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熱く奪って
著: ヴィッキー・L・トンプソン 翻訳: 渡辺千穂子発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・スポットライト・プラス
価格:630円(税込)
10ポイント還元
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著者プロフィール
ヴィッキー・L・トンプソン(Vicki Lewis Thompson)
子供のころから自室のクローゼットにこもって詩や物語を書いていたという、天性のストーリーテラー。アリゾナ大学卒業後、最初は英語教師に、次はジャーナリストになったが、満足できなかった。夫の励ましを受けて、ついにロマンス小説家へと転身。以来活躍を続け、黄金の羽根ペン賞をはじめとする数々の賞を受賞。RITA賞にもたびたびノミネートされている。今ではNYタイムズのベストセラーリストの常連。夫ラリーと、夫婦で気ままに出かける旅が大きな楽しみだという。自然豊かなアリゾナ州で暮らしている。
子供のころから自室のクローゼットにこもって詩や物語を書いていたという、天性のストーリーテラー。アリゾナ大学卒業後、最初は英語教師に、次はジャーナリストになったが、満足できなかった。夫の励ましを受けて、ついにロマンス小説家へと転身。以来活躍を続け、黄金の羽根ペン賞をはじめとする数々の賞を受賞。RITA賞にもたびたびノミネートされている。今ではNYタイムズのベストセラーリストの常連。夫ラリーと、夫婦で気ままに出かける旅が大きな楽しみだという。自然豊かなアリゾナ州で暮らしている。
解説
エリカは地元の人気ミニコミ紙『ダラス通信』を発行している。彼女の書くレストラン評は店の集客に大きな影響を及ぼし、悩み相談欄宛には、彼女の機知に富んだ回答を求めて、読者からのメールがひっきりなしに送られてくる。仕事はすべて順調。しかし、エリカの心は満たされなかった。そんなとき、一人の男が彼女を訪ねてきた。ダスティン・ラムジー――高校時代の同級生であり、エリカの初めての相手だ。十年間音信不通だったのに、今さらなんの用? 不審に思うエリカに、ダスティンは言った。「ビジネス契約を結びたい。だがその前にまず、服を脱いでくれ」
★テキサスを舞台に繰り広げられる、大人の男女のホットな恋の駆け引きをお楽しみください。★
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抄録
よし、なかなかいい切り出し方だぞ。自分で思っているよりも、交渉術にたけているのかもしれない。週刊誌であることは、彼女がこの構想に夢中になってから話そうとダスティンは考えていた。ジェニファーの報告によれば、エリカは『ダラス・モーニングニュース』で働いていたらしい。大手の日刊紙にいたあとで、週刊誌ではさほど乗り気にならないかもしれないのだ。
エリカは見るからに当惑して眉根を寄せた。「あなたが何を言いたいのかわからないわ」
「きみの出しているものは成功している。フランチャイズを考えてもいいと思うんだ」
「ああ、そう」エリカは首を振った。「ミニコミ誌に本腰を入れているわけじゃないのよ。大手日刊紙への道が開けるのを待つ間、やっているだけなの」
このすばらしいミニコミ誌の仕事が時間つぶしだとは信じられなくて、ダスティンは彼女をまじまじと見つめた。「だけど、誰もが『ダラス通信』の話をしているじゃないか。きみは誌面で、埋もれたあらゆる声を熱く価値あるものにしているんだ」
エリカは肩をすくめて、クッキーを一つつまんだ。「たしかに面白いわ。でも……」
「もしほかの市にまで広げないなら、限界が来る。記者のサラリーであくせく働くことと比べてみてくれ」
エリカの目がきらりと光った。「まるでわたしがお金のことを気にしているみたいね。ほかと違うことがしたいし、書きたい記事がなくて『モーニングニュース』をやめたのよ。どこかでいい仕事が見つかるまでの間を、ミニコミ誌で乗り切っているの。でも、これが社会を救済するほどのものだとはよもや思っていないわ。少なくとも七十パーセントは再生紙を使うことで、良心は救われているけどね」
