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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

恋の使者は一夜で宿り

恋の使者は一夜で宿り


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 イヴォンヌ・リンゼイ(Yvonne Lindsay)
 ニュージーランドに生まれ、十三歳の頃からロマンス小説を愛読するようになった。ブラインド・デートで出会った男性と結婚し、二人の子供がいる。読書を通じて人々のさまざまな愛の力を追体験していると言う。

解説

億万長者には、結婚も子供もビジネス。彼はただ、わたしを征服したかっただけ。

カークと出会った夜、サリーは落ち込んでいた。デートもせず仕事をしても、会社の会長である父の役には立てなかった。父がわたしにはなにも言わず、合併を決めたのがそのいい証拠だ。だからハンサムなカークに誘われるまま、一夜をともにしたのだろうか?しかし翌朝、サリーは仰天する。そのカークが父の会社に現れて、「今後はぼくが経営の指揮をとる」と言い放ったからだ。合併先の会長の娘と知っていて、カークはわたしに近づいたの? その目的はなに? 社内で、より有利な立場を手に入れたかったとか? サリーは彼を忘れようと必死に働くが、数週間後、会社で倒れてしまう。しかもカークの目の前で、医師から妊娠を告げられて……。

■母を亡くして以来、スピーチ恐怖症に苦しみながらも父の会社で努力してきたヒロイン。仕事一筋の彼女が恋を知り、ヒーローへの報われない思いに身を焦がす姿は胸に迫ります。実力派作家Y・リンゼイが得意とする波瀾万丈の物語を、どうぞお楽しみください!

抄録

「お客さま、これはあちらの方からです」
 ウエイトレスが新しいギブソンをテーブルに置いた。サリーは驚いて目をしばたたき、ウエイトレスを見つめた。
「あちらの方?」
「あの男性です」ウエイトレスが身ぶりで示す。「とってもセクシーな方ですよ」
「わたしで間違いないの?」サリーは尋ねた。
「間違いありません。お断りしますか?」
 断ったほうがいいの? そう考えたとたん、心にひそむ臆病なネズミが身を震わせながら言った――“そうよ、断るべきだわ”と。でもそれだと、いつものわたしと同じになってしまう。ボディガードは先に帰してしまった。いつものわたしなら、ギルダやロンといっしょにバーを出て、二人と同じタクシーに乗ったはずだ。
 新しい経験に身をゆだねる? 知らない人と会ってみる? 誘いをかけてきた男性と、おしゃべりを楽しんでみればいいんじゃない?
 振り返ると、問題の男性と目が合った。バーに足を踏み入れた瞬間から、彼がいるのには気がついていた。けれど、さっさと意識から締め出していたのは、自分とは住む世界が違う人だと思ったからだった。
 ウエイトレスはセクシーと言っていたが、そんな言葉では男性の魅力は言い表せなかった。まるでダークスーツを着こなすように強烈な自信を身にまとっているので、見つめられるだけで全身の細胞がわきたつようだ。男性はサリーにうなずきかけ、無言でグラスを掲げてほほえんだ。爪先まで燃え上がりそうな、夢中にならずにはいられない笑顔だった。
 勇気を出すのよ、と心の片隅から小さなささやき声が聞こえると、サリーはウエイトレスにほほえみかけた。「カクテルはそのままでいいわ。ありがとう。それから、あの人にお礼を言っておいてね」
「お礼でしたら、直接言ってはいかがですか? こちらに来ますよ」
 こっちに来ているですって? サリーはパニックに陥った。逃げたほうがいいの? それとも、踏みとどまるべき? すると、本能が金切り声をあげた。逃げるのよ!
「座ってもいいかな?」男性は、ギルダがさっきまで腰を下ろしていた椅子を手で示した。
「もちろん」心臓は喉元までせり上がっていたものの、サリーは何とか平静を装って答えた。グラスを持ち上げ、乾杯のしぐさをしてみせる。「飲みものをありがとう」
「どういたしまして。最近、ギブソンを飲む人はあまり見かけないな。きみは古風なカクテルをたしなむ、古風な女性なのか?」
 豊かで深みのある声が、ビロードのようにやさしくサリーの肌を撫でた。声だけでなく、男性は容姿も魅力的だった。胸の筋肉が盛り上がっているために、コットンのシャツは張りつめている。肩幅も広く、顔は少し角張っていて、まっすぐな鼻は高い。あたりが暗いせいで瞳の色まではわからなかったが、彼の目はサリーを正面から見すえていた。
 わたしとは違って、この人はどう考えても内気なタイプじゃない。簡単に笑う男性には見えないのに、口元に浮かぶ笑みは偽物ではないようだ。
 どう答えていいのかわからず、サリーはカクテルに視線を落としてぎこちなくほほえんだ。「そんなところかしら」
 視線を上げるとまた男性の心からの笑顔が目に入って、たちまち電流のような衝撃がサリーの下腹部に走った。ああ、こんなにセクシーな男の人が、この世に存在していいの?
「ぼくはカークだ。きみの名前は?」彼は手を差し出し、眉を上げて握手をもとめた。
 サリーの体は内側からとろけそうだった。いつもの彼女なら、アルコールや甘いささやきにわれを忘れたりしなかった。でも、いつも他人の期待に応え、何でも言われたことに従って決して出しゃばらない“いい子”でいるのには、もううんざりだ。目立たない場所に引きこもっているのではなく、もっと積極的に現実と向き合わないと。人生を変える、と決めたでしょう? 今夜だけはしたいことをするのよ。何がどうなってもかまわないわ。
 サリーは手を伸ばして男性の手を握った。「わたしはサリーよ。つぎの一杯は、わたしにおごらせて」
「きみと知り合えたのはうれしいが、これだけは言っておきたい――ぼくは女性に飲みものをおごってもらったりしないんだ」
 胃が締めつけられるような感覚に、サリーは襲われた。誰かと意見が対立するたびに、こんなふうに怖くて言葉が出なくなる。いままではそうなるのを口実に、引っ込み思案な人生を送ってきた。でも今夜は、そんな口実の陰には隠れたくない。サリーはどうにかほほえみ、無理に言葉をしぼり出した。
「まあ、そうなの? どうして?」
「ぼくも古風な男なんだ。だが相手がきみなら、ルールを破ってもいいかもしれないな」
「なぜ?」
「ぼくの体目当てで、飲みものをおごるつもりじゃないようだから」
 こらえきれずに、サリーは吹き出した。「体目当ての人に、あなたはよくでくわすの?」
「たまにね」
「安心して。わたしはそういう女じゃないから」
「ほんとうか?」
 がっかりしているように聞こえたのは、わたしの気のせい?
「とりあえず、成り行きを見守ってみましょうよ」サリーは心からほほえみ、ギブソンのグラスに手を伸ばした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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