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侯爵様の無自覚な求婚〜強引に愛されすぎて困ってます!〜

侯爵様の無自覚な求婚〜強引に愛されすぎて困ってます!〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

君の肌はまるで果物みたいに甘いね
人嫌いなはずの侯爵が寄せる刺激的な執着愛

王都の付き合いを嫌い領地へやってきた侯爵ニコラスの話し相手となったアンジェラ。彼はアンジェラに求婚すると、唇や胸もとに口づけ官能的な痕を残す。さらにスカートの中やその奥に触れてきて……。甘美な口づけや身体の芯が疼くような愛撫に蕩かされ、アンジェラはニコラスに心から惹かれるようになるが、彼はいずれ王都に戻るはずの人で……!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「かわいい」
 顔を寄せ、チュッとこめかみに口づけられて、アンジェラは男性の腕の中で飛び上がった。
「な、なにを……!」
「どうしたの? 僕の子猫ちゃん」
 見知らぬ男性に口づけられたというのに、瞳の中をのぞき込むように見つめられ、なにも考えられなくなってしまう。
 ふしだらなことをされたのだから怒っていいはずなのに、なぜか彼にはそういう気持ちにはならないのだ。だからといって、その行為を許しているという態度をするわけにはいかない。
 他の人はこんなときどんな態度をするのだろう。考え込むアンジェラの耳に、クスリという小さな笑い声が忍び込んできた。
 男性はクルクルと表情を変えて考え込むアンジェラの様子を面白がっているらしい。
「……」
 恥ずかしさに表情を引き締めると、男性は柔らかな口調で尋ねた。
「それで? 君はどこの子猫なのかな?」
「あ……」
 考えてみれば自分は侵入者で、このままでは騒ぎになってしまう。アンジェラは慌てて男性の胸から身体を起こした。
「ご、ごめんなさい! 決して怪しい者じゃないんです!」
 男性は「うん」と軽く頷いて続きを促すけれど、アンジェラを自分の上から降ろすつもりはないらしく、相変わらず背中にはがっちりと腕が回されている。逃げ出さないかと警戒されているのだろう。
「私は……ハーメルス男爵家の娘でアンジェラと申します。今は兄が爵位を継いでおりますので、男爵の妹ということになりますが」
「ああ、そういえば男爵は三年ほど前に亡くなられたそうだね。あのときは王都にいたので葬儀には伺えなくてお悔やみだけ送らせていただいたんだ」
「まあ。ありがとうございます」
 アンジェラは素直にお礼を口にしてから、この男性が誰なのかを知らないことに気付く。
 両親にお悔やみを送ってくれたということは、侯爵家の誰かなのだろう。年齢は三十歳前後に見えるけれど、社交界のことに疎いアンジェラは侯爵家の家族構成がわからず、彼が誰なのかわからなかった。
「それで、男爵家のご令嬢がどうしてこんなところから遊びに来てくれたのかな?」
「あの……弟たちを追いかけて……」
 ためらいながら弟たちのことを口にする。勝手な思い込みかもしれないが、彼は優しそうだし、もし弟たちが捕まったとしても取りなしてくれそうな気がしたのだ。
「弟さんたちは見当たらないようだけど、そもそもどうして弟さんたちはこの屋敷に遊びに来てくれたんだい?」
「それが……ここの侯爵様が吸血鬼だという噂があって、弟たちはそれを探しに」
 優しい声音につられてつい口にしたけれど、男性が美しい眉尻を少し上げたことに気付き慌てて口を噤んだ。
「す、すみません! あの、子どもたちの戯れ言で私は信じてないんですけど、侯爵様が聞かれたら気を悪くされますよね。お願いします。黙っておいてくださいませんか」
 必死で懇願するアンジェラの姿に、男性は楽しげに目尻を下げた。
「それは大変だ。じゃあ君は吸血鬼に捕まったことになるよ」
「……え?」
 アンジェラは目を見開き、それからまじまじと自分を抱きしめる男性の姿を見直した。
 どうしてこんな簡単なことに気付かなかったのだろう。
 使用人が身に着けないような上等なシルクのシャツに手入れの行き届いた黒髪。それになにより領地の子どもたちが侯爵が来ていると言っていたのだから、彼が本人なのだと少し考えればわかるはずだ。
 両親にお悔やみを送ってくれたのも、当主だからこそだと思い当たるべきだった。
「もうしわけございません。侯爵様だとは知らず、ご無礼をいたしました」
 アンジェラは自分が侯爵の上に乗っていることも忘れて頭を下げる。それから不躾だと思いつつも好奇心に負けてもう一度男性の姿を見つめた。
 どうやらアンジェラの告白や礼儀をわきまえない言葉に腹を立ててはいないようだ。それに侯爵にはもうしわけないけれど、この男性にしておくのにはもったいないほど美しい容姿は、垣間見た人たちが吸血鬼だと誤解してしまっても仕方がない気がした。
「でも……侯爵様が吸血鬼という噂が嘘で安心しました」
 アンジェラは侯爵に向かって心から安堵した顔で微笑んだ。
「どうして僕が吸血鬼じゃないとわかるんだい?」
「だって吸血鬼は日光に弱いのでしょう? 侯爵様はこうしてバルコニーにいらっしゃるけれどなんともないもの。そうでなくても吸血鬼は若い娘の生き血を啜るというではないですか。もし侯爵様が本物の吸血鬼だったら私の命など、とっくに消えてしまっているはずです」
 本物の侯爵に会ったと言ったら子どもたちはどんな反応をするだろう。そのときのみんなの顔を想像して、小さく笑いを漏らすアンジェラを見て、なぜか侯爵はほんの少し目を見張り、それからゆっくりと相好を崩した。
「なるほど。君は賢いお嬢さんのようだ。理論的に話ができる女性は珍しい」
「理論的?」
「ああ。僕が知っている女性は自分の言いたいことを一方的に言うだけで、それに理論や法則などない。ただ思ったことを口にするばかりだが、君は違う」
「そう、でしょうか」
 甘やかに揺れる眼差しと、優美な輪郭を作る唇に、アンジェラはうっとりと見惚れてしまう。
 なんて美しい人なのだろう。吸血鬼ではないかもしれないが、実は森の妖精や天使なのではないだろうか。

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