「救済なら大いにしているよ」ダスティンは思わず言った。
「どんな?」エリカは整った白い歯でクッキーをかんだ。
「たとえば……今は独り者には生きづらい世の中だ。長いことセックスにごぶさたな女たちとか、異性の服を着る趣味のクロスドレッサーとか、まるでジャングルだ。人々は生き方の指針を求めている」
エリカはクッキーのかけらを吸ってのみこんだ。「わたしはもっと大きな問題を扱いたいの」
ラムジー・エンタープライズを救うことなど、彼女には大きな問題ではないのだろうとダスティンは感じた。「じゃあ、ぼくの提案には興味がないんだね」
「興味をそそられることは認めなくちゃね。でも、やる価値のある仕事が来たらすぐに一切をやめるというのに、話しても意味がないわ」
興味をそそられる、か。それならなんとかなる。たぶんまだ最後のロングパスに失敗したわけじゃない。ボールはまだ空中にあるかも。「いい仕事の口でもあるのかい?」
エリカはため息をついた。「いいえ。経済がまだ不安定だから、みんな今の仕事を続けているわ。当てはほとんどないの」
「それなら、どうしてフランチャイズの話を検討しないんだ?」
「もし今の仕事を拡大したなら、簡単にやめることができなくなるでしょう」
「きみがやめると予想できる以上、後任者を用意するよ」それは口で言うほど容易ではない。ダスティンが読んだ『ダラス通信』は、いたるところエリカ色に染まっている。
「どうして、この件にそんなに熱心なの?」
さあ、答えにくい質問が来たぞ。「きみのしていることは都会独特のもので、ユニークだからだよ」ダスティンはそんな言葉がどこから出てくるのか自分でもわからなかったが、いかにもプロらしく聞こえた。困難な状況に対処できる才能のおかげで、今までどんな事態も切り抜けてこられた。この才能は大学でも発揮され、今回も役に立つかもしれない。
だが性欲となると、ダスティンができるのはせいぜい向かいの椅子に長い脚を組んで座っているエリカを一瞥することだけで、よだれが出そうになっていた。口を満たすものがひどく欲しくて、クッキーを一つ取ってかんだ。悪くない。うまいと言っていい。だが、いちじくは彼にいちじくの葉を思い出させた。そしていちじくの葉で前を隠した裸の体を。
「どういった拡大計画なの?」
「きみができると思うことならなんでも」
エリカはクッキーをもぐもぐかんだ。「まずフォートワースに広げるのが順序でしょうね。それからヒューストンとか」
「ヒューストンはいいな。たぶんサンアントニオも」ダスティンはエリカがクッキーを食べるのを見つめ、下唇についたくずをなめて、唇が赤く光るのを見守った。
「拡大したいとは言っていないわ。でも、そのことを少し考えてみるのは構わないけれど」
「好きなだけたっぷり考えてくれ」よし、最後のロングパスはまだ空中にあるぞ。
「今日ミッドランドに戻るの?」
「どうしてもってわけじゃない」ダスティンは、エリカのささやかなミニコミ誌がラムジー・エンタープライズの運命を左右することを言うつもりはなかった。言えば、彼女をおびえさせるだけだ。
「ダラスでほかの仕事は?」
きみの件だけさ。「別にない。実際二、三日休みを取ろうと思っている」ダスティンはブリーフケースを取って開けると、封筒を取り出した。「暇なときに目を通してもらうように、この提案の詳細を記してある。すぐ返事してくれなくていい。二年ほどダラスには来ていないんだ。きみに一日かそこら考える時間をあげて、その間に観光でもするよ」
*この続きは製品版でお楽しみください。
エリカは見るからに当惑して眉根を寄せた。「あなたが何を言いたいのかわからないわ」
「きみの出しているものは成功している。フランチャイズを考えてもいいと思うんだ」
「ああ、そう」エリカは首を振った。「ミニコミ誌に本腰を入れているわけじゃないのよ。大手日刊紙への道が開けるのを待つ間、やっているだけなの」
このすばらしいミニコミ誌の仕事が時間つぶしだとは信じられなくて、ダスティンは彼女をまじまじと見つめた。「だけど、誰もが『ダラス通信』の話をしているじゃないか。きみは誌面で、埋もれたあらゆる声を熱く価値あるものにしているんだ」
エリカは肩をすくめて、クッキーを一つつまんだ。「たしかに面白いわ。でも……」
