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愛を忘れた億万長者

愛を忘れた億万長者


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャンテル・ショー(Chantelle Shaw)
 イギリスの作家。ロンドン育ちで、頭の中でおはなしを作るのが大好きな少女だった。二十歳で結婚、第一子の誕生とともにケント州の海辺に移り、現在に至っている。浜を散歩しながら小説の構想を練るという。趣味はガーデニングやハイキング。六人の子供の母親でもある。

解説

悪名高い放蕩者の億万長者──なのになぜこれほど心惹かれるの?

美女と戯れることしか頭にないプレイボーイ──そう噂に聞く億万長者ジャレクを担当することになり、臨床心理士のホリーは困惑していた。案の定、彼は理由をつけては面談をキャンセルし、好き放題に振る舞っていた。だがある日、ジャレクのせいでホリーは雪崩に巻きこまれ、山小屋で一夜を明かしたのを境に、彼と心の距離を近づける。ジャレクを夜ごと苦しめている悪夢から救ってあげたい。そして失われた5歳以前の記憶を取り戻すことができたら……。そんなとき、ホリーは彼の出自について驚くべき情報を耳にする。

■『スペインから来た悪魔』に続く、人気作家シャンテル・ショーの感動作!放蕩者の仮面の下に隠された、億万長者の素顔を愛してしまったホリー。彼女にもまた一歩踏みだせない理由があって……。

抄録

「ミスター・ソーンダーソン?」背中しか見えないが、ホリーは彼だと確信した。男性がヘルメットを取ると、黒革のジャケットの襟にかかる長さの金髪が現れた。タブロイド紙で何度も見た濃淡のあるブロンド。「フリーデン・クリニックは禁煙よ。規則はパンフレットに載っています」
 彼は革のジャケットに覆われた肩を平然とすくめた。「パンフレットは読んでいない」
 ホリーは彼の指からたばこを叩き落としたい衝動をこらえ、辛辣に言った。「それは残念ね。もし読んでいたら、このクリニックでは総合的な観点からニコチン中毒に取り組んでいて、禁煙の手助けをし、目覚ましい成功率をあげていることを知ったでしょうに」
「ぼくはニコチン中毒ではない」彼は振り返り、さらにたばこを吸いこんだ。「きみは死刑宣告を受けた囚人に最後の一服を許さないのか?」
 彼は物憂げに言い、免疫のない女性には衝撃的な効果があることを熟知しているかのように口の端をゆがめ、ほほ笑んだ。
「喫煙は不快な習慣だわ」個人的な考えをあらわにしてはいけないという思慮分別を忘れ、ホリーはつい口走った。実物のジャレクは新聞の写真よりはるかにハンサムで、彼女の思考力を奪った。今、名前を尋ねられても、答えられなかっただろう。ホリーの頭を占めているのは、この男性は恐ろしいほど魅力的だという思いだけだった。
「喫煙は、ぼくのほかの習慣ほど不快ではない」彼はつぶやいた。
 その声には愉快そうな響きがあり、目にはあざけりの色があった。一メートル近く離れていても、鮮やかな青い目から放たれるレーザービームのような視線がホリーに突き刺さる。彼はブーツの靴底でたばこを踏みつけ、吸い殻を拾ってポケットに入れてから、ホリーと並んでポーチへと足を向けた。
 ホリーが懸命に気を取り直し、言うべき言葉を探すあいだに彼は笑みを消し、鋭い口調で言った。「それから、ぼくはもうイギリス人の養父母の名字“ソーンダーソン”は使っていない。それより、生まれながらの……」唐突に言葉を切り、間をおいて続ける。「ボスニアにいたころの名前、ドヴォールスカと呼んでほしい」
「わかったわ……ミスター・ドヴォールスカ。ええと……」なんてこと。この息苦しそうな声は本当にわたしの声なの? ホリーは咳払いをした。「フリーデン・クリニックにようこそ」そこで彼の言葉を思い出し、眉根を寄せる。「なぜ自分のことを死刑宣告された囚人と言ったの? フリーデンはドイツ語で平和という意味よ。フリーデン・クリニックは安らかな聖域であって、牢獄じゃないわ。あなたにはここで安らぎを見つけてほしいし、わたしは全力で手助けする。あなたが精神的な問題から回復するまでの‘旅’の手助けを」
「安らぎ?」ジャレクは奇妙な笑い声をあげた。「それを見つけられるかどうかは実に疑わしい。それに、なんだって? ぼくが悟りを開くすばらしい旅を‘きみが’手伝ってくれると言ったのか? ぼくはてっきりきみを受付嬢だと思っていた。ロンドンでヘッペル教授に会った際、メイトランド博士という臨床心理士がぼくの担当になると聞いたが」
「ごめんなさい、自己紹介が遅れて」ホリーはうろたえ、慌てて手を差し出した。「わたしがホリー・メイトランドよ」
「ぼくの想像とはずいぶん違うな」
 しばしの沈黙のあと、ジャレク・ドヴォールスカはほとんど表情を変えず、相変わらず物憂げな口調で応じた。まるで人生に退屈しているような口調だ。ゴシップ記事によると彼の人生はパーティの連続で、そこに集うのは彼と同じく、あまり評判のよくない億万長者たちだという。だが彼の淡い青色の目にははっきりとした知性があり、その強烈な視線に頭の中を見透かされている気がしてホリーは動揺した。
 そして、きつく手を握られるや、ホリーは息をのんだ。指をコンセントに差しこんだように腕に電気が走り、皮膚がひりひりする。それ以上に困惑したのは、胸の頂が硬くなったことだ。ジャレクの視線が胸に這い下り、氷の湖を思わせる目が熱く光る。ホリーは心を乱されまいと気持ちを強く持った。
「実際に会う前に相手のことを想像するのはよくあることよ」ホリーは異様な胸の高鳴りを無視し、涼しい顔でほほ笑んだ。「わたしについてどんな想像をしていたの?」
「もっと年配だと思っていた」彼はぶっきらぼうに答えた。「正直なところ、ぼくは自分の胸の内を心理学者に打ち明けたいとは思わない。ぼくがここに来たのは妹が望んだからだ。妹は、ぼくが感情の制御の仕方を学ぶ必要があると信じている。義理の弟は、もし臨月のエリンに心配をかけるようなまねをしたら、ぼくを殺すと脅した」
 ジャレクは真顔で言った。冗談ではなく、本気で殺されかねないと思っているようだ。
 ホリーはジャレクの妹に羨望を感じた。自分が子供を産めない体であることはとうの昔に受け入れたが、ほかの女性が妊娠中であることを聞くと、いまだ胸に痛みを覚える。
 ホリーはジャレクへと思考を戻した。妹の話をしたときの彼の声には深い愛情があり、それは“群がる美女たちと楽しむことにしか興味のない軽薄なプレイボーイ”というタブロイド紙の彼のイメージが偽りであることを示していた。


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