マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクション恋愛小説ティーンズラブ小説

熱砂の溺愛王〜花嫁は傲慢に愛される〜

熱砂の溺愛王〜花嫁は傲慢に愛される〜


発行: ヴァニラ文庫
シリーズ: ヴァニラ文庫
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader”スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
XMDFのファイルをご覧になるにはブンコビューア最新版(無料)をインストールしてください。

「書籍ファイルが壊れています」と表示される場合は、ブンコビューアを最新版にアップデートしてください。
購入する


解説

お前が可愛すぎて、歯止めがきかない
強引なアラブ王と、極甘な蜜月生活

豪華客船の沈没事故で記憶をなくしてしまったファラーシャは、婚約者だというジャナフ王国のラシード王と新婚生活を始めることに。「忘れられないくらい、甘く啼かせてやる」戸惑うファラーシャを、ラシードは情熱的に口説き、夜ごと巧みな愛撫で蕩かせてくる。しかし、断片的に記憶が蘇ってきたファラーシャは、自分の素性に不信を抱き始め……!?

※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

抄録

「私のせいです。私が呼び寄せたせいで、侍女達も乳母も死んでしまったんです。英国で雇った秘書は行方不明ですけれど、生きているならとっくに連絡が入ったはずですもの。きっとその人も亡くなって、海の底に……十人近い人を死なせて、それなのに私は皆の顔さえ思い出せません。こんな無責任なことってないでしょう? 私だけが助かって、何もなかったような顔で陛下と結婚するなんて、許されるわけがないんです」
 こらえきれなくなったのか、ファラーシャは両手で顔を覆ってしゃくり上げ始める。ラシードは茫然としてその姿を見つめた。
(なんという……こんなにも誠実で、清らかな心の持ち主だったのか)
 浮気を疑った己を、恥じずにはいられない。
 船が沈んだのは船会社の責任だし、侍女達を呼び寄せたのは旅を楽しませてやろうという好意からだ。死んだ者も残された家族も、ファラーシャを恨みはしないだろう。なのに彼女は、自分との結婚をためらうほどに責任を感じ、苦しんでいる。
 愛おしすぎて、胸が切ない。
 ラシードはファラーシャを自分の胸に引き寄せた。
「あっ……」
「言ったはずだ。俺はお前が無事で嬉しいと」
 優しく抱きしめて髪を撫でる。
 さっきは好き心に動かされただけだが、今は違う。目の前で泣いているファラーシャの傷ついた心を、なんとかして慰めたかった。
「自分を責めるな。お前のせいではないんだ。そう言っても、なかなか気持ちの整理はつかないだろうが……俺のことを考えてくれ。お前が生きていてくれて、どれほど俺が嬉しく思っているか。最初に船の沈没の知らせを聞いた時は、お前も死んだかと思った。だがお前は助かっていて、こうしてまた会えた」
 以前のファラーシャとは気が合わず、助かったと聞いても自分が会うのを渋ったことは、黙っておくことにした。そこまで言い出すと話がややこしくなる。昔の険悪な間柄については、彼女の心が落ち着いてから時間をかけて説明すればいい。
 自分が今のファラーシャに心から惹かれているのは、本当のことなのだ。
「記憶をなくしても、お前が俺の許婚であることに変わりはない。いや、記憶をなくそうが何だろうが、ファラーシャ、お前を愛している。せっかく無事に戻ってきたお前を失いたくない」
「ラシード様……」
「死んだ侍女達には、できる限りの弔いと遺族への見舞いを手配しよう。それでお前の心が晴れるとは思わないが、慰めにはなるだろう? 他にも気がかりなことがあるなら、なんでも言え。国王のこの俺が、必ず解決してやる。だから」
 抱きしめていた手を緩め、ラシードはファラーシャの両肩をつかまえた。菫色の瞳を正面から見つめて告げる。
「俺と結婚できないなどと、二度と言わないでくれ。お前は俺の許婚で、国へ帰れば婚礼を挙げて妻になるんだ。いいな?」
 自分の言葉は少しでも傷ついた心を癒せたのだろうか。ファラーシャの瞳はまだ潤んだままだったが、それでも哀しげな気配は薄れていた。ずっと抱きしめて髪を撫でていたせいか、頬が薔薇色に染まっているのが可愛い。
 ふっくらと艶やかな唇が、ためらう言葉を紡ぎ出す。
「で、でも、私……本当に何も覚えていないんです。自分のことも、あなたが……いえ、陛下が、許婚だということも。それなのに……」
「忘れたのなら、改めて覚えればいい」
 華奢な体をもう一度抱き寄せ、ラシードは強引な口づけで言葉を封じた。
 唇をついばみ、舌を強引にすべり込ませる。口蓋や頬の内側を舐めるたび、ファラーシャの体が震えた。舌をからめて吸うと、弱々しくもがく。
 初々しい反応が新鮮で愛らしい。もっともっと味わいたい。
 だがファラーシャの息遣いは苦しげで、服越しに伝わってくる胸の鼓動は早鐘を打つようだ。あまり興奮させては、体に障るかもしれない。唇を離した。
「んっ……ふ……」
 ファラーシャは唇を半開きにし、霞がかかったような瞳でぼうっとしていたが、不意に我に返ったらしい。言葉もなく身をよじり両腕をばたつかせたあと、片手で口元を隠し、耳まで真っ赤になった。
 可愛すぎて、自然と笑みがこぼれる。乱れた金髪を指で梳いて整えてやりながら、ラシードは告げた。
「今夜はゆっくり休め。……明日、一緒にジャナフ王国へ帰ろう」
「明日? でも私、まだ治療が……」
「さっき病院長に聞いた。頭の怪我も体の打撲傷もすっかり治って、後は記憶喪失だけだと。それならこの病院にいても帰国しても同じだ。いや、慣れ親しんだ場所に戻れば、その刺激で記憶が戻るかもしれないからな」
 建前を説き聞かせても、ファラーシャはまだ戸惑った表情をしている。仕方がないので本音を言った。
「もう一日たりともお前と離れたくない。愛しているんだ、ファラーシャ」
「……っ……」
 大きく目を見開いた顔に、もう一度キスしたくなったが自制した。
「ではまた明日。病院へは話を通しておく」
 名残惜しさをこらえて背を向け、ラシードは病室を出た。


本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。