マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン文庫

捨てられたシンデレラ【ハーレクイン文庫版】

捨てられたシンデレラ【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


著者プロフィール

 ナタリー・リバース(Natalie Rivers)
 英国サセックスの田園地方で育つ。シェフィールド大学在学中に現在の夫と出会い、ひと目で恋に落ちたという。卒業後、二人でロンドンに移り住み結婚、そして二人の子供に恵まれる。医療検査機関の研究所の職員、小学校教師という前職を経て、現在は母親とロマンス作家というすばらしい二つの職業に就けて幸せだと語る。

解説

ケリーは、ロンドンの店に入ってきた男性を見て驚愕した。ギリシアの不動産王、テオ・ディアコスではないか。14カ月前、私を紙屑のように捨てた男が、今さら何をしに? おののくケリーに、酷薄な微笑を浮かべて、テオは言った。「きみの手を借りたいことができてね。連れ戻しに来たのだ」相変わらずの身勝手な言い分に憤りつつも、ケリーは安堵した。どうやら“あの秘密”がばれたわけではないらしい。翌日、脅しまがいの彼の要求に屈し、ケリーはアテネに発った。密かに生んでいた、テオとの間の我が子を身内に託して。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「きみのお節介のせいで、マスコミが悪意に満ちた報道合戦を始めた」テオの口調は、それもやはり悲劇だと言わんばかりだ。「パパラッチはここぞとばかりに、ぼくの家族を追いまわしている。特にハリとコルバンを。まったく厄介なことになったよ」
 ルーカスの件で来たのではないのだ。安堵するなり、ケリーは強気になった。メディアからいらぬ注目を浴びて迷惑していることと、死者が出てもおかしくない事故が起きたことを、テオは本当に同等に考えているの? 半年も一緒に暮らしていながら、なぜわたしはこの人の本性を見抜けなかったのかしら?
「一挙一動をマスコミに監視され、兄嫁から子供を奪い取るのが難しくなった――そう言いたいの?」
 言い終えたとたん、ケリーは悔やんだ。テオの様子が一変したのを見て、全身に鳥肌が立つ。彼の表情や身ぶりのどこがどう変化したとは言えないが、なぜかケリーは不穏な気配を感じとった。
「あの晩きみが立ち聞きした件には、もう触れないほうがいいんじゃないか? きみ自身のために」
 テオの声音にぞっとし、ケリーの鼓動はまたも速くなった。とはいえ、脅すような言い方をされ、急に腹が立ってきた。よくもわたしに指図できるものだわ。もう恋人でもないのに。
「どうして? あんなひどいことを企んでいた自分が恥ずかしくなったの?」ケリーは猛然と詰め寄った。「それとも、今は鳴りをひそめておいて、ほとぼりが冷めてから陰謀を実行するつもり?」
 テオは全身の血が怒りに沸きたつのを感じ、彼女をにらみつけた。ケリーがこんなふるまいのできる女だったとは。恋人同士だったころのケリーなら、これほどすぐに癇癪を起こさなかっただろうし、見境なくテオに食ってかかることもなかったに違いない。
「言葉に気をつけろよ」歯を食いしばって一歩踏みだし、覆いかぶさるようにケリーに身を寄せる。すると、彼女は目を合わせたまま頭を反らした。
「わたしをどうするつもり?」ケリーは腰に両手をあてがい、一歩も引かなかった。
 テオは彼女との間に火花が散るのを感じた。空気は冷たく湿っているが、二人の周囲には熱気が漂っている。怒りのせいだ。いや、それだけではない。情熱のせいだ。それが心と体を燃えたたせるのだ。
 不意に、自分がケリーをどうしたいのか、テオは悟った。自制心を最大限に働かせないと、欲望に屈しそうだ。彼女をひしと抱きしめたいという衝動は、抗しがたいほど強くなっている。反抗するケリーの唇をキスでふさぎたい。最大の満足を得られる方法で彼女を黙らせたかった。
 テオは無言でいつまでもケリーを見つめていた。心臓は大きく打ち、体は募る欲望にわなないている。そのとき、ケリーがかすかに目を見張り、息を深く吸って唇を少し開いた。彼女も感じているのだ。二人の体が互いを欲していることを。
 数分前のテオは、ケリーという人間がわからなくなっていた。しかし今は、彼女の体がどう反応しているかということまでわかる。なんといってもケリーとは一年近くつき合った仲なのだ。彼女の頬が突如としてほてりだしたのも、淡い色の瞳が大きくなったのも、はっきりとわかった。
 ぼくがケリーを欲しいのと同じくらい、彼女もぼくを求めているのだ。
 テオはやにわにケリーを抱きしめ、彼女が爪先立ちになるほど体を引きあげた。唇の真下にケリーの唇が来る。もう少し頭を下げれば二人の唇が重なり、失ったものを取り戻すことができる。ケリーが犯した罪への罰として、彼女の体をもう一度激しく奪えるのだ。
 だが、それが目的でロンドンまで来たのではない。欲望に負けて母の遺言をおろそかにしてはならないし、そうするつもりもなかった。ドラコンを説得してあの島を売らせるにはどうしてもケリーが必要だ。
「こんなことをするために来たんじゃない」テオは怒ったように言い、ケリーを放してあとずさった。
「こんなことって?」ケリーは自分の声がひどくかすれていることに動揺しながら尋ねた。
 なぜこんなにたやすくテオの魔法にかかってしまったのかしら? あれほどひどい仕打ちを受けたのに、体が反応してしまうなんて。
「わかっているはずだ」テオは冷たく言った。「遠まわしな言い方は、もうやめだ。ここに来た理由を話そう」
「ええ、早く話して」力強い口調で言えて、ケリーはほっとした。けれど、体は今もテオを求め、ざわついている。雨に濡れているというのに、頬は燃えるように熱かった。「前置きはもう充分よ」
 雨がますます強くなり、ケリーは濡れた長い前髪をかきあげた。弱みはいっさい見せまいとして、テオの目をまっすぐ見すえる。もしもまた先ほどのように、今すぐこの場で体を重ねたいと言わんばかりの視線で見つめられたら、応じてしまいそうだ。
 あんな別れ方をしたのに、こうして誘いかけてくるテオの厚かましさが信じられない。そんな彼に反応してしまう自分も信じられなかった。もう二度と反応してはいけない。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。