の夫捜しをネバダに依頼する。持ち前の正義感が嫉妬心を上まわり、ネバダは引き受けるが、何かとローガンを頼ろうとする依頼人の態度には、かすかにざわつく心を持てあましていた。二人の愛は揺るぎないはず……。だが新たな事件はより大きな陰謀へと姿を変え、ローガンとネバダに襲いかかろうとしていた。

抄録

 車まで歩く間、ローガンとわたしは無言だった。日は沈み、底知れないテキサスの空が頭上に広がっている。車に乗り込むとローガンは駐車場を出た。
 窓の外に流れる夜の街を眺めながら、わたしは何度もさっきの出来事を頭の中で繰り返した。申請手続き、古い記録簿に美しく書き込まれたわたしの名前、祖母の鋭い目つき、天井を這う生きた暗闇……まるで他人の身に起きたことのようで、現実とは思えなかった。
 わたしはローガンを見やった。二人の間には妙なよそよそしさがあった。同じ車内にいるのにローガンはわたしが見知らぬ他人であるかのように殻に閉じこもっている。
「あの人から電話があったの?」ようやくわたしは口を開いた。
「伝言が残してあった」
 続きを待ったが、ローガンはそれ以上何も言わなかった。「どんな内容?」
「きみをトレメイン一族のもとに連れてくれば、おれのものにしていい、と」
「すてきね。わたしが素直に従うと思ったのかしら」
「妹や親を人質に取られたら従うだろう」その声はさりげなかった。
 コナーは姿を消し、マッド・ローガンが現れた。冷たく、計算高く、必要とあれば残酷にもなる男。
「スクロール社って?」
「三大データベースの一つだ。きみとカタリーナが姉妹であると証明するために、記録係にDNAサンプルを提出しなければならない。そのときにデータベースを選ぶんだ」
「配偶者候補を抽出するためのマッチングに使うの?」
「基本的にはそうだ。父親の確定のために使うこともある」
 ローガンとの間の溝は深くなるばかりだ。彼はまだ子どもやマッチングのことを考えている。わたしに別れる口実を与えようとしているのだろうか?
「止めて」
 車が路肩に止まった。わたしはシートベルトをはずし、身を乗り出してローガンにキスをした。その唇は炎のようだ。反応はなかったけれど、彼を味わいたくて舌先で唇をたどり、キスを強めた。
 ローガンがシートベルトをはずした。わたしのうなじをつかみ、唇をむさぼる。ローガンの魔力がまわりを取り巻き、わたしの魔力と混じる。わたしは、欲望と力に燃え、人を惹きつけて放さない彼の味わいに満たされた。ローガンが舌を我が物顔で動かし、指をわたしの髪にからめて引き寄せる。そのキスにはどこかすごみがあり、ドラゴンの炎を味わった者は二度ともとには戻れないという警告を感じさせた。そう思うと、服を脱いで裸でローガンの上になりたくなった。
 魔力が燃えるはちみつのようにうなじを滑り、肌に快楽の跡を残していく。わたしは唇を重ねたままあえいだ。
「おれのものだ」ローガンの声は荒々しかった。「手放すつもりはない」
「誤解が解けてよかった」
「わかってるな、ネバダ? おれは背を向けない。背を向けることができると思ってたが、できないし、したくないんだ」
 わたしは指先でローガンの頬を撫でた。「あなたが背を向けるのを黙って許すと思った?」
 ローガンに引き寄せられ、わたしは彼の膝の上にのった。首に唇が触れる。魔力が背筋を撫で、燃え上がらせる。腿の間に、そして中に彼を感じたい……。
 背後で青と赤のライトが光った。
 ローガンがうめく。
 警官が懐中電灯を持って歩いてきた。
 わたしは助手席に戻り、顔に手をあてた。
 ローガンがウインドウを下ろした。「何か?」
「車の故障ですか、ミスター・ローガン?」
「いや」うなるような声だ。
「それならどかせてください。暗いし、後続車にとって危険です」
 驚きだ。ヒューストンで唯一、メキシコの虐殺王を恐れない警官にあたってしまったらしい。
「ミズ・ベイラー、ジョーダン検事がよろしくとのことです」
 ジョーダン検事。
「道路の安全のために車を動かしてください」警官は一歩下がった。立ち去る気配はない。
 ローガンがウインドウを閉め、それぞれシートベルトを締めると、車は道に戻った。
 ハリス郡地方検事レノーラ・ジョーダンは高校生のときのわたしのヒーローだ。高潔で不撓不屈で、犯罪、とりわけ有力一族の犯罪に対する最後の砦だ。数年前、子どもへの性的虐待の罪を認めようとしない“超一流”の電光使いに向かって裁判所の階段を下りていく姿をテレビ番組で見たのが最初だった。男の目の前で立ち止まると、レノーラは何もないところから鎖を取り出してカメラの放列の目の前で男を縛り上げ、法廷へと引っ張っていった。
 その彼女と会えるなんて思ってもいなかった。イメージどおりの姿を目の前にして、わたしは体が震える思いを味わった。ローガンでさえレノーラの前では飢えた虎に対するような敬意を見せる。
「これはレノーラなりの励まし? 認定の申請を知ってるって伝えたいのかしら?」
「そうだ。今夜はうちに泊まってくれ」
「無理よ。いろいろなことがあったから家族といたいの。きっとみんなききたいことがあるはずだわ」
「待つよ」
「いつになるかわからない」
「待てる」
 ローガンといっしょに行けるなら何を犠牲にしてもいいと思った。寝室に連れていかれ、服を脱がされ、何も考えられなくなるまで愛される。そして彼のたくましい腕の中で眠りに落ち、朝、目覚めたらまた愛し合う。そう思うと胸が苦しくなった。「ローガン……」
「ネバダ」彼の唇からその名を聞くと、まるで愛撫されているかに感じる。


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