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この愛はいつか見た愛

この愛はいつか見た愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
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解説

誰も愛さず、誰からも愛されない人生。天使に出会うまで、それが彼の運命だった――ベストセラー作家クレンツの珠玉作!

山間の小さな町で育ったセレニティ。町の助けとなる事業を立ち上げるべく、敏腕コンサルタントとして名高いケイレブのもとを訪れる。容赦ない手腕で大金を動かす彼は生きる世界も価値観もセレニティのそれとはまったく違う――それなのに、彼女は男らしくハンサムなケイレブに一瞬で心を奪われた。そしてセレニティを見つめる彼の目にも、隠しきれない情熱の炎が揺らめいていた。だがある日、セレニティに届いた一通の脅迫状が二人の関係を一変させる。ケイレブは人が変わったような眼差しで彼女を見やると、冷たく突き放したのだ。

抄録

「ねえ、わたしは写真の送り主を見つけ出して、話し合おうと思ってるの。誰であれ、きっと変化が怖くてこんなことをしたのよ。通信販売をはじめてもウィッツエンドは変わらないと説得するつもり」
「脅迫者を諭そうというのか?」ケイレブはその無邪気さにあきれた。
「なぜいけないの? わたしは町の全員を知ってるのよ」セレニティはため息をついた。「送り主はブレイドかもしれない。どうやって写真を手に入れたのかわからないけど」
 ケイレブは眉をひそめた。「ブレイド? 前に話していた変わり者の|終末主義者《サバイバリスト》か? ロットワイラー犬を何頭も飼っていて、AK47を積んだ車で町を走りまわるという」
「あのライフルはAK47じゃないと思う」セレニティは確信なさそうに言った。
「そんなことはどうでもいい。いかれているのはまちがいない」
「ブレイドはいかれてなんかいない。あなたも会ってみるべきよ。すばらしいハーブ入りビネガーを作るの。カタログに載せたらきっとよく売れる」
「危険な妄想男に思えるが。きみも言っていたじゃないか、彼はどこかの秘密政府組織がこの国を乗っ取ろうとしていると信じているって」
「脅迫者はブレイドじゃないかもしれない」セレニティは穏やかな声で言った。「ほかの誰でもありうるもの」
 落ち着きのない牡馬のようになだめられて、ケイレブはむっとした。「とにかく、写真の送り主を突き止める必要はない。ぼくがきみとのビジネスを続けるかどうか決めるまでは」
 セレニティの白い肌がいっそう白くなり、鼻と頬にちらばるそばかすが際立った。彼女は探るようにケイレブを見た。「こんなことで取り引きをやめるなんて言わないわよね」
 ケイレブは眉を持ちあげた。「誰に聞いてもらってもいいが、ぼくはこれまでビジネス上の取り引きでは常に一定の基準を維持してきた。いまその基準をさげるつもりはない」
 セレニティは冷水を浴びせられたような顔をした。初めて、その目に怒りが浮かんだ。「信じられない。あなたがそんな傲慢で独善的な人だとは思わなかった」
 ケイレブは腕を組んだ。「ぼくも、きみが三流の写真家にヌードを撮らせるような女性だとは思わなかったよ」
「よくもそんなことが言えるわね。わたしのことも、あの写真のことも何も知らないくせに」セレニティはドアのほうへ二歩さがった。「知ってた? わたしはあなたのことが気に入ってたのよ、ケイレブ。いい人だと思ってた」
「いい人?」その言葉で、ケイレブの何かがぷつりと切れた。「ぼくが“いい人”だって?」
「そうよ」セレニティの色鮮やかな目が自信なげに曇った。「あなたはわたしの計画に興味を持っているように見えた。とても親身になってくれた。わたしと同じように町の将来を真剣に考えてくれているんだと思ってた」
「ウィッツエンドがどうなろうが知ったことじゃない」人生で初めて、ケイレブは考える前に行動に移った。決然とセレニティのほうへ近づく。
 この数週間、ケイレブは欲求を抑えこんできた。セレニティも自分と同じ気持ちを抱いていると確信して、もうすぐ付き合えると自制してきた。いま、すべてが崩れ去り、その事実が心に爪を立てていた。
 セレニティは胸にブリーフケースを抱えたまま立ちつくした。「何をするつもり?」
「まちがった印象を正すんだ」ケイレブは彼女の前で足を止めた。両手で細い肩をつかみ、乱暴に引きよせる。「ぼくがいい人間だなどと思わせたまま、きみを行かせるわけにはいかない」
 ケイレブは口を押しつけ、やわらかい唇をむさぼった。渦巻く怒りと絶望がキスに流れこむ。セレニティは激しいキスに身を震わせたが、体を引こうとはしなかった。
 しばらくのあいだ、セレニティは荒々しい腕のなかでじっとしていた。おびえているというよりも、驚いているようだった。何か大切なもの、守りたくてたまらなかったものを自分はいま壊している。その思いが、ケイレブをさらなる攻撃に駆り立てた。
 肩をつかむ手に力をこめる。唇をさらに押しつけると、彼女の歯を感じた。セレニティにキスをするのはこれが最初で最後になるだろう。怒りが獰猛なまでの情熱に変わり、ケイレブを体の芯から揺さぶった。
 セレニティの味に溺れ、体に押しつけられた彼女の感触を胸に刻もうとした。五年、十年、二十年先までこの記憶をしっかりと留めておきたかった。
 キスを深め、唇を開かせて、彼女を貪欲に味わった。いつセレニティがこの手と人生から逃げ出してしまうかわからない。これがいま、自分が得られるすべてだ。
 何か重たいものが、完璧に磨かれたケイレブの靴の爪先にぶつかった。痛みに顔をしかめる。セレニティがブリーフケースを取り落としたのだ。
 湧きあがる感情の激しさにめまいを覚えながら、ケイレブは唇を離した。彼女を解放しなくてはならない。
「だめ……まだやめないで」セレニティはケイレブの首に腕をまわし、ふたたび唇を引きよせた。
 ケイレブがその意図に気づく前にキスが返される。その激しさに、ケイレブの体に衝撃の波が走り、過去のことも未来のこともいっさい考えられなくなった。セレニティが自分を求めている。そのこと以外、すべてが頭から消えた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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