「もしほかの市にまで広げないなら、限界が来る。記者のサラリーであくせく働くことと比べてみてくれ」
エリカの目がきらりと光った。「まるでわたしがお金のことを気にしているみたいね。ほかと違うことがしたいし、書きたい記事がなくて『モーニングニュース』をやめたのよ。どこかでいい仕事が見つかるまでの間を、ミニコミ誌で乗り切っているの。でも、これが社会を救済するほどのものだとはよもや思っていないわ。少なくとも七十パーセントは再生紙を使うことで、良心は救われているけどね」
「救済なら大いにしているよ」ダスティンは思わず言った。
「どんな?」エリカは整った白い歯でクッキーをかんだ。
「たとえば……今は独り者には生きづらい世の中だ。長いことセックスにごぶさたな女たちとか、異性の服を着る趣味のクロスドレッサーとか、まるでジャングルだ。人々は生き方の指針を求めている」
エリカはクッキーのかけらを吸ってのみこんだ。「わたしはもっと大きな問題を扱いたいの」
ラムジー・エンタープライズを救うことなど、彼女には大きな問題ではないのだろうとダスティンは感じた。「じゃあ、ぼくの提案には興味がないんだね」
「興味をそそられることは認めなくちゃね。でも、やる価値のある仕事が来たらすぐに一切をやめるというのに、話しても意味がないわ」
興味をそそられる、か。それならなんとかなる。たぶんまだ最後のロングパスに失敗したわけじゃない。ボールはまだ空中にあるかも。「いい仕事の口でもあるのかい?」
エリカはため息をついた。「いいえ。経済がまだ不安定だから、みんな今の仕事を続けているわ。当てはほとんどないの」
「それなら、どうしてフランチャイズの話を検討しないんだ?」
「もし今の仕事を拡大したなら、簡単にやめることができなくなるでしょう」
「きみがやめると予想できる以上、後任者を用意するよ」それは口で言うほど容易ではない。ダスティンが読んだ『ダラス通信』は、いたるところエリカ色に染まっている。
「どうして、この件にそんなに熱心なの?」
さあ、答えにくい質問が来たぞ。「きみのしていることは都会独特のもので、ユニークだからだよ」ダスティンはそんな言葉がどこから出てくるのか自分でもわからなかったが、いかにもプロらしく聞こえた。困難な状況に対処できる才能のおかげで、今までどんな事態も切り抜けてこられた。この才能は大学でも発揮され、今回も役に立つかもしれない。
だが性欲となると、ダスティンができるのはせいぜい向かいの椅子に長い脚を組んで座っているエリカを一瞥することだけで、よだれが出そうになっていた。口を満たすものがひどく欲しくて、クッキーを一つ取ってかんだ。悪くない。うまいと言っていい。だが、いちじくは彼にいちじくの葉を思い出させた。そしていちじくの葉で前を隠した裸の体を。
「どういった拡大計画なの?」
「きみができると思うことならなんでも」
エリカはクッキーをもぐもぐかんだ。「まずフォートワースに広げるのが順序でしょうね。それからヒューストンとか」
「ヒューストンはいいな。たぶんサンアントニオも」ダスティンはエリカがクッキーを食べるのを見つめ、下唇についたくずをなめて、唇が赤く光るのを見守った。
「拡大したいとは言っていないわ。でも、そのことを少し考えてみるのは構わないけれど」
「好きなだけたっぷり考えてくれ」よし、最後のロングパスはまだ空中にあるぞ。
「今日ミッドランドに戻るの?」
「どうしてもってわけじゃない」ダスティンは、エリカのささやかなミニコミ誌がラムジー・エンタープライズの運命を左右することを言うつもりはなかった。言えば、彼女をおびえさせるだけだ。
「ダラスでほかの仕事は?」
きみの件だけさ。「別にない。実際二、三日休みを取ろうと思っている」ダスティンはブリーフケースを取って開けると、封筒を取り出した。「暇なときに目を通してもらうように、この提案の詳細を記してある。すぐ返事してくれなくていい。二年ほどダラスには来ていないんだ。きみに一日かそこら考える時間をあげて、その間に観光でもするよ」
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本の情報
紙書籍初版: 2008/3/20
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