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悲しい絆【ハーレクイン・ディザイア傑作選】

悲しい絆【ハーレクイン・ディザイア傑作選】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ローラ・ライト(Laura Wright)
 ミネソタ州生まれ。演劇に歌、社交ダンスに没頭してきたが、ロマンス小説を執筆し始めたとき、これが自分の真に望むことだとわかったという。余暇には画廊や映画館へ行ったり、森を散歩したり、飼い犬と遊んだりして楽しむ。彼女の演劇作品のマネージャーでもある夫と幼い娘とともに、ロサンゼルスに住んでいる。

解説

恋人のためについた嘘は、決して許されない嘘……。

エヴァは姉の結婚式準備のため、故郷に帰ってきた。4年前、恋人ジェレドの子を身ごもって父の逆鱗に触れ、町を出た。以来ひそかに赤ん坊を産み育ててきたとは、彼は知る由もない。店の試着室で花嫁付添人のドレスを新調していると、懐かしくも恐ろしい声に、彼女は凍りついた。相変わらずの魅力を漂わせたジェレドが目の前にいた――彼は億万長者となって、町にはいないと聞いていたのに!怒りに燃える目で凝視されたあと完全に無視され、いたたまれなくなってエヴァが帰ろうとしたとき、彼が憎しみの矢を放った。「相変わらず逃げるのが得意だな」

■様々な時代の選りすぐりのディザイアの話題作をお贈りする“ハーレクイン・ディザイア傑作選”。今作は、忘れえぬ最愛の男性に秘密の命の存在を隠していたエヴァの切ない再会物語。本作はD−1724『砂上の結婚』の関連作です。
*本書は、ハーレクイン・リクエストから既に配信されている作品のハーレクイン・ディザイア版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「すてきな住まいね、ジェレド」玄関ドアを開けてくれたジェレドに、エヴァは言った。
 世間話か。とりあえず世間話に応じるのもいいだろう。「ありがとう。ぼくもここに満足しているよ」
「そうでしょうね」ジェレドのわきを通り過ぎながら、エヴァは彼をちらりと見た。「それと、ここを築き上げた自分にもね」
 彼女にほめられたことがなぜかうれしくて、ジェレドは微笑んだ。「キッチンはその奥だ」どうして彼女はこんなにきれいなんだ? ブロンドの巻き毛を頭の上でまとめ、長い首を見せた姿は、つい見つめてしまうほど魅惑的だ。黄褐色のショートパンツからすらりと伸びた脚。体にぴったりとした淡いピンク色のシャツ。彼女もぼくの夢を見たことがあるのだろうか? その色がぼくを狂わせることを知っているのだろうか? 全身に汗が噴き出し、彼女をここに招いた理由も忘れてしまうほど狂わせることを。
 妙と言えば妙だが、今までムーナ以外の女性を家の玄関から先に入れたことはなかった。なぜその習慣を破ったのだろう? それも、エヴァを相手に。
 エヴァは足を止め、何年も前に彼の祖父が作った木のテーブルを感嘆の目で眺めた。滑らかな表面をなでた彼女は、小さな傷の上で手を止めた。六歳のジェレドがうっかり付けた傷だった。
 彼女を家に入れ、中を見せるのはいやだったはずなのに、なぜかジェレドはテーブルの傷の説明をしたくなった。「子どものころ、このテーブルを軍隊本部に使ったんだ。トラック、兵士、大きくて尖った石、戦車。軍隊ごっこが好きだった。ずいぶん使ったのに、ほんの小さな傷しかないのが驚きだよ」
 説明する彼の表情が子どもっぽいものに変わった。一緒にいるだけなら大丈夫だと思っていたが、エヴァは今、ジェレドを失った寂しさをひしひしと感じていた。彼女は静かに言った。「その話はしてもらったわ。敵をやっつけて、哀れな、か弱い女性を救うのがお気に入りだったのよね?」
「か弱い女性なんてどこにもいなかったけどね」
「わたしがいたでしょう」
 彼は目をむいてみせた。「ああ、確かに」
 エヴァはくすくすと笑い、おどけて彼の腕を叩こうとした。だが、ジェレドのほうがすばやく、彼女の手首をつかんで、動けないようにぐいと引き寄せた。「行儀よくするか?」
 彼を見上げ、そのグレーの瞳をのぞき込んだ瞬間、エヴァは息が止まりそうになった。それでも、なんとか弱々しく言い返した。「あなたは?」
 ジェレドは彼女をさらに引き寄せた。「さあ、どうかな。きみはぼくにどうしてほしい?」
 エヴァの頭に思い出が点々とよみがえってきた。こんなふうに体を寄せ合った思い出が。月のない夏の夜、二人で町外れの湖に泳ぎに行った。一糸まとわぬ体を押しつけ合い、脚と脚を絡め、唇を……。
 エヴァの心の叫びが聞こえたのか、彼女が答える前に、ジェレドは体を離した。
「このテーブルはずいぶん手荒に扱ったよ」彼は冷静な口調と暗い目で言った。「でも、子どもはばかなことをするものだろう? お父さんにきけば、きみやリタだって、ひとつかふたつ逸話があるはずだよ」
 エヴァはぎこちなく微笑み、全身に波打つ興奮を無視しようとした。「というより、五つか六つね」視線を落とす。「今日、父に会ったときにきけばよかった。そうしたら、わたしも昔の失敗を語れたかもしれない」
 ジェレドは深く息を吸い込んだ。「ところで、お父さんは元気なのか? 牧場が大変だそうだが」
 リタがそんなようなことを言っていたが、エヴァは詳しい話を聞きたくなかった。あの場所には思い出がありすぎる。いいものも悪いものも。「牧場がどうなっているかも、父がどうするつもりなのかも知らないわ。パラダイスを離れて以来、父とは会いも話しもしていなかったから。今日までずっと」
 ジェレドは彼女に驚きの視線を投げた。「自分の父親と四年間も話していなかったのか?」
「ええ」彼女は目をそらした。「サンドイッチを作らないと。リリーはおなかが空くと機嫌が悪くなるの」
 頭と心は答えを求めていたが、ジェレドはそれ以上追及しないことにした。それに、彼女が父親をどう思おうと、自分には関係のないことだ。だが、彼女を導いてキッチンへ入っても、疑問は頭に焼きついていた。なぜずっと父親と話をしなかったのだろう? あのあと、ベンがぼくにした仕打ちを彼女は知らないはずだ。ベンがわざわざ教えるわけもない。
 それに、彼女はどうしてこんなに緊張しているんだ? ニューヨークが彼女をすっかり変えたのだろうか? それとも、夫のせいだろうか?
 くそっ、最後に会った晩以後、彼女に何があったのかすべて知りたい。だが、キッチンのまん中に立つ彼女の姿を目にしたとたん、ジェレドの脳は一時停止した。エヴァは両手を腰に当て、背中を反らして胸を突き出し、室内を眺め回している。ダイニングルームでわき起こったのと同じ欲求が再び彼を突き上げた。さっき、思いのままにキスしていたら、どうなっていたのだろう?


*この続きは製品版でお楽しみください。

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