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愛はゆくえ知れず

愛はゆくえ知れず


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジョージー・メトカーフ(Josie Metcalfe)
 大家族のなかで育ち、子供のころから本が友だちだった。書くほうに回った現在も同様で、物語の終わりにさよならを言いたくなくなるという。コーンウォールで“我慢強い”夫とともに暮らしている。四人の子供がいる。

解説

愛するがゆえの誤解が二人を遠ざける。会いたくて会いたくて、たまらないのに。

キャリーは同僚医師のコナーと、幸せな結婚生活を送ってきた。けれども長らく子宝に恵まれず、ようやく授かったと思ったら、生まれる前に天国へ旅立ってしまい、深い喪失感に打ちひしがれた。なんとか仕事に復帰し、立ち直ったかに見えたキャリーだったが、ある日突然、彼女は短い置き手紙を残し、愛の巣を飛び出した。〈ごめんなさい。離婚手続きを進めてください。どうかお幸せに〉涙でにじんだメッセージを読み、夫のコナーはキャリーを捜すが、ゆくえ知れずのまま、彼女が住み慣れた家に戻ってくることはなかった。それもそのはず、キャリーは、コナーがもう別の女性を求めていると、人づてに聞いて絶望の淵に落とされてしまったのだから……。

■愛する夫を思うあまり、みずからが身を引くしかないと姿を消したキャリーの心中を考えると胸が締めつけられます。愛の試練と心の機微を巧妙に描く人気作家J・メトカーフが用意した結末とは……?

抄録

 二人の家は、子どもが増えても大丈夫なほど広く、勤務先の病院にも近いことから、結婚したときに買ったものだった。その短い距離でも、息子が死産で生まれてからもう五カ月近くたつことを思い出すのには充分だった。
 その五カ月の間、コンとキャリーは今までどおり同じベッドに横になり、それぞれの思いにふけったまま夜の闇を見つめていた。うわべは親密でありながら、何週間も妻と愛を交わせないことをどれほど寂しく思っているか、キャリーに気取られないよう気を遣ってきた。愛の営みは、単に体を重ねる歓びのみならず、二人の心と魂を一つにするものだったからだ。キャリーがその気になれるまで待つつもりだったが、彼女が応じてくれたのは一度だけで、しかもコンが何カ月もの禁欲のせいであっという間に達してしまったため、あまりうまくいったとは言えなかった。
 コンとしてはキャリーを気遣うことで愛情を示したつもりだったが、今になって考えてみると、自分の気持ちに蓋をして表に出さなかったのは間違いだったかもしれない。もしキャリーが僕のほうから行動に出るのをずっと待っていたのだとしたら……。
 その可能性は充分にある。そう思ってコンは苦笑した。キャリーにとって僕は初めて愛を交わした相手で、体を許した唯一の男性なのだから。確かにキャリーは情熱的だが、まだ恥じらいもあって性生活の好みを自分から伝えてきたことはなかった。
「今日が新しい始まりの日でありますように」コンは期待を込めてつぶやいた。
 冷凍窒素の中で眠る受精卵を放棄すると思うと胸が詰まり、息が苦しくなる。キャリーは血を分けた子どもを身ごもりたいと言って譲らず、妊娠可能な卵子を採取するつらい処置に何度も耐えてきたのだから。
 それでも、最終的な決断を下すのはキャリーだ。受精卵を移植するために厳しいホルモン療法を受けるのも彼女だし、移植がうまくいって妊娠できたからといって、それがゴールではないことを二人はつらい経験から知っている。
「キャリーがどう決めようと、僕はそれを受け入れるだけだ」自分に言い聞かせるようにコンはきっぱりと言い、家の私道に入った。なぜか今日はキャリーの車が玄関先ではなく、ガレージにある。
 何よりも大事なのはキャリーだ。誰だって、必ず子どもに恵まれるとは限らない。僕たちは強い絆で結ばれた幸せな夫婦だから、子どもはうれしいおまけのようなものだ。
 もちろん養子をもらうという手もある。とはいえ、この選択肢を考慮に入れるのはもう少し先になるだろう。今はじっくり話し合って二人の絆を修復し、さらにいっそう強くするときだ。
「キャリー、ただいま」久しぶりに前向きな気分で玄関に足を踏み入れるなり声をかけた。「スイートハート? どこにいるんだ?」
 コンを出迎えたのは、妙に不吉な静けさだった。
「キャリー?」今度は少しとがった声で呼びかけながら廊下を小走りに進み、通り過ぎざまに左右のドア口に目を走らせる。しかしキャリーの姿は居間にも書斎にも、そして客をもてなすときしか使わない広いダイニングルームにもない。「スイートハート?」キッチンのドアを勢いよく開け、整然と片づけられているのを見て、コンは身を震わせた。どこもかしこもぴかぴかで、キャリーがいつも出勤前にインスタントコーヒーを飲む調理台の上にはティースプーンの一本も残されていない。当然のことながら、焼きたてのバタートーストなど影も形もなかった。
 パニックに襲われてコンは廊下を駆け戻り、二階にある寝室に向かって階段を一段飛ばしどころか二段飛ばしの勢いで駆け上がった。
「まさか、そんなはずはない」突然目に浮かんだ恐ろしい光景をコンは必死に打ち消した。すでに息絶えた妻がベッドの上に、あるいはバスルームの床に横たわっている光景を。
 キャリーの気持ちを本当はわかっていなかったのかもしれない。そう気づかされ、コンは心臓がとまるほど打ちのめされた。まさかキャリーがそこまで追いつめられていたとは思いもよらなかった。それでも、医師として命を大切に思うキャリーが自殺のような手段を選ばないことを祈らずにはいられなかった。
「ああ、よかった……」寝室にもバスルームにもキャリーがいないとわかって、コンはこらえきれずに安堵の涙を流した。しかしそうなると、キャリーは家のどこにもいないことになる。
 冷たいタオルで涙を拭き、自制心を取り戻すのに数分かかった。コンは重い足を引きずって寝室に戻り、ベッドに座り込んだ。
「いったいどこにいるんだ、キャリー? どこへ行ってしまったんだ?」静まり返った部屋に問いかけると、笑い声に満ちた思い出が脳裏によみがえってきた。二人でこの部屋のリフォームをしていたとき、ふざけて壁よりも互いの体にペンキを塗ることに夢中になり、結局シャワーの下で長い時間をかけて洗い合うはめになったことを……もちろん、どこにもペンキが残っていないように体じゅう隅から隅まで。
 愛するキャリーの明るい笑顔を見たくて、コンはドレッサーの上に置かれた銀の写真立てに目を向けた。と、そこには見慣れた筆跡で自分の名前が書かれた封筒が立てかけてあった。
 おそるおそる封筒に手を伸ばし、震える手で便箋を引き出す。